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世の中の流れ : 独り言



「震災以降、世の中が変わった。
 美味しい物が無くなった。
 洋服とかも、高いお金を出せばあるけ
 ど、いい物が無くなった。
 コロナでそれはもっと加速した。
 なんか、こう、箱をガタガタと
 揺さぶったみたい。」

と、今日、ギャラリーの方が言った。

地元の安くて美味しい物も確かに無くなっている。
衣類もどこかファストファション的。だから、古着の方がしっかりした布地で製法もしっかりしていたりする。
勿論、高額なお金が出せれば別の話しだが。

先日、知り合いのクッキーがとても美味しくて大好きなのだが、成分表を見たら、添加物が一切入っていなかった。
昨日、マルゲリータのピザを食べたら、小麦の味がしっかりして、酵母の香りがとても良くて、店主の方に聞いたら、天然酵母でピザ生地を作るから、生地作りに3日かかると教えてくれた。小麦も岩手県産の小麦を使っているのだそう。

美味しいものは、まだちゃんとある。

それらは、添加物なしで確実に美味しい、
でも世の中は添加物で溢れていて、添加物なしの食事をする方が難しい。
もっと言えば、
その原料を作る時の農薬まで考えると、農薬を使わない食材を手に入れるのは更に難しい。

そんな事になっているのは、時間と手間暇を抑えるためのようだ。
大量に安くするためには仕方ない。儲けを出すには仕方ない。
最終、全てのことはお金を儲けると言う事に集約されるのだろう。
働く事の目的がお金なのだろう。
震災以降、コロナ禍を経て、目的がお金にどんどん統一されたようだ。

だけど、
『いいもの』
が、消えて行ってしまう。

『いいもの』が、消えてしまっても、初めから『いいもの』を知らなければ、それは初めから存在しないのだから、問題は何もない。

マルゲリータのピザを食べた時、他の人も同じように『酵母の香り』に感動したかと言うとそうではない。
感じる事がなければ、存在しないのと同じこと。

私たちは、もしかしたら、『いいもの』がどんどん加速度を付けて消えていく夜の流れに乗ってしまっているようだ。

これからの世界では、人はバーチャル空間で1日1時間以上過ごすようになると言われているらしい。
そして、自分のアバターに着せる服が既に高額で売られており、バレンシアガなどのブランドが既に、アバターのための服やバックの販売に参戦しているのだそう。

そんな世界が普通になれば、今ある『いいもの』など、消えてしまっても、なんの問題もないし、存在していたことさえ認知されることはない。

私はもう、世の中の流れに乗るのはやめて、旧人類の流れに乗ろうと思う。
森の中で暮らし、野草を食べて、酵母菌と共に暮らそう。
友達が、今年は天然舞茸が12キロも取れたと教えてくれた。
異常気象の賜物だ。
森はそんな風に、思いもしない贈り物をくれる。
それで私は十分だ。
それ以上のものはいらない。



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