見出し画像

産後に多い不調を漢方で考える 

こんにちは。
台湾から、女性のためのいたわり薬膳を日本にお届けする、YUEZU from TAIWANです。
第2回目のnoteは、産後に多い不調について、漢方の視点から書いてみたいと思います。


産後の不調は全身に出る

産後に多い不調には、例えばこのようなものがあります。

・髪が抜ける
・めまい
・目が乾く、充血
・イライラ、鬱々、不安感、眠れない、動悸、息切れ
・腱鞘炎
・爪が割れる
・軟便、コロコロ便
・足がつる
・疲労、風邪、アレルギー等

頭から手足、目、内臓、精神まで・・・。
産後の不調は全身に出てきます。

出産は大きなイベントで、数ヶ月にわたって心身にとても大きな負担がかかります。だから身体と心両方に不調が出ても、それは当たり前、、ですよね。

でも辛いのは、なぜこの不調が続くのか、漠然としてわからないことなんです。

目に不調が出て眼科に行き、手足が痛くて形成外科に行き、アレルギーで内科に行き・・・
対症療法で凌いでいても、ずっとなんだか元気が戻らない、、そんな方の声を、耳にされることはありませんか?

不調には必ず原因がある

とても興味深いことに、中医学でみると、この不調の連鎖は「なるほど、そういうことだったんだ」と説明がつくのです。

気・血・水とは

中医学の観点から「気・血・水」の概念は押さえておきたいポイントです。

気・血・水とは、人が生きていくうえで必要な、基本物質のこと。

「気」は体を動かす生命エネルギーのこと。
気が充実していれば元気でいられますし、気が全身をスムーズに巡っていることで、
・食欲
・睡眠
・排便
・月経
が整い、同時に
・情緒
も安定します。

「血」は、体に栄養を与え潤し、精神活動の基礎物質になる、心と体の栄養物質です。
血が、筋肉や目などの全身を潤していて、心にも栄養を届けることで心身が安定します。

こうした「気」や「血」のめぐりが悪くなったり、不足したりすると、身体に不調が起こります。

産後の女性は出産で多くの「気」と「血」を消耗します。そして足りない状態がしばらく続くのです。

なぜ?その理由を少し見てみましょう。

産後の女性は気血不足

出産では、まず赤ちゃんを押し出すために相当なエネルギー=「気」を使います。
出産での消耗エネルギーは一般的に2000~5000kcalといわれていますが、これはフルマラソンを走るのとほぼ同じです。

そして出産に伴う出血。9割の女性が平均1リットルの出血をするといわれています。「出産は交通事故に匹敵するダメージ」と言われるのも納得ですね。

そして授乳です。
離乳食が始まる6ヶ月頃まで、1日1リットル近くの授乳が必要になります。母乳はお母さんの血からできているため、授乳は「血」の消耗にあたります。
仮にミルクだったとしても、2〜3時間おきの昼夜問わずの授乳は、お母さんのたくさんのエネルギー=気を使います。


なぜ産後の不調は色々な場所に出るの?

では、なぜ産後の不調は、全身色々なところに出てくるのでしょうか。
それには、中医学でいう「五臓」の考え方から、説明ができます。

漢方では、人の体は「肝、心、脾、肺、腎」の5つのはたらきから成り立つ、と考えられています。これは具体的な臓器ではなく、体内の生理機能(働き)を表したもの。
それぞれに担うはたらきがあり、その働きによる状態が現れやすい体の部位があります。

そしてこの五臓というのが、お互いに繋がっているのです。お互いに助けあい、支え合う母と子の関係があります。

だから、一つの働きがうまくいかずに不調が出て、それをそのままにしておくと、繋がっている別のところにも影響が出る。
親から子へ。そして子から、またその子へ・・・。

そんな風に、それぞれの五臓に関連する心身の部位へ、影響が連鎖するので、産後の不調は全身に出るんです。

不調から、どの五臓が弱っているかを読み取ることができます。


産後の不調は親子倒れと言われます。
母が余裕がなくて子を助けられず、徐々に倒れていく・・・ 
この背景に、「気血の不足」があるのです。

大切なのは、親子倒れにならないように、早めの初期段階で気づいて養生すること!

ゆっくり寝て休むことがなかなか難しい産後こそ、「食養生」=食べるものを通したセルフケアがとっても重要になります。

次回は、食養生って何?どうしたらいいの?ということについて、記事をお届けしたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!