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弓削保
2015年3月15日 23:14
春一番が吹いた数日後。 出勤準備をしながら片手間に聞いていたニュースの中でなんだかとんでもなく不穏な言葉を聞いた気がした岸裕輔は、玄関ドアの内側で眉間に皺を寄せていた。足元には彼の飼っている子猫が二匹、まとわりついている。 夜はまだ随分と冷え込む日が多いが、昼間は昼寝をするには絶好な陽気。そろそろあの嫌な奴が来る時期だとは頭の隅でわかってはいたが、認めたくない気持ちの方が強く同僚たちとの会話