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映画感想「万引き家族」家族の在り方を問いかける🧐
「家族の意味を問うリアリズム映画」
1. あらすじ
映画「万引き家族」は、現代の東京で暮らす貧しい一家の物語です。主人公の治(リリー・フランキー)とその妻・信代(安藤サクラ)は、生活のために子どもたちと共に万引きを繰り返して生計を立てています。ある日、彼らは虐待を受けていると思われる少女・ゆり(佐々木みゆ)を見つけ、家に連れて帰り、家族の一員として受け入れることを決めます。やがて、家族が抱えるそれぞれの過去や秘密が明るみに出るにつれ、物語は予測できない方向へ進んでいきます。
2. 感想
「万引き家族」は、テーマが重く、決して「エンタメ性」に特化した映画ではありませんが、その中に人間の温かさや弱さがしっかりと感じられる、非常に濃密な作品です。キャラクター同士の微妙な距離感や、人間関係のリアリズムを丁寧に描写しているところが、この映画の最大の魅力です。
まず、リリー・フランキー演じる治の無責任で少し自己中心的なキャラクターは、現実的な父親像としてとてもリアルです。彼の行動や言動は観ている者を時に苛立たせますが、その中に微妙な愛情が表れており、単純に“悪”と割り切れない人間の複雑さを感じさせます。安藤サクラの信代もまた、経済的困窮に苛まれながらも家族のために動く強い母親像を表現し、彼女の抑えた演技は映画全体のトーンを支える重要な役割を果たしています。
また、松岡茉優演じる亜紀が夜のバイト先で少しセクシーな役を演じるシーンは、リアルな生活の厳しさと同時に、彼女の持つ儚さが引き立っています。あのシーンには、彼女が家族の一員として受け入れられることに対する切なさが表現されており、単なるセクシーシーンに留まらない深い意味が感じられます。
視覚的にも、この映画は細かい部分にこだわりが見られます。生活感溢れるアパートの内部や、雑然とした街並みが、貧困をリアルに表現しており、そこに生きるキャラクターたちの存在感をさらに際立たせています。音楽も控えめでありながら、静かにシーンを盛り上げ、作品全体に自然な一体感をもたらしています。
総じて、家族の絆や個々の人間性を深く掘り下げた「万引き家族」は、観終わった後にも多くの問いを残してくれる映画です。映画自体は決して派手ではありませんが、だからこそ鑑賞後にじわじわと感情が湧き上がってくる不思議な作品です。
3. 見どころ
ポイント1: リアルな人間関係と家族の形
治(リリー・フランキー)の現実的な父親像や、信代(安藤サクラ)の複雑な母親としての立場が、観る人の心を強く引きつけます。二人の微妙な距離感や、それぞれのキャラクターが家族に対して抱く感情の揺らぎが、物語をリアルに感じさせる要素の一つです。
ポイント2: 松岡茉優の大胆かつ繊細な演技
亜紀を演じる松岡茉優の少しセクシーなシーンは、単なるサービスシーンに留まらず、彼女の家族との居場所に対する複雑な感情を映し出しています。松岡茉優の儚げで繊細な演技が、家族の中での彼女の立場を印象づけています。
ポイント3: 貧困のリアルさを映し出す美術と映像
アパートの内装や雑然とした街並みなど、細部にこだわった美術が、物語の背景にある貧困を見事に映し出しています。画面に映る一つ一つの小物や家具にも、キャラクターたちの生活のリアルさが詰まっており、観る者を映画の中の世界へと引き込みます。
4. こんな人におすすめ
リアルな人間関係や社会の矛盾に興味がある人へ
この映画は、社会の中で見過ごされがちな人々の生活や、家族の在り方に対する深い問いかけを投げかけます。感情に訴えかけるシーンが多く、派手さはありませんが、観る者の心を静かに揺さぶります。家族の絆の意味や、個々の人間が抱える矛盾について考えたい人におすすめの作品です。
作品データ
作品タイトル: 万引き家族
監督: 是枝裕和
脚本: 是枝裕和
出演: リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ
ジャンル: ドラマ
公開年: 2018年
上映時間: 120分
製作国: 日本
配給: ギャガ
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