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映画感想「ホテルローヤル」 寂れたラブホを舞台に欲望が交差😎

「秘密と孤独が交錯する、ひそやかな人間ドラマと官能の瞬間」


1. あらすじ

映画「ホテルローヤル」は、北海道の寂れたラブホテルを舞台に、さまざまな人々の人生が交錯する物語です。主人公・雅代(波瑠)は、ラブホテルを経営する父親の元で成長し、独特な孤独感を抱えながら日々を過ごしています。ホテルに訪れる人々は、それぞれに背負った過去や秘密を持ち、その中で彼女もまた、自分の居場所を探し続けています。物語の中では、ラブホテルという舞台設定を生かした濃厚で過激な濡れ場が描かれ、登場人物たちの欲望や葛藤がリアルに表現されます。この作品は、静かな舞台の中で繰り広げられる人間模様と、誰もが抱える孤独、そして性的な欲望が交差する群像劇です。

2. 感想

「ホテルローヤル」は、静かで繊細な空気感とともに、非常に過激な濡れ場が物語に組み込まれており、視覚的にも感情的にも刺激的な作品です。特にラブホテルという舞台設定を利用し、登場人物たちの秘めた欲望や感情が濃密に描かれています。波瑠演じる雅代の静かで内省的な演技と対照的に、ホテル内で展開される性愛シーンは非常に生々しく、観る者に衝撃を与えるシーンも少なくありません。これらのシーンはただのエロティックな要素にとどまらず、キャラクターたちの孤独や欠落を浮き彫りにし、物語に重要な役割を果たしています。

一方で、これらの過激なシーンに対しては賛否が分かれるかもしれません。物語のテンポを崩してしまうと感じる部分もあり、時折、過度な描写がストーリーの進行を妨げているように思えることも。また、濡れ場のシーンが多い反面、それ以外の部分でのドラマ性がもう少し強調されていれば、全体的なバランスが良くなったのではないかと感じました。

映像美や音楽の使い方は評価できる一方で、物語のテンポがややゆっくりしており、静けさが続くシーンが多いため、一部の観客には退屈に感じるかもしれません。特に、終盤の展開は意外性が欠けており、もう少し感情的な盛り上がりがあっても良かったのではないかと思いました。

3. 見どころ

ポイント1: 波瑠の繊細な演技と静寂の美学
主人公・雅代を演じる波瑠の演技が秀逸です。彼女の内向的なキャラクターと、登場人物たちが抱える欲望との対比が作品全体を引き締めています。言葉少なに感情を表現する彼女の存在感が光ります。

ポイント2: 北海道の冷たい風景とラブホテルという舞台
本作は、北海道の厳しい冬の風景が物語を彩り、孤独感と冷たさが登場人物たちの心情を映し出します。ラブホテルという閉ざされた空間も、秘密や葛藤を強調する場として機能し、物語に深みを与えています。

ポイント3: 濃密で官能的な濡れ場の描写
この作品では、ラブホテルを舞台に展開される官能的なシーンが随所に登場します。これらのシーンは、単なるエロティックな要素ではなく、キャラクターたちの孤独や欠落を浮き彫りにし、物語に一種のリアリティをもたらしています。

4. こんな人におすすめ

静かな人間ドラマと刺激的な官能描写が好きな方へ
感情的に深く掘り下げられた静かなドラマが好きな方や、官能的な要素を含んだ作品を楽しみたい方には、この映画は一見の価値があります。登場人物たちの孤独と欲望が交差する、心に響く物語です。

作品データ

  • 作品タイトル: ホテルローヤル

  • 監督: 武正晴

  • 脚本: 清水友佳子

  • 出演: 波瑠、松山ケンイチ、安田顕、夏川結衣、余貴美子

  • ジャンル: ドラマ

  • 公開年: 2020年

  • 上映時間: 104分

  • 製作国: 日本

  • 配給: ファントム・フィルム


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