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バレンタインを思い出して泣いてしまった
バレンタイン?
そんなの私に関係ないもん。
とりあえず
お手頃なのに見栄えがする
義理チョコを選ぶのがこだわり…。
…で?
そんだけ。
なんの素気もないバレンタイン。
そう思ったら、
古い記憶が蘇って来た。
チョコレートくれた皆さん。
そのチョコレート、
ほぼ私が食べてました。
ゴメンナサイ…。
…時効ですよね。
学生時代から、ズーっと付き合っていた彼がいた。
その彼は、
バレンタインになると、毎年、
段ボール箱一箱のチョコレートを持ち帰って来ていた。
高そうなチョコレートや、
見たことのないチョコレートがたくさん入っていて、
魔法の宝箱みたいだった。
「わー、これ食べたい。」
と、私が言うと、
「食べていいよ。」
と、必ず私にくれた。
なので、
高そうなのや、珍しい物は、
殆ど私の口に入った。
もちろん、
独り占めして食べた訳じゃないけど。
手作りのチョコレートも入っていて、
二人とも、それには手を出さなかった。
高そうなチョコレートが並ぶのに、
彼は、必ず、
私の手作りチョコを大切に食べた。
高級チョコを差し置き、
私の手作りチョコを食べさせるのが、
申し訳ない気がしたけど、
「今年は、どんなの作ったの?」
と、段ボール箱のチョコレートより、
一番先に、私のチョコレートの箱を開ける。
ある年、
珈琲を入れて、
一番美味しそうなチョコレートを食べながら、
「私のチョコレートより、絶対、
こっちのチョコレートの方が美味しいよ。」
と、私は言った。
彼は、
やっぱり私の手作りチョコを大事そうに食べていて、
「それは、瑜伽が食べていいよ。」
と言う。
そうそして…。
それが、
多分、
愛だった…
…
…
…
と、
何十年経った、
今、
気付きました。
今かい!!
そう思ったら、
涙が、勝手に溢れて来た。
謝るべきは、
もらったチョコレートを私が食べてた事じゃなくて、
私のチョコを食べてくれていた、
彼にだった。
ゴメンナサイ。
これには、時効はない…よね。
段ボール箱いっぱいのチョコレートをもらっても、
アメリカ人女性にホテルに連れ込まれそうになっても、
浮気する事もなかった。
どこかに出かける時も、
必ず私のお弁当を食べたがり、
そして、
「瑜伽のお弁当が一番美味しい。」
と、笑顔で頬張っていた。
私が大泣きすると、
私が笑ってしまうトリガーポイント知っていて、
私は、必ず、
泣きながら、鼻水を吹き出して笑った。
そして、その事がおかしくて、
二人でまた笑った。
私には、
必ず、
彼を笑顔にするトリガーポイントなんて分からなかった。
私は、
本当に大切なものが何かって、
全く分かってなかったんだ。
胸が痛い…。
そんな大事な事に気付かずに、
今まで生きてたんだ。
私にはいつも
「こんな私なんて…。」
って、言葉がこびり付いていた。
私の作ったチョコなんて…
私の作ったお弁当なんて…
私なんて…
私なんて…
私なんて…
それを彼は
私の作ったチョコでいい
私の作ったお弁当でいい
私でいい
って、言ってくれていたのに。
私を粗末にした私は、
その言葉の意味が分からなかった。
先ず、
自分を愛せないと、
相手の愛も見えないんだね…。
時間かかり過ぎだけど、
今ようやく、分かったよ。
ありがとう。