「島根へ!」
コロナになる直前の2020年1月。今年の夏は島根に行こうと決めていた。おじいちゃんの地元だった島根県出雲市。僕は小さい頃、毎年の夏はいつも車で島根に連れて行ってもらった。駐車場が大きな赤い屋根の喫茶店で食べたトーストが美味しかったこと、でかいショッピングセンターでゲームボーイアドバンスの紫を買ってもらったこと、夜になるとおじいちゃん家近くの川で灯籠流しを見たこと。そんなことを微かに覚えていた。
だけど、僕は父さんとお風呂に入ることを拒否した時期ぐらいから、島根には行かなくなっていた。それから、15年。僕は一度も島根を訪れていない。島根に行って、もう一度色んなことを確かめたいと思い、旅程をたてた。しかし、コロナで行けなくなってしまった。今年の夏は必ず行こうと決めている。色んな確かめたいことがさらに増えたんだ。
旅のスタートは大阪。僕は2泊3日の旅に出る。
1日目(8月15日)
旅の朝ははやい。7時前に姫路へ着いた。もうすでにここで少し疲れてくる。しかも、次、休憩できる場所に着くのは5時間後ととても長旅になる。なので、ここの待ち時間30分を利用して、朝ごはんやコンビニなどに寄って、必要なものは揃えておこう。僕が姫路駅の朝ご飯でおすすめしたいのがこちら。
まねき えきそば 在来線下り店
旅に欠かせないのが駅そば。「安い」「美味しい」「速い」ので、少しの待ち時間に最適である。各地域によって、駅そばの種類などが全然違うので電車旅の楽しみの一つでもある。姫路駅の駅そば「まねき」は全国的にも有名な駅そばである。ここの特徴は「えきそば」と書いてあるが、麺が中華麺であるので、関西の和風だしと中華麺がすごく合うので行って欲しい。個人的には天ぷらを崩して、脂がスープに浮いた状態がすごく好みである。
岡山から伯備線に乗って中国山地を抜けたら、日本海側へとやってきた。鳥取県の米子駅。ここで次の電車まで昼ごはんを食べよう。次の電車は29分後だ。少ない時間でもご当地のものを食べたい。僕のおすすめはこちら。
ラーメン 大和
全国的には珍しく、鳥取県中西部で提供されることが多い「牛骨ラーメン」を味わう。この立地、この具材の量で450円は破格だ。30分しか乗り換え時間がなくても余裕をもって食べることができる。中華料理も豊富にあるので、時間があるひとはそちらもどうぞ。第一目的地の島根県松江まではもう少しだ。いよいよ、僕は15年ぶりに島根県へ入る。
島根県の県庁所在地「松江」に着いた。長旅がここでいよいよ体にくるところだ。出雲に行く前に松江でゆっくりしようと思う。ここで夜まで過ごそう。まずは旅の疲れを地元の喫茶店で癒す。知らない街の喫茶店に行ってみるとなぜかここで生きている人になれている気が少しするのだ。街に慣れてきたら、松江の街を歩こうと思う。
セイユウ
喫茶店でゆっくりしたら、松江のシンボルである「宍道湖」へ行こうと思う。日本で7番目に大きい湖。僕は川や湖など水が溜まっている場所が好きだ。だから、クルージングで思いっきり感じたいと思った。宍道湖は夕日がとにかく有名だけれども、サンセットクルージングの時間には乗れないので、日差しがまだ強い時間帯のものに乗る。
宍道湖クルージング
15:30発:第1船乗り場
16:30着:第1船乗り場
残りの時間は松江の街を散策しながら、夜ご飯を食べる。
やまいち
旅の夜は普段あまり飲まないお酒を飲む。松江では地元の食材を使った「松江おでん」と宍道湖で取られたヤマトシジミを使用した「究極のシジミ汁」を食べて、とても気分が良いことだろう。川沿いにあるお店なので、見れなかった夕日をここから見てみるのもいい。そんな、ほろ酔い気分で僕は出雲行きの電車に乗る。
出雲に着いた。15年ぶりの出雲。どんな空気がするんだろう。そんなことを考えている暇もない。すぐに行かないといけないところがある。僕はこれをみるために8月15日に出雲へ来たんだ。酔いが冷めた僕は歩いて、高瀬川へ向かう。
高瀬川灯ろう流し
僕が島根に行っていた頃、夜になるとこの川へ来ていたことを思い出す。僕はこの頃から川を見るのが好きだったのかもしれない。真っ暗な川に小さな光がゆらゆら浮かんでいる。小さい頃はなにがなんだかわからなかったけれど、今なら少しわかる気がする。
一日目の旅程はこれで終了。今日は出雲で宿泊する。明日の朝もはやいのではやめに寝よう。もちろん、地方に来たら必ずその街のお風呂とサウナに入る。
出雲駅前温泉ランプの湯
2日目(8月16日)
2日目。旅の朝ははやい。夏の朝はきっと涼しいんだろう。夜とはまた違う出雲の空気感を感じながら、ホテルを出た。目的地は出雲大社。あれだけ、出雲に行っていたのに僕は行ったことがなかった。とにかく行ってみることに。出雲大社までは地元のローカル鉄道「一畑電車」を利用して行く。
出雲大社
出雲大社に行った人はよく言う。ここは空気感が違うと。僕はその空気感を感じられるだろうか。まだ人が少ない朝の時間帯に行くことが何よりも楽しみである。出雲大社を出たら、僕が出雲で一番印象に残っている喫茶店でモーニングをする。店に入ったら、どんな視界になるんだろう。バスを利用して向かう。
赤い屋根
ここだ。赤い屋根の喫茶店とモーニングで出されるトーストとゆでたまごは覚えていた。毎朝、おじいちゃんと行った。たばこの匂いがする店内、スポーツ新聞を広げる人、分厚い漫画を読んでいる人。僕にとって、すべてが新鮮だった。ここに行ったら、色んなことを感じるだろうか。楽しみだ。モーニングを食べたら、歩いて出雲市駅まで戻る。出雲を出て、山陰本線を突き進む。僕はまだ行ったことのない街へ行く。
竹の家
出雲で「出雲そば」を食べていなかった。益田駅の乗り換え待ち時間にこちらのお店へ。出雲そばもどんな味か覚えてないな。ここから、まだまだ乗車時間は長いのでここで昼飯を食べる。
山陰本線をずっと走ってきて、下関へ着いた。途中はどこにも立ち寄らないのだが、僕はそれでいいと思う。海沿いをずっと走る車窓を眺めている。これが僕が旅で一番したいことなのだ。すごい良い鉄道旅になるだろうな。
下関へ着いた。下関は何度か僕も訪れているが、また行きたいと思っているお店行きたいと思う。
大衆食堂「一善」
この前、来たときは下関だからふぐを食べようと思って、近くのふぐ屋さんでてっさ定食を食べたんだけど、全然お腹いっぱいにならなくて、この店に寄った。カウンターに並ぶおかずはどれも美味しそうで、次行ったときはこれを食べようと思っていた。あと、鯨のカツも相当うまかったのでここで夜ご飯を軽めに食べる。ここから、また移動する。今日はこれから飲んで食べるんだ。
5分の乗り換え時間でレトロな駅舎である門司港で写真を撮りたい。ここの駅舎はとにかくかわいい。ひらがなの方が漢字よりでかい。かわいい。
今日の最終目的地。北九州の小倉へ着いた。乗り換えなどでは何度も降りたことはあったが街を見たことがなかったので今回はここで泊まることにする。修羅の街として有名な北九州。ここで夜を満喫したいと思う。まずは街に出て、飲みに行く。最高だ。
平尾酒店
小倉の情報はすべて、「福岡人志」から。酒店で直接飲む「角打ち」という文化に一度浸ってみたい。東京でもあると思うが、旅の中なら思いきってお店に入れるに違いない。
エビス屋昼夜食堂
小倉で働く人を24時間支えてきたお店。こういう地元の人が足繁く通っているお店で今日の〆を食べる。明日の朝もはやい。すぐにサウナへ入りたいが、まだ酒が体の中に入っている。酔い覚ましに良い空気を吸いにいきたいと思う。
皿倉山
工場や高速道路や鉄道の光がすごく見える。今日行った旅のことを思い返しながら、酔いが覚めるまでぼーっとする。やっぱり、夏はいいな。よし、街へ降りて、今日最後のお楽しみ。小倉のサウナへ行こう。
小倉サウナ TOTONOI
リニューアルは5度目という、このスナックビル3階は小倉のサウナの聖地だ。店名は今風なのだが、この場所は昔の昭和サウナの名残が残るサウナだという。大繁華街にあるサウナはやっぱり最高だと思う。すごく楽しみだ。旅の最後の夜はここで終わりにする。
3日目(8月17日)
3日目。旅の最終日だ。最終日の朝もはやい。起きるのは苦手だけど、今日はとにかくたくさん目を擦って、明日たくさん寝ればいいじゃないか。7時に小倉駅構内へ入る。朝ごはんは小倉駅の駅そばを食べるんだ。昨日もうどん食べたな。でも、そのぐらい福岡はうどんが美味いんだ。食べておいて。
ぷらっとぴっと
もう、絶対に美味しい。出汁がやばいんだよな。関西風に近いんだけど、なんかほんとやみつきになる味。この日も乗車時間長いので、腹一杯食べる。僕はおそらく、これにいなり寿司をつける。汁も最後まで飲む。相性バッチリだ。さあ、旅の最終日だ。
次の山陽本線岩国行きは乗車時間が3時間ある。ここで僕は思いっきり外でストレッチをする。都会に住んでいる方はトイレを心配するかもしれないが、大丈夫。トイレはほとんどの電車に付いている。だから、ここでは体を動かして、次の乗車に備えよう。
広島県宮島口に着いた。ここは世界文化遺産「厳島神社」で有名だ。僕はここで観たいものがあった。とにかく、あまり時間がないのでフェリーで宮島に向かうことにする。ちなみに、宮島フェリーは青春18切符が利用できる。お得だろう。
宮島に着いた。目の前にはたくさんの鹿がいる。世界遺産で有名な鳥居が見える。でも、僕はこれを観に来たんだとばかりに真っ直ぐあそこへ向かう。そこに行って時間があればもみじ饅頭を食べよう。鹿を見よう。まず、あいつを見ないことには落ち着かない。
宮島水族館
ここに来た理由は「スナメリ」だ。以前、宮島水族館を訪れた際に出会った。信じられないぐらい可愛い。でも、日本の水族館には20頭しかいないらしく、瀬戸内海近くの水族館でしか見られないのでここで見ておきたかった。ここで満足するまでスナメリを見て、余った時間で宮島を歩く。そう言えば、昼飯を食べていない。買い食いでもしよう。それでも足りなかったら、次の目的地で食べよう。旅はそのぐらいの気持ちで良いと思わせてくれる。
宮島表参道商店街を歩きながらフェリー乗り場へ。途中、食べ終わったなにかしらの棒を持ちながら最後の目的地へ向かう。
尾道へ着いた。ここが旅の最後の目的地。海と山に囲まれた尾道は最高に気持ちがいい。取り敢えず、日が落ちるまでは尾道の景色を楽しもう。日が落ちたら、晩御飯を食べて、終電まで満喫しよう。おし。
千光寺
日が落ちる前にここからの景色を見る。今までの鉄道旅の疲れが癒やされる。ロープウェイで登って、帰りは尾道の入り組んだ路地裏を歩きながら、商店街へ行く。もう、そろそろ日が落ちてきた。そして、腹が限界に近づいてきた。
お好み焼きあそう
広島と言えば広島焼き。関西出身の僕だが、圧倒的に麺が入った広島焼きの方が好きだ。尾道の広島焼きは食べたことないのだが、麺が辛麺でカリカリらしい。楽しみだ。サイドで砂ずりを頼み、レモンサワーを飲みながら食べる。旅の〆は駅前の映画館で映画を観る。
シネマ尾道
尾道に行った際、いつかここで映画を観たいと思っていた。なんの映画でも良い。ここで映画を観ることでこの旅の記憶が映画に刻み込まれるに違いない。わかりやすく言うと、昔聴いてた音楽を聴くと、昔の一部分の思い出を思い出すだろう。その感覚だ。電車の時間もあるから、途中になるかもしれないけれどいい。終電ギリギリまで映画を観る。帰りは大阪まで約4時間。この旅を振り返るにはちょうどいい時間だ。
大阪へ着いた。今回の旅はこれで終わり。終わりというか書いただけで、まだ始まってないんだけど。これを書いている途中におじいちゃんに関して色んなことがあった。今年は必ず、島根に行く。僕が旅に出る理由はいくつもある。