マガジンのカバー画像

シロクマ文芸部参加

34
シロクマ文芸部参加のショートストーリーです。
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

5月のカレンダー  :  「# 月めくり」

5月のカレンダー : 「# 月めくり」

月めくりのカレンダーが5月のままだ。

はぁ〜とため息をつき、
「もう今年も残り2週間なのに、カレンダー5月って。カレンダーの意味ないでしょう。」
と、面倒くさがりの娘に言った。
どうせカレンダーをめくるのさえ面倒だったのだろう。全く呆れる。

「もう、朝からうるさいなぁ。」
頭爆発して口角にはヨダレの跡がある。
どこかの戦場にでも行ってたみたいだ。

「もうお昼だよ。こんなに天気もいいのに。」

もっとみる
人間以外の生物 : 「#読む時間」

人間以外の生物 : 「#読む時間」

読む時間だ。

じっと、目を凝らし、見つめ続ける。

お互いが、お互いを読み続ける。

ふと、思う。

私はともかく、あなたは、私をどのように読んでいるのだろう?
離れた丸い目で見続けている。



…と、思うのだろうか?

巨大な獲物

…と、思うのだろうか?

私の憶測は単純で、同種でなければ「敵」か「餌」と言う、貧困な発想しか浮かばない。

果たして、彼らは人間をどんな風に見ているのか?

もっとみる
ロッタとの物語  :  「#愛は犬」

ロッタとの物語 : 「#愛は犬」

愛は犬って、本当だろうか?

犬と言えば、飼い主の足音を聞き分けた途端、玄関に猛ダッシュして、尻尾が振り切れるくらい振りまくる。

ロッタもご多聞に漏れず、玄関を開けると木登りする様に私に駆け登り、首に両腕を絡めて、キスの嵐をお見舞いして来ていた。気を付けないとディープキスになるから、口を真一文字に絞めておかないと大変な事になる。
それは、ロッタがなくなるまで、毎日続いた。

それだけで私はロッタ

もっとみる