[映画]ブラム

少し前のオランダの映画です。キネコ国際映画祭の野外上映で鑑賞しました。ブラムは7歳の男の子。とても可愛く、そして個性的。

この個性的というのが大変厄介で、外から見ている分には楽しいし、素敵なお子じゃない?となります。が、このたからものを標準機能を持つ大人に仕立て上げる義務を課された大人、つまり親や先生にとっては苦難。本当に何も言うことを聞かないのです。

何であんなに大変なのか今でも分からないのですが、とにかく標準外の反応をする子供は対応が大変。特に学校という効率的に子供を育成するシステムにおいては、決められたカリキュラムや進級基準というものがあり、それに準じた指導方法があります。先生も親もそしてもちろん子どももそれに従うことを要求されます。誰も悪くないのに圧倒的に噛み合わない世界になるのです。

それを子どもの目線からフラットに描いているのがこの映画の素晴らしいところ。なぜだか自分の思うままに動くと大人が困っている。世界は素晴らしいもの美しいものにあふれているのに大人はそれに気付かない。自分が悪いことをしたと思っていないのに謝ることなんてできない。

新しく現れた代理教師の気さくさや、親や友達のまっすぐな働きかけに助けられたのか、ブラムが1人で成長したのかわかりません。でも、最後にブラムは散々困らせた教師と素晴らしい折合いをつけるのです。それを受け取る教師の態度も素晴らしい。大人も子どもに成長させられるのですね。

子どもが小学生に上がったとき、中学生になったとき、ブラムの両親と同じような気持ちを持つ親がいること。そしてそれだけでなく、この子はこんなにも考えているんだよ、こんなにも美しい世界を見ているのだよ、と教えてくれる映画です。とても可愛らしい映像とともに。

★★★★☆
監督 アンナ・ファン・デル・ハイデ
オランダ 2012年

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原題はFidgety Bram そわそわした、落ち着きのないブラム といった意味のようです。

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