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遠回りしたからこそ訪れた出会い

12月6日に発売を迎える『26文字のラブレター』(遊泳舎 編/いとうあつき 絵)。書店営業に行くと、「都々逸? 珍しいですね」と言われることがよくあります。そこで、noteでは全5回にわたる連載企画「『26文字のラブレター』制作記録」と題して、どのように本書が誕生したのか、その経緯や想いなどを綴っていきたいと思います。

・第1回「出会いは学生時代。10年越しに生まれた企画
・第2回「「思いついたまま」で終わらないために
・第3回「遠回りしたからこそ訪れた出会い
・第4回「どうすれば手にとってもらうきっかけを作れるか
・第5回「関わる人が増えるほど、本は成長してゆく


調べる作業に近道はない


「都々逸」を使った新たな企画が生まれ、「恋愛」をテーマに進める方向性が見えてきました。ところがいざ都々逸について調べてゆくと、古い文献が多く、苦労の連続です。地方の古書店から本を取り寄せたり、国会図書館でひたすら資料を漁ったり……。編集者の仕事は、案外こういった地道な作業の積み重ねだったりします。

可能な限り文献を追いかけたのですが、情報が残っていない作家の方もいました。しかし、都々逸という文化自体は今も途絶えているわけではありません。きっと、まだ世の中に出ていない情報があるはず。そう思った私は、現在、東京に唯一残っている都々逸の歌会に連絡をすることにしました。

かなり歴史のある歌会なので、こんな若造がいきなり電話をかけて、もし「そんな本は認めない!」なんて言われたらどうしよう……と内心怯えていましたが、それは杞憂に終わりました。都々逸の本をつくることを歓迎してくれただけでなく、代表の方と直接お話する機会をいただけたのです。

一人ではたどり着けなかった


私は、企画書や、これまで集めた本や資料などを抱えて、代表のお宅へお邪魔しました。彼は、都々逸の歴史や、かつてのエピソードなどを丁寧に聞かせてくれました。また、「国会図書館で調べても、どうしても情報が出てこない作家の方がいる」という話をすると、なんとその場で古い手書きの名簿をめくり、連絡先を見つけ出してくれたのです。

この素晴らしいご縁により、一気に本書の出版が現実的なものとなりました。同時に、応援してくれる方が増えれば増えるほど、必ず納得のいく本を完成させなければいけない、という想いも強くなりました。

掲載する都々逸が決まったところで、次は本の構成です。同じコンテンツでも、見せ方ひとつで本の印象はガラリと変わります。ここが、編集におけるもう一つの大きなポイントで、その本の未来を左右する分岐点でもあります。

第4回へつづく)

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