制限された条件のゲーム開発〜ゲームマーケットチャレンジ【ビルドキャッスル】、文具ゲーム〜
この記事について
この記事は「Board Game Design Advent Calendar 2024」(https://adventar.org/calendars/10512)の9日目の記事として製作されました。色々あって2021年以来の参加になります。何を書こうか迷っていましたが2022年に書きかけた記事がありまた最近この話題と投稿などもあってこちらにしました。
改めて自己紹介
私はA.I.Lab.遊というサークルを主催しております水野です。これまでに「航海の時代」や「狩猟の時代」「行商の時代」といったゲームを作ってきました。今年がサークルゲムマデビューしてから9年目で来年はついに10周年です。昨年「ビルドキャッスル」というゲームを作りそのゲームが海外版として「Boreal」というタイトルで発売されました。来春にはリゴレさんから日本語版も発売予定です。
ゲーム制作における『テーマ先行』『システム先行』
さて、みなさんはゲーム作る場合なにから考え始めますか?
よく議論されるのは『テーマ先行』『システム先行』という話があるかと思います。『テーマ先行』というのはゲームテーマや舞台・キャラクターなどを先に決めてからそのテーマにあったシステムを考えるやりかたです。IP物のゲーム企画や2次創作もこれに当たると思います。『システム先行』はその逆で先にゲームのシステムを考えたうえで後からそれにあった「テーマ」を考えてフレバーをつける形で作る方法です。A.I.Lab.遊の過去のゲームでいうと「航海の時代」「狩猟の時代」は『システム先行』で作られました。(※厳密にいうと「航海の時代」はざっくりテーマが航海っぽいイメージはあったが「狩猟の時代」はサラリーマンのワーカープレースメントだった)
「行商の時代」は『テーマ先行』で作られたゲームで行商をテーマにしたゲームを作りたいという考えからシステムを考えてつくりました。
これはどちらが良いという事はなく、ゲームにおける工程のひとつの手段かと思います。
ゲーム開発のスタート
人によって違うとは思いますが、ゲームを作ろうと思って、単純に面白いゲームを作ろうと考えてそれだけえゲームを作るのって無理だと思います。
「面白いゲーム」というのは何なのかという話はありますが、面白いゲームを作ろうとするだけでは本当に無限に近い可能性がありパターンが存在します。そこから何かを作る時は何かしらの制限なり条件を自分でつけたうえで開発を始めなければなにも作れないでしょう。
前項における『テーマ先行』はまさにその制限の一つでこういったテーマのゲームを作るということを決めることでおのずと条件を制限して考えやすくする効果があります。
『システム先行』の場合も実は同じで例えば「トリックテイキング」ゲームを作ろうとか「ピック&デリバリー」を基本としたゲームを作ろうとか既存の何らかのシステムを基準として作り始める場合が多いはずです。(※もちろん既存のジャンルがないようなシステムもあると思いますが、そういったシステムが生み出される場合でも日常的な動作などの動きなどから発送を得る場合もある)
いずれにしても何かしらの制限を自分で作らないことには一般的にゲーム制作は出来ないと思います。
制限された条件でのゲーム開発
そういった制限の最たるものが「ゲームマーケットチャレンジ」での条件です。「ゲームマーケットチャレンジ」とはゲームマーケット主催のアークライトがゲームマーケット2022秋から行っている企画で「ゲームマーケット事務局が提案するお題に対し、対応する作品を作成・提出いただいた場合、ゲームマーケットにて特別な場所に展示する」という企画になります。
もともとゲームを作る時には何らかの制限を決めないと作れません。ですのでこの「ゲームマーケットチャレンジ」という制限は渡りに船。この制限された条件で面白いゲームを作ってみようという意欲がわきました。
開発記録(ビルドキャッスル)と制限について
「ビルドキャッスル」は正にその制限に挑戦するべく開発を始めました。
当初の制限
カード32枚。インスト5分。ゲーム時間15分。
時間は・・・まあ誰がやるか、慣れてる人がやるか。この当たりで変わってしまうものだから気にしてもしょうがないだろうと思ってあまり考えないようにしました。(※実際60分と書かれたゲーム初回なら2時間とかかかるよね)
「ビルドキャッスル」はこの32枚という制限の中でできる限り本格的な拡大再生産や建築といった事が楽しめるゲームを作ってみようということで考え始めました。
最初の方に考えて発送は「カード32枚だけで『宝石の煌き』を作るなら?」という考えです。色々試作版とかをつくりテストプレイ会に持ち込んでやって行きました。まあまあのところまではいったんですが確信が持てるまでに至らず一旦没になりました。次に「カード32枚でだけで『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』または『ジャンプドライブ」を作るなら?」という感じ。こちらも最初はうまくいかなかったのですがその中で思いついたのが「共通手札」というシステムと「カード」使える範囲を規定するというやりかたです。
「共通手札」についてはこちらの動画を参照して下さい
こちらの仕組みを思いついたことによりゲームはなんとか完成し最終的にはアークライトゲーム賞佳作と海外での出版にまで至るゲームになりました。
これは正に32枚という制限があって生まれたアイデアであり、その条件を当てはめなければ完成しなかった事だと思います。
文具で作るゲーム
今、私はA.I.Lab.遊の他に「BUNGU GAMES」という企画もSoLunerGの
明地宙さんとさせて頂きいております。こちらは日常に遊びをコンセプトに「文具」で遊べるゲームを開発しております。
こちらも正に「文具」という条件に縛られたなかでどんなゲームが作れるかということを考えて作っています。
こちらでも新しい発想は色々生まれ「クリアファイル」という制限だから思いついた物や「下敷き」に入るように考えた物など制限下で生み出される新しいアイデアのゲームが登場しています。
※この企画は随時皆様にもアイデアと参加者を募集しております。是非思いついたらお声がけ下さい。
まとめ
私達はゲームを作るうえで何かの条件をつけてゲームをつくっています。
その条件をつけた方が本当に面白かったのか・・・それは最終的にはわかりませんが、アイデアを考えるうえでその制限は必要になる事柄だと思います。何かうまくいかない・思いつかなかい場合、制限をしぼって考えると、かえっていいアイデアを思いつけるかもしれません是非チャンレンジしてみてください。
おわりに(A.I.Lab.遊10周年に向けて)
A.I.Lab.遊は2015年ゲムマ大阪でデビューのサークルですので来年2025年が10周年の年となります。2022年に子どもが生まれ自身の環境も大きく変わりましたが、アニバーサリーですので何か特別な事が出来ないかと色々画策中です。来年のA.I.Lab.遊の活動にどうかお付き合いいただければ思います。