グリザイユ画法に挑戦した話
新しいイラストを描きました。聖騎士シリーズより、第一賢者ルカリス(創作キャラ)です。寸劇と掌編小説のサムネイル用のイラストです。
■ 今回の制作テーマ
前から試してみたかったグリザイユ画法というものに挑戦してみました。グレーで陰影をつけてから塗っていく方法だそうです。
それからお顔の描き方が安定しないので少しずつ練習していこうと思い、顔をお面のように考えてアタリを取る描き方を試してみました。
■ ラフを描く
今回デッサン人形の写真は使わず。その分とても気楽にラフが描けました。
■ 下地を塗る(40%のグレー)
線画だけだとわからないこともあるので、下地を塗ることでキャラクターをシルエットとして捉えることができるのが良いなと思いました。アタリの線はこの時点で消しました。
■ 陰影をつける(60%のグレー)
下地のレイヤーの上にクリッピングマスクで新しいレイヤーを作り、60%のグレーを塗っていきます。(線画は更にその上に配置)
フィギュアの原型を作るようなイメージで陰影をつけるのがポイントだそうです。割と得意な作業かもしれないなと思いました。練習すればかなり早く描けそう。
本当はこの時点でかなり細かく陰影をつけるそうなのですが、とりあえず早く先に進みたかったのでこのまま次の工程にいきました。
■ 下塗り(オーバーレイ)
下地の上にオーバーレイのレイヤーを作り、色を塗っていきます。
Procreateではレイヤーグループ自体にクリッピングマスクをかけることができないので本来はここで今までの作業レイヤーを統合しなくてはならないのですが、なんとなく嫌だったので下地のレイヤーを複製してレイヤーモード:オーバーレイにすることで疑似クリッピングマスクを実現しました。
とりあえず塗ることはできるのだけど、まだよくわからん。この時点では最初につけた陰影がただのグレーの乗算っぽくなっているので、次の工程で影色を整えていきます。
■ 全体の色味調整レイヤー(オーバーレイ)
『陰影をつけたグレーのレイヤー群』と『色塗り用レイヤー群(オーバーレイ)』の間に、更にオーバーレイのレイヤーを追加します。この段階では青のベタ塗り。影色も含め、全体的に彩度が上がりつつ青寄りの画面になりました。
ちなみにこのレイヤー上で色を塗り分けることで影色のコントロールができるようです。
■ 細部の描き込み
色塗り用のオーバーレイレイヤーで、髪のメッシュやハイライト、瞳などを塗りました。ここでもレイヤーグループのクリッピングができないことがネックで、瞳やメッシュを描くのが面倒でした。
どう頑張っても顔が可愛くならなくて一旦ここで作業を終了しました。続きは翌日に持ち越し。
■ 全体影、光、反射光を入れる
ここでグリザイユ画法に飽きて、いつもの描き方を始めました。
全体影を乗算レイヤー(薄紫)、左からの光をスクリーンレイヤー(赤)、右の光をスクリーンレイヤー(薄紫)でそれぞれ作りました。全体影を入れたことで色味がちょっと健康な感じになりました。
お顔のパーツの位置を調整して描き進めます。
■ お顔の描き込み
お顔に濃いめの影をつけました。目元は特に描き込み。情報量UPのために髪にもエンジェルリングとは別にうっすらと艶影を入れました。まぶたで白目に落ちる影を少し濃いめ、赤めにしてみました。
■ 陰影を弱く
一番最初につけた60%グレーの陰影レイヤーの不透明度を13%まで落としました。統合しておかなくてよかった〜!
ブラウスの色を白にチェンジ。ここでようやく最終的な方向性が見えてきた気がしました。
■ 服を追加
何か大きな色面を入れてキャラクターのシルエットを拡張したかったのでローブを描くことにしました。ブラウスの清楚感を残すために背中を見せるダルッとした着方にしています。
この時点でグリザイユ画法を完全に無視。全てのレイヤーの上に通常モードのレイヤーを作りガシガシとブラシで書いていきました。何か膠着状態が解消された感じがして肩の荷が降りたのを覚えています。失敗してもいいからやろう!という気持ちでした。
■ 服を描き進める
通常レイヤーで影色と金のステッチを描き、乗算レイヤーでテクスチャ表現。テクスチャはProcreateのニッコラルというブラシを使いました。
同じニッコラルのブラシを使い、レイヤーモード:追加 で光を描きました。髪にピンク、ローブに黄色です。
後ろ髪のボリュームも少し削っています。
■ 右手を追加(写真トレス)
ローブを描いてもまだ構図のバランスが悪いなと思い、右手を追加することにしました。iPadを机の上に立てて自撮りの動画を撮り、いい感じのショットをスクショしてProcreateに読み込みました。
袖口の形などを整えてトレスしていきます。
肘から腕先に布を繋げて、手の影をオーバーレイでピンクめに塗りました。全体光のレイヤーも使ってうっすらピンクの光を入れています。
思い出したように陰影をつけないver.のグリザイユ画法をやってみました。思ったような色味にできてよかったです。
■ オーバーレイでふわっと光らせてみる
もともとオーバーレイ大好き人間なので、最後にコーラルで左からの光を入れました。顔にもかけようかと思ったけどくどかったのでやめにして、ブラウスきれいだな〜程度にしました。髪とローブにもふんわり光を入れています。筆の跡が出ないようにエアブラシで描いたと思います。
■ 全体の色味を青く引き締める(オーバーレイ)
先ほどのコーラル光のレイヤーの下に、レイヤーモード:オーバーレイで濃いブルーの塗りつぶしレイヤーを置きました。全体の色味が青く引き締まりました。
今回はなんとなく青っぽく色味を振っておきたかったので、不透明度は19%でうっすらとかけました。肌とそれ以外のゾーンの区別がついたと思います。
■ 写真アプリで加工して完成!
ドラマチックというフィルタを84%でかけて全体の彩度を下げつつコントラストを無理なく上げて画面を引き締めた後、ハイライトを-83でかけて彩度を復活させました。
ブラウスの光と影のコントラストを強調してより逆光らしい画面にしました。加工は本当に毎回悩みますね……。基本的にめちゃくちゃ彩度上げたいマンなので画面全体でバランスを取るのが難しいです。
今回は『智慧の間』という何もない部屋が舞台の絵だったので背景を描いていませんが、何か描くと物語性が増すかもしれないですね。
■ おわりに(何か掴んだ気がする!)
今回はとても収穫があったというか、ようやく「何か掴んだ感じ」がした制作でした。年末から何か掴めそうと言い続けていたんですよね。具体的にまとめるとこんな感じです。
① 自分に合う描き方・画法に出会う可能性はこの先もある
これはなんというか、自分は絵が下手なんじゃなくて苦手な手順や認知を求められる描き方をしているだけで、自分に合った方法が見つかればそれだけで絵が上手くなる可能性があるという気付きでした。
日々の基礎トレも大事だと思いますが、その一方で自分の認知や強みに合った描き方を探し続けるのも立派な努力と呼べるものだと思います。
② 制作と部分練習は並行するべし
実は毎回毎回、目を描くときにしっくりこないのが気になっていて、一昨日あたりから目だけの模写を始めました。1つ30分くらいかけて、魅力的だな〜と思う方のイラストの目を模写しています。
魅力的だなと思う目はすごく繊細だったり手数の多い絵柄でそのまま真似して取り入れることはできないのですが、「うわ〜〜〜片目を描くのにこんなに手を入れるのか〜〜〜〜!」みたいな体感を得られたりして自分の制作に戻ったときに勇気が出ます。そりゃ2秒じゃ描けないよな!っていう。素直に尊敬です。
あと漫画的な目の描き方と厚塗りでも馴染む目の描き方を上手くミックスして習得できたらと思っているので、春までに好きな漫画のキャラクターの目を100人分くらい描いてみたいなと思っています。ササッと小ネタの落書きとかもできるようになりたい。
③ お顔がキマるとテンションが上がる
これは真理。一度可愛いな〜と思うスイッチが入ればどこまでも可愛くしたくなるので、お顔は早めに仕上げる習慣をつけたいです。口も難しくて毎回困ってます。
④ 描き込むことでしか解決できないこともある
これは今回特に感じたことでした。お顔のパーツの形を直しても直してもダメで、ケバいかな〜とビクビクしつつもコーラルカラーの影で目の周りを描き込むことで解決しました。
線画と色味の演出だけでは説得力が出なかったんですよね。そういうときは愚直に描き込むしかないこともあるんだな〜と思いました。当たり前かもしれないですが。
アニメ塗りってそこまで描き込みがなくてもかっこよかったりするので凄いな〜と思っていて。めちゃくちゃデザイン力試されそう。好きなアニメを研究してみようと思います!
余談ですが近々、最近気付いた「演出」というものについてのお話をnoteに書きたいと思っています。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
おやすみなさい。