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「人間とは何か」はすべて脳が教えてくれる【読書記】

脳科学者、カーヤ・ノーデンゲン氏の著書。

思考や記憶、知能だけでなく、人間の個性や食習慣、更には薬物等の依存症などにおいて、人間の脳がどのような働きをしているのかを解説している一冊です。

日常的な題材とわかりやすい挿絵のおかげで、脳科学を学んだことのない自分にも読みやすい内容でした。

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(挿絵は全て、著者の妹さんが描かれたそう。凄い)

本の内容的にはごく一部ですが、自分の気になった点を挙げたいと思います。

パーソナリティを探して

人間の「個性」と脳の関係性について語られた章です。

個性には、計画的な行動を意思決定する前頭葉や、モラルに基づいた行動を意思決定する前頭前皮質が大きく関わっているだけでなく、事実についての情報を管理する頭頂葉、感情や記憶を管理する側頭葉なども複雑に関係しているそうです。

自分と考え方や行動が似ている人でも、その人と自分が同じ個性であるか、というとそうではないですよね。「個性的な人間になりたい!」と考えたことがある人は多いと思います(自分もある)が、成長過程が人と異なっている時点で、誰もが個性的なのだろうな、と思いました。

脳内GPS

脳内には、場所細胞、頭方位細胞、スピード細胞などといった、今自分がいる場所や方位、進んでいる速さを知るための脳細胞が存在するそうです。

そしてそれらの細胞(特に場所細胞)の多くは、海馬と呼ばれる部分で生成されており、この海馬は脳の中でも数少ない、新しい脳細胞を生み出すことができる器官である。と述べられています。

つまり、海馬は鍛えられる!ってことですね。

海馬が鍛えられる一つの例として、この本ではロンドンのタクシー運転手が挙げられていました。彼(彼女)らは、入り組んだロンドンの町並みを正確かつ即座に案内しなければならず、多くの運転手はナビを使わないそうです(交通状況が頻繁に変わるため)。

普段から脳内にあるGPS細胞をフル活用している運転手達の海馬の大きさは、一般人と比べて大きくなっているそうです。そして著者は、もし彼らがナビの支持通り受動的に運転していただけだったら、海馬の肥大化は確認できなかっただろう、と考えています。

今やスマホのGPSとマップを使えば、どんな場所にいても迷うことは少なくなりました。ただ、スマホを見ながら歩くだけでは、目印となるような建物や公園、道の特徴といった情報を脳が記憶することができず、結果使われない脳細胞や海馬はどんどんと退化してしまう…。そんな危機感を感じさせてくれた章でした。


脳を知ることは、自分を知ることに繋がる!

この本が気になった方は、是非一読してみてください📖



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