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活躍できない体操部員から演劇同好会会長へ

ようやく自分たちの代だ!と駆け出したばかりの中学校3年生の春、練習中に左目を怪我し、流血。
翌日には部活を引退せざるを得なくなった。
小学校から続けていた部活、大好きなスポーツを諦めなくてはならなくなり、お先真っ暗。

中総体では、まさかの強制的応援団入部(当時は運動部以外の生徒は応援団に入るのは当たり前のことだった)。
当然、途中から入った自分なんかは、アウェイな空気。
文化部との合同練習中、あまりに自分が情けなくて泣いてしまった。

それを見ていたクラスの担任の先生が、「お前、演劇同好会つくったら?」と。
当時、自分は部活動とは別に、授業の一環として位置していたクラブ活動は演劇クラブを選択していて、毎年秋の文化祭で発表をしていたが、うちのクラスの担当の先生は演劇クラブの担当でもあった(先生は運動部の受け持ちはなくって、普通に現国の先生だったんだけどね)。
3年間演劇クラブを続けてきて、まさか最後の年に、自分が先に立って演劇同好会として仲間たちと一緒に練習・発表することになろうとは。
当然、部室なんてないし、部活のない生徒はすみやかに帰宅するように、と厳しく言われていたので、放課後、中学校から一番近い松の覆い茂る公園に集まり、声を枯らして発声練習。
たまに、担任が見に来てくれエールをくれることもあった。
当然、部としても同好会としても全く予算無し、衣装や大道具・小道具にお金なんてかけられないし、さてどーする、っていうんで、台本として選んだのは「愛の学校(確かそんなタイトル)」。
舞台が学校なんで、全くお金いらず(台本の印刷費くらいか。それも担任の先生が全員分負担してくれた)。
ストーリーは、必要以上に制約的・威圧的な先生に対し生徒は不満を持っているんだけど、皆言い出せない中、反抗心を持つ主人公が愛と自由の権利を訴え、その所為で先生から疎まれ、味方も誰もいくなり、最後は先生に言いくるまれた生徒達から学校を追放されてしまうというハナシ。

で、その主人公役がワタシ。
で、相手である先生役が、当時凄く仲の良かった心友。
部活をやっていた時は、なかなか遊ぶ時間も作られなかったけど、皮肉にもこうして一緒に同じ時を過ごせるなんて。とてもくすぐったい感じだった。

最後の追放シーンで、主人公たる自分はステージ上から皆に突き落とされるいう壮絶なラストなんだが、…笑ったね。ここまで落とされる役を、しかも主役としていただけるなんて、いっそ潔くて気持ち良いくらいだった。
思うに先生は、意図せず部活を(追放じゃないけど)引退して、未練タラタラだった自分のことを思って、思いを断ち切らせる為に、敢えてこの台本を選んでくれたんじゃないかな、と思う。考えすぎかな。いや、きっとそう。

たった1年だったけど、部活の代わりに打ち込めることがあったから救われた。
おかげで青春しきったなぁ!と、清々しい気持ちで卒業できた。
六郷博志先生、ありがとう。どこかでまた会いたい。

いまだに左の白目には傷の名残りがあり、白目が濁っているねと言われることがあるが、だからどーした。負けない。
そんな強い心を育ててくれた、六郷先生に、改めて感謝。

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