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嚥下食コース料理レポート!〜ハレの日の外食に〜
皆さん、こんにちは!!
訪問リハビリの現場でスーパーSTを目指すyuccoです。
《はじめに》
誤嚥性肺炎で入院し、常食をとることによる誤嚥のリスクが高く、ご家族や友人とテーブルを囲んだ時に同じ食事を食べられない嚥下障害の患者さんは多くいらっしゃいます。
病院ではセラピスト側からの視点だと、絶食から始まるため、ゼリーが食べれた!ペースト状食が食べた!お粥が食べれた!必要カロリー水分がとれるようになった!食事を工夫すれば退院ができる!改善して良かった!!と思ってしまっていました。
コロナの世の中になり、食事中談笑できないことや外食を制限され、楽しみを奪われ、コミュニケーションの機会を奪われ、人との繋がりや心が満たされない想いをたくさん感じました。
食事を楽しめること、同じ食事を味わえること、外食を楽しめることまで改善してこそフルリカバリーなのだなと感じました。
ホテルの素敵なレストランで、嚥下食のコース料理を味わうことができることを知り、患者さんに勧めるにもまずは自分が味わいたいと思い、ホテルニューオータニ大阪 フランス料理「SAKURA」さんに行ってきました!
《入院中の嚥下障害患者さんの想い》
症例さん①
60代で何度か脳梗塞を繰り返し、誤嚥性肺炎で入院している患者さんの嚥下訓練を担当しました。
コロナ前であり、病院からの外出や外泊が可能であった頃、娘さんの結婚の両家顔合わせのお食事会のために外出したいと強く希望されました。
まだペースト状食がなんとか食べられるようになった段階であり、料亭の懐石料理を一緒に味わうことが難しく、レトルトのペースト食を持ち込んでもらいました。私にその様子を話してくださったときは行けたことを喜んでおられましたが、複雑な想いもたくさんあったと思います。
症例さん②
多臓器不全にて入院された患者さんは、代替栄養は拒否しておられ低栄養からサルコペニアによる重度の嚥下障害を呈していました。
年末には毎年恒例のご親戚全員でお店で鍋を囲み、ご馳走をすることをとても楽しみにしておられて、どうしても行きたいと強い思いで食事会の一時外出を希望されました。
その時は昼のみST訓練でヨーグルトやゼリーを数口なんとか食べれる程度の嚥下能力であり、主治医も自己責任、家族責任のもとで一時外出の許可を出していました。
この方もご親戚やご家族と鍋を囲めたことに喜んで報告してくださいましたが、食べれたものは鍋のお出汁とお豆腐のみだったと教えてくれました。
安心して食べられる外食のバリエーションは少なく、その場にいても食を楽しむことが難しい現状を感じました。
《ホテルで嚥下食のコース料理体験》
嚥下障害のある患者さんの外食も難しいですが、赤ちゃん連れで離乳食を持参したり、アレルギーがあって常に原材料に目を光らせないといけない子供との外食も気をつかいますよね。
最近では、ファミリーレストランに離乳食やアレルギー対応食もあり、外食の幅が増えて嬉しいなと思っています。USJやディズニーランドなどのテーマパークでは、上記対応に加え、ペースト状食など嚥下食への対応もしてくれるレストランがあります。
そして、患者さんがどうしても外出したかった両家顔合わせなどのハレの日にも利用できて嚥下食に対応してくだるホテルがあると知り、試食させてもらいました!!
場所は、ホテルニューオータニ大阪フランス料理「SAKURA」さん。
18階にあり、大阪城を眺めながらお食事を楽しみます。
バリアフリーにも対応しており、車椅子対応の広いトイレもあります。
通常食のコース料理と嚥下食のコース料理を1つずつ頼み、両方食べ比べさせていただきました。
![摂食支援 ヨコ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82539413/picture_pc_5d3fb0d42e3cb87576f03b5102ad0772.jpg?width=1200)
写真のように、軟らかくしたり、小さめに切ったり、ペースト状食に加工しても、見た目の彩りや華やかさもあり、ワンパターンになりがちな嚥下食の変化に驚きました。フランス料理ならではのソースをうまく使ってとろみをつけたり、摂食回復支援食「あいーと(食材の形を維持したまま酵素の力で舌でつぶせるほどやわらかく加工した食品)」など市販のやわらか食を使用し、パンやお肉も提供しています。
舌で潰せるやわらかさで、味もしっかりしていて、とても美味しかったです。入院中、患者さんは朝ご飯にパンを希望されることも多く、難易度が高くお出しできないことも多かったのですが、口の中でとろける甘いパン粥のような食パンも提供されていました。
また、ナイフとフォークだけでなく、猫舌堂さんのスプーンも嚥下食の特別コースにはついており、一口量もちょうど良く、食べやすく、一見すると通常のスプーンなところも嬉しく感じました。
《まとめ》
患者さんが誤嚥性肺炎で入院し、嚥下食だとしても経口摂取が実用域になると、食べられることや退院できることにセラピスト側が勝手に良かったと思ってしまっていました。
しかし、退院後の家族や友人と食事を楽しむことこそがゴールであり、そのためにセラピストは機能改善を諦めずに訓練していくことと、素敵な嚥下食を提供してくださるレストランがあることをもっと知ってもらい、利用してもらい、幸せな時間を過ごせる方が増えるといいなと想っています。
退院して自宅に帰ってから、大切な人と大切な時間を幸せに過ごせるように、STとして嚥下機能回復に努めることはもちろん、情報を知ってもらうことで選択肢の幅を広げられるよう、可能性を広げられるよう尽力したいと思います!
全国の悩んでいるセラピストに届くように、臨床のヒントとなり患者さんがよくなるように、心を込めて書いています。応援よろしくお願いいたします❣️