【ドラマ感想】捕まったからって、それが悪とは限らない
『新宿野戦病院』の最終回はクドカンの実力と魅力が炸裂していた。
そうか、歌舞伎町の問題を通して、コロナを描きたかったんですね、クドカンは。
最終回でようやく理解して、色んな事に納得してしまった。
いつだってクドカンの作品は、伝えたいことが明確に詰まっている。
そして、それがちゃんと観ている側に伝わってくる。
『あまちゃん』にしろ『ゆとりですが何か』にしろ『不適切にもほどがある』にしても、どの作品にもメッセージが込められている。
皆が思っているけれど、表現出来ないナイーブでディープでヘビーな問題を、明るく面白く、かつ優しく代弁してくれている。
時代を生きている私たちの些細な問題に寄り添ってくれているから、観終わったあとに、爽快な気分になる事が出来る。
まるで観るカウンセリングだわ。
ヨウコ先生、明らかに良いことしてるのに捕まってしまったり、社会の不条理にグッと心がえぐられる。
でもさ、法律とか規則とかのボーダーを取っ払っちゃったら、
「ありがとう。」って言われた数が多い人が優勝な気がしてしまう。
社会秩序とか無くして、人間っていう生物基準で見てみたら、ヨウコ先生は決して悪くないし、むしろ善である。
ただ、それを善としないのは規則や法律。
だから法律や規則は知っていれば武器にはなるけれど、万能ではない。
戦争や災害時、未知のウィルス対策には、全く無用で不必要な物になる可能性もある。
歌舞伎町という、多国籍で様々な価値観やルールで暮らしている人達にも、また然り。
法律なんて無用な社会もある。
平和な社会だから法律が機能していることもある。
野戦状態で基準になるのは、人が持つ道徳心とか、救済心だったりする。
結局、人を思う心と、人を救える力を兼ね備えた人が永久に讃えられる。
コロナを経験した人には、他人事ではない作品でした。
過ぎ去ってみれば、笑い話に出来るけれども、命の優先順位をつけなければならない状態に晒された人達や、大切な人を失なった人達には、ヨウコ先生みたいな医療従事者の方が居てくれたことは救いであろう。
最後のサザンの桑田さんとのコラボも昭和チックで良かったなぁ。
「ヨウコ先生、おっぱい大きい」
なんて、窮屈な価値観の社会で言ったらセクハラだけれど、あの空間でそんな事思う人誰もいないよぉ。
思った事も素直に言えず、ドラマや映画でしか代弁してもらえない社会って何なんだろう。
フィクションの方がよっぽどノンフィクションだよ。
桑田さん同様、素敵なドラマをありがとう!!
永久保存版だな。
取り敢えず、もう一回観よう。