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2つ目の自分(2)>意識不明のときに。
\生きてるだけでえらい。いっしょにがんばりましょう。/
>序章から続きます。
本州の南端にある山口県も、真冬の一月下旬は、寒さで凍てつく。
そんな中の、ある普通の一日だった、
母の職場に連絡が入るまでは。
「娘さんが交通事故に遭った、すぐに大阪に駆けつけてくれ」
救命病院からだった。
何がなんだかわからぬまま、仕事を中断し、父と新幹線に乗り込む。
弟には、近くに住む祖母の家に帰るよう、連絡が入った。
青春真っ只中、荒れ放題の、高校生の弟。だけどお姉ちゃんっ子なかわいい弟。
祖母の家では隅っこで、丸くうずくまっていたそう。
見ていられなかったと話してくれた叔母は、すぐさま弟を大阪へと連れ出した。もう夜が遅いにも関わらずに。
かじかむ指先や、冷たい空気が頬を切る寒さの中、二人は新幹線のホームで列車を待った。
雪までもちらつきはじめる、一月の終わり。
救命に到着し、すぐにICUへと入室の手続きをする。
そこで目にしたのは、ベットに横たわった、意識のない姉だ。
管やモニターに繋がれた、びくともしない、姉。
その瞬間に、16歳の弟は姿を消した。
大阪に住む従兄弟達が、探し回ってくれたと聞く。
「その日は、映画のワンシーンのようだった」
後から叔母が話してくれたこと。
私が瞳を開けるまで、途方も無く時間は流れた。
二十歳意識不明、高次脳機能障害。
赤ちゃんから成長し直し、大学卒業、デンマーク留学、日本巡回写真展、アートセラピスト、6年間の遠距離の後渡米、国際結婚、1/8000人で一等地アパートご褒美の当選
泥臭くクリエイティブに生きるストーリー
続きます。