10月歌会報告
やっと心地よい秋晴れとなった10/20(日)、月例の歌会がありました。
12名の参加がありました。
早速上位入席の歌をご紹介します。
1席歌は画像と共に。
情景の浮かぶ、美しく夢のある歌。これは恋の歌に違いない!「ひらく」というひらがな表記が良い、「この夜の遠くで」というロマンチックな言葉が時間の共有を表わすと同時に、全体を引き締めている……など、称賛のコメント多数。
作者の南野さんは、自他ともに認める「窓率」高い歌人さんです。
ご本人曰く、たまたま買った某雑誌が「美しい建築と窓」という特集で、しかも羽生くんが表紙!羽生くん自身「窓」にまつわる文章を寄せているそうで、その流れで出来た歌だとか。
一方通行になりがちな、安全なところから外を見ているという状況から一歩踏み出して、双方気持ちの通い合うような……やっぱり恋かなぁ♪
2・3席は次の通り。
2席・安部歌。
短い言葉で柘榴に焦点をあて、かつ人の本性にまで想像の及ぶ歌。
言葉の配置、こなれ感に洗練を感じる。
柘榴は外見と中身がかなり違う果物で、中身の汁感が感じられる。
リズム感も小気味いいなどの評。
鬼子母神のイメージから作ったと言う作者。中が不気味な柘榴から嫌な言葉の粒を連想し、嫌だけれど惹かれる……とも。
2席・伊東歌。
穏やかでしみじみする。優しくて切ない。セリフが詩的。伯母という少し遠い関係の人の言葉のほうが印象に残るのかな……などの評。
明るくしなやかな強さをもった伯母が、ある日ぽつりと「一人の旅は膝がさみしいんですよ」と言ったのです。
自分は元気でどこにでも行けるけれども、兄弟姉妹にも連れ合いにも先立たれて……ということでした。この歌で良い供養ができました。
3席・稲本歌。
情景や祭りの賑やかさが伝わってくると同時に、親子の情愛も感じられる。
弟・自分・父親の3人がバランスよく歌の中に溶け込んでいる。
自分と父親を重ねていて良い……などの評。
過日、故郷に帰省し久しぶりに地元の祭りに参加した作者。
祭りに出る弟が「写真撮っといて」とポンとよこしたカメラが父の遺品で、弟にレンズを向けながら亡き父のことを想ってできた歌とのこと。
他にも個性的過ぎる歌が沢山あり、毎度のことながら採点には苦労しました。
コメントが盛り上がったのは、むしろここに載せていない歌の数々だったかも(笑)。
お近くの方、ぜひ一度体験しに来てくださいね!
ではではまた。