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今リンクトインが面白い。炎上なし、英語力・キラキラ経歴・意識高い系情報はなくても大丈夫!

近年、FacebookやTwitterでの誹謗中傷が深刻化しています。特に女性やマイノリティをめぐる差別や社会問題、雇用問題に声をあげた人がバッシングの対象になっていることを聞きます。

そんななか、この社会で声を上げづらいと悩む人に、リンクトインが盛り上がっていることを伝えたい。

#変わろうよ日本  専業主婦、7年越しのカムバック

鈴木祐美子さんは、大学卒業後に正社員の人事担当やキャリアアドバイザーとして働いたのち、家庭のために退職して専業主婦となりました。それ以来、「家庭のために生きているのみの自分」であることにコンプレックスがありました。専業主婦として7年過ごした後、苦労の末にキャリアアドバイザーとして社会復帰したが、契約社員ゆえに長期的なキャリアを描けずにいました。

2019年5月から、「#変わろうよ日本」のハッシュタグで、進まない女性活躍や非正規雇用問題への当事者目線での問いかけを投稿し始めました。それに対して応援のコメントが多く集まるようになり、自分の影響力が高まっていくのを実感。鈴木さんは自分に自信が持てるようになりました。

2020年6月にはコロナ禍で雇用が悪化するなか、雇い止めにも遭いました。しかしその後エグゼクティブ人材紹介会社・経営者JPに正社員で転職。現在の勤務先ではキャリアアドバイザーと広報を兼任。磨いた発信力を活かして、自社のリンクトインアカウント運用も行います。2021年3月31日現在、1万人以上のフォロワーがいます。

鈴木さんは東洋経済のパブリシティ記事で、リンクトインの言論空間をこう語っています。

「ジェンダーや雇用に関する投稿は炎上しやすく、SNSなどで投稿しても、意見が潰されたり叩かれたりします。いわゆる炎上が起こると、社会的立場が弱い人や地位が高くない人は意見を言いにくくなってしまいます。だからこそジェンダーや雇用など重要な社会課題を議論する際には、安心安全な議論の場が必要だと思います。リンクトインではダイバーシティを大切にし、違った意見を建設的に話し合える土壌が整っており、立場が弱い人の意見でも尊重される雰囲気があると感じています」

鈴木さんもリンクトインを始める前は、ジェンダー問題に発言する女性へのSNSでの攻撃的な反応を見ており、発言をためらうようになっていました。

リンクトインでは、そうした誹謗中傷やハラスメントのリスクは少ない。リンクトイン社はユーザーに対し、「オンビジネス・前向き・議論を育む投稿」を呼び掛けており、この方針が多くのユーザーに守られています。

なお、先日の取材を受けた記事でも紹介したように、私もリンクトイン・クリエーターの1人として発信しています。私も鈴木さんと同時に「最も人を惹きつけるクリエイター10人」に選ばれました。鈴木さんは私にとっては、リンクトインで同じ時期に声をあげ始めた同期であり、ダイバーシティ社会の実現を目指す同志であり、また良きライバルでもあります。

もはや「リンクトイン=転職」ではない

リンクトインは世界で7億人が利用するビジネスSNSで、特に米国では「アカウントを持っていなければ社会人としてみなされない」と言われるほど。

一方で、日本ではFacebookやTwitterのビジネス利用が進み、リンクトインは一部外資系企業勤務者の間で転職用ツールとして使われるにとどまっていました。また「リンクトインは英語で使うもの」というイメージが強く、日本人ユーザーであっても、英語でプロフィールを作り、英語で投稿する人が多い状況でした。

しかし2019年頃から、リンクトインでも日本語で発信するユーザーが増えている。個性豊かなユーザー達により建設的な議論が日本語で展開されることも見られるようになっています。

よくありがちなのが、リンクトインに登録しただけで「転職を考えているのか」と疑われること。

しかし今では「リンクトイン=転職」という思い込みを捨て、転職のことは一旦忘れてもいいくらいです。

ユーザーの発信力を評価

リンクトイン社は、ビジネスSNSの健全な発展を意図して、模範的なユーザーを評価する独自のシステムを構築しています。

LinkedIn News編集部は、積極的に発信するユーザーを「リンクトイン・クリエイター」と認定する制度を運用しています。日本では2020年5月から始まり、現在200人以上が認定されています。クリエイター同士のコミュニティも存在し、幅広い分野のビジネスパーソンや就活生が含まれます。

2020年11月には日本版「最も人を惹きつけるクリエイター10人」が発表。所属・居住地問わず、人事・リクルーター、広報・マーケター、金融アナリスト、ライター・翻訳者、ウェブデザイナーなど様々な層から選ばれました。

LinkedIn News編集部によると、「クリエイター10人」の選定基準は以下の通り。

・リンクトインのデータ・サイエンス・チームが各ユーザーの投稿ごとのリアクション(いいね!、シェア、コメント)を分析し、他のユーザーの関心をどの程度ひきつけているかを測定する。ここでは、投稿が他のユーザー同士の会話を誘発したかという「連鎖効果」も考慮される。
・LinkedIn News編集部が個々の投稿の内容をチェックし、健全な議論が実施されているか、宣伝などの一方的な投稿に終始していないかなどを確認する。
・定量・定性の両面から総合的に勘案した結果から導き出す。

安心して発言できるSNS

私はリンクトインが日本で広がってほしいと考えます。

ここまで書いたように、グローバルエリートのキャリアアップツールと思われていたビジネスSNSで、元専業主婦・非正規雇用ゆえに何も変えられなかった鈴木さんや、女性で発達障害・就職活動で200~300社不採用で現在は就労支援施設に通っている私が、「最も人を惹きつけるクリエイター10人」に選ばれた、というストーリーが生まれています。

私はこう投稿したことがあります。

私は考えました。オピニオンリーダーになる人が立派な経歴や実績の成功者ばかりだと「ビジネスや社会では経歴や実績のある者の意見が絶対的」という錯覚を誰もが起こしてしまいそうではないか。経歴や実績がない人は、何か言うと「あなたの言うこともわかるけど…もう少し実力つけてから物を言った方がいいよ」と言われてしまう経験がないでしょうか。「それが実力主義だ、何がおかしい」とも言われますが、何かもやもやが…
リンクトインではそれを変えていこうとする取り組みが真摯に行われているな、と思いました。

この投稿には、鈴木さんが「私も同じことを感じている」「マジョリティから弾かれた人には実績を作るベースは与えられない。そういうことに気づくため、オープンな意見を交換できるプラットフォームが必要」とコメントしていました。「何かもやもやが…」の続きを見事に書いてくれたコメントです。

また、「意見やアイデアは、その人の実績や経歴に関係なく、単体で質のウェイトを測れるのが理想」というコメントも寄せられました。

リンクトインは、ビジネスパーソンや就活生がビジネス、ニュース、社会課題に安心して発言できるプラットフォームとしても伸びていきそうです。

今回の東洋経済の記事のように、リンクトイン外でもその評判が伝われば、日本で一層ユーザーが増えていく効果が期待されます。

東洋経済の記事では、日本のジェンダーギャップや女性のキャリア構築をめぐる状況がいかにシビアか、日本の女性をリンクトインが応援していこう、というスタンスが明確に伝えられています。

鈴木さんや薄井シンシアさんのような女性はいま社会に埋もれてしまっています。この社会で声をあげづらいと悩む女性やマイノリティ(障害者も含む)。これらは、従来のリンクトインのメインユーザー層ではなかったが、潜在的にアクティブユーザーになりそうな層といえます。リンクトインは、ビジネスや社会で不利な立場にある人が、キャリア構築したり、声をあげることを応援し、もっと言うと一緒に声をあげるスタンスをも明確にしています。

注意点

リンクトインにも問題が全くないわけでありません。他のSNS同様、偽アカウントによる勧誘も存在します。

最近リンクトインユーザーの増加が目覚ましいですが、ユーザーが大幅に増加すれば、トラブルも増える可能性はあります。

こうしたリスクも踏まえて活用すべきでしょう。

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