【ブランド戦略論】ブランド構想とその構成要素(前編)
ブランドを構築しようとするとき、その初源には『構想』があります。
・無印良品は「削ぎ落とす」
・レッドブルは「リポピタンDからえら日本のドリンク剤市場」
・ディズニーは「劇場映画をハブとしたエンターテインメント」
※後ほど具体的に解説します。
また、ブランド戦略を考える上で、ブランド構想は根底の土台となります。
■ ブランド戦略の構築
■ ブランド育成における取捨選択の基準
■ ブランド構築関係者の共通認識
これら全てにおいて、ブランド構想を元に構造化されていくでしょう。この記事では、ブランド構築のステップの中で最も根底にある『ブランド構想』について、日本マーケティング本 大賞にて大賞(1番)を受賞した名著「ブランド戦略論 (著)田中 洋」より解説致します。
(※)本記事の内容は、日本マーケティング本 大賞にて大賞(1番)を受賞している、ビジネスパーソンやマーケターのバイブルとなる一冊と言われる名著「ブランド戦略論 (著)田中 洋」の一部内容を元に、筆者が要点をまとめて執筆します。
(※)少々値段は張りますが、1次情報を得る意味でも、この値段でも安すぎるほど、非常に情報密度と情報深度が高い書籍です。ぜひお手に取ってみてください。
『ブランド構想』とは何か?
構想とは、ブランドを構築しようと考える個人や企業が、最初、直感的にあるいは熟考の末に浮かび上がった、事業・商品に関する一定の構造をもった思念です。
その構想は、本当は仮設やある種の「想い」でしかありません。その仮説が実現可能かどうかはまだ不明であって、実践においてその仮説である構想は検証され、またブラッシュアップされていきます。
ブランド構想の初期は、『ある日突然、その人の頭に思い浮かぶ』や『何かの事件やニュース・体験によって触発されて発想される』などいくつかの形を取ります。他社の事業からインスピレーションを受けることも少なくないでしょう。
ただし、ブランド構想は単なる思いつきではなく、ある一定の「構造」を持っている必要があります。構造とは、要素と要素同士の関係が説明されることです。
単に「美味しいドリンクを出そう」は思いつきであり、「フランス産の果実を元にしてフレッシュなジュースを作り、日本の若い女性に飲ませたい」という考えが構造を持った発想と言えます。
ブランド構想について、いくつかの簡単な例をご紹介します。
ウォルト・ディズニーの「ディズニー・レシピ」
ウォルト・ディズニー社は自社の事業に関して1957年の包括的な構想「ディズニー・レシピ」を持っていました。それは、劇場映画を中心(ハブ)として、テレビ、音楽、マーチャンダイジングのライセンシング、出版、雑誌、マンガがその周囲に緊密な関係を持って配置され、さらに、ディズニーランドがもう一つのハブとして映画と共に確立されるという構想です。
リポピタンDから生まれた「レッドブル」
レッドブルによって日本市場にエナジードリンクという新しい市場を開発したディートリッヒ・マテシッツ氏の構想の始まりは次のようなものです。
1980年代にアジアを訪問したとき、彼は日本の高所得者リストを見せられました。そこで第一位であったのは大正製薬の上原正吉氏(故人/元大塚製薬会長)でした。マテシッツ氏はクルマや家電ではなく、なぜ製薬会社のトップが一番の高所得者なのか調べたところ、「リポビタンD」の会社であり、日本には大きなドリンク剤市場があることを突き止め、レッドブルの構想に至りました。
海外で解体される日本製中古カメラから「無印良品」
1970年代、故・堤清二氏率いるセゾングループはアメリカの流通業シアーズ・ローバック社と提携していました。ある時、シカゴのシアーズ本社を訪問した時堤氏たちは、同社の通人販売で売られている日本製カメラが日本から輸入された後一度解体されて発送されているのを目撃しました。
「日本製菓カメラの500分の1というシャッタースピードはアメリカの消費者には使われないような速さだから、その性能を落としてから販売しているんですよ」という担当者たちの説明から、「削ぎ落とす」ことで消費者にとって余分な性能や機能を削ぎおとし、納得できる価格で発売することがあ無印良品の基本構想になりました。
阪神・淡路大震災から「新築そっくりさん」
ブランドの構想とは、上記の例のように明確に図式化されたものである必要はありません。例えば住友不動産のリフォーム新築ブランド「新築そっくりさん」は、1995年の阪神・淡路大震災を当時の高島準司社長が目撃し、死因のほとんどが、家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死だったことから、不動産によるリフォーム事業の構想を得ています。
次記事:ブランド構想の『4つの構成要素』
構成が長くなるので、次の記事で「ブランド構想の『4つの構成要素』」について書いているので、暇つぶし時でも読んでいただけると幸いです。
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