外せないお面
天才パントマイム師マルセル・マルソーが最後の公演にやってきた
幕が開き、舞台では「面師」
冷やかしにお面の店をのぞいたマルソー
気分にのって
いろんなお面をつけては外しつけては外し
違った表情の「自分」の顔を楽しんでいる
最後につけたのは間抜けでおちゃらけ
ケラケラと楽しんだあと、外すっ!
外れない
上から引っ張っても
横から引っ張っても
どうやっても
外れない
全力で引っ張っても
何としても
外れない
生きてる限り、将来も永久に
「自分の顔」を取り戻すことは出来ない
それに気づいたとき、身体は絶望の極みで苦しみもがく
顔はというと
相変わらず、間抜けでおちゃらけ
観客の私はそのとき30代
舞台に繰り広げられる悲喜劇に感動するばかり
それが今、40年経って
あれは自分のことなのかとハタと思いいたる
外そうとしても外せない「お面」をつけたままのわたし
今ではお面をつけたことすら忘れてしまった
このお面は来世までついてくるのか
それとも
いつか 外せる日が くるのか
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つか子と「あの人」:プロローグ1〜6
エピローグ:つか子と「あの人」
長編:[完 ]つか子と「あの人」プロローグ・本章・エピローグ:編集中
最近の作品: 『夫90歳・妻77歳:フィリーは朝食の話』
『人[.を ]見たことのない土地』 『救急車のサイレン』 『夫の質問:タンスの底』 『外せないお面』
『みじか〜い出会い・三つの思い出』
『スイカと鳩:ひとりの小さな平和活動』 『昭和40年代:学生村のはなし』『クエーカーのふつうしないこと:拍手』
『アフリカ系アメリカ人:一瞬たりとも』 『明治の母と昭和の娘』
『本当の思いを云わ/えない本当の理由』
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『スッキリあっさりの「共同」生活』
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