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[ドラマ]街並み照らすヤツら9話

人間界の不条理を知りながら、長く人知れず闘うあるいはやり過ごす中年と、それでも何かを求める若者の対比が熱かった8話。続く9話は、またまた世界観が変わり、昔話の世界が広がっていました。なんだこりゃ?

(以下ネタバレあり)
ずっと流され続けた正義の結論は、彩と離婚し全てを背負って自首すること。泣きじゃくったり、切なそうだったり、格好つけて微笑んだりする森本慎太郎くんが堪能できます。いやそこは本筋ではなく、誰にも頼まれていないのに若者が自己犠牲をすることによって村人を救う構図です。正義自体は、今までのふわふわした印象からきっぱり変わるのですが、場面の印象は、ほぼ「走れメロス」あるいは「銀河鉄道の夜」。その自己犠牲はどこから出てきてしまったのだろう。

対して正義の自首を知った商店街の人々。ほぼ昔話に出てくる、やんや言っているだけの村人です。誰かの犠牲に感謝しつつも自分たちは動かない。「三年寝太郎」だったか、「八郎」だったか、後ろ姿だけが絵本に描かれている村人たちを思い起こします。そんなに無責任で良いのか?自己保身もたいがいにしてくれ、街の人々。

そこに純粋無垢なリナちゃんが馳せ参じます。「裸の王様」のあれです。流れに身を任せる大人達に素直に現実を突きつける。いやSeventeenすごいわ。月島琉衣ちゃん、大人のしかも癖強劇団集団を目の前に演じきります。そういえばこの子が二番手だった。

そして驚いたことに同調圧力で全員が自首します。まだ懲りずに買収工作をする光一とか、澤本刑事のトキメキポイント、何事もなかったように優雅に入院生活を楽しむ日下部刑事が出てきますが、何しろ街の皆が同じ向きに走るのがめちゃくちゃ怖い。保釈された正義を迎える場面は感動半分ホラー半分。村人123…よ、意思を持とうぜ。

最後は、こちらも正義同様つかみどころのないヒロイン彩の独壇場。やっと覚悟が定まるのですかね。彩と正義の心象風景はファンタジー、紙吹雪が舞うなか、満面の笑みで抱きしめあう2人。恋愛物語ならこのままFin.です。澤本刑事の切ない表情と日下部刑事お見舞でのさばさば感がとても良い。本当にこのドラマで吉川愛さんはしっかり覚えました。

あと、残り一回です。だいぶ分かりやすくなってきたとはいえ、正義の裁判の最後にしごくまっとうなセリフを言わせるあたり、まだ何か起きるのではと期待高まります。と同時にこのお話が幸せな昔話調に「めでたしめでたし」で終わることもほのかに期待しています。

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