そのへんのOLのカジュアルお遍路のすすめ 6 またまた自転車編(香川県⑤)
第70番から第66番。
いよいよ香川が終わる。
自転車だと無理しがちだよね。
計画を立てるときは、自分の体力とか食事の時間を一切考慮していないので、やってみると後悔することがしばしばある。
そこで少しは学ぶのだが、自分の力で何とかなることは、やはり大丈夫じゃないかと楽観論が勝ち、毎回体力のことと食事のことは忘れる。
7日目 伊予三島
弥谷寺さえ終えていれば残りの香川の札所は、自転車で行ける。
観音寺駅近くの観光案内所で自転車を貸してくれる。
観音寺駅からなら少し戻ることになるが本山寺も自転車で行ける。
大興寺も行けるだろう。
雲辺寺は微妙なところだが、行けたら行きたい。
人類最大の発明かよ自転車。お気軽に遠方まで行けて燃料も要らない。
今回はお尻対策バッチリなので、長時間も問題ないはずだ。
第70番 本山寺
JRの本山駅から歩いても20分かからないし、観音寺駅からそこそこ遠いので、お時間が許す方は本山駅から歩いた方がいいと思う。または弥谷寺に行くときに帰りに寄るのがいいかもしれない。
本山寺から雲辺寺までを同じ日に回ろうとすると、体力と時間が厳しくなる。
サイクリング自体は川沿いを走り、なかなかに気持ちがいい。
本山寺到着!
本山寺のご本尊馬頭観音は不動明王と同じく憤怒の表情で破邪の力を持つ。
三十三の化身の一つではなく、真言系の六観音にのみある化身である。
インドでは神々も輪廻転生する。
そのたびに姿が変わる。
観世音菩薩の化身にはインドの精神世界が反映されている。
また般若心経は観世音菩薩が弟子の舎利子の生きる悩みに答えた内容である。歴史の中の舎利子は釈迦牟尼の高弟だった。
第69番 観音寺
自転車で川沿いを走り、観音寺へ。
観音寺は一宮寺や天皇寺と同じく神社と一体となった、いや神社が主体でそれを管理する寺として建てられたお寺だ。
山門には第68番の名も。
そう、ここは隣接している。
第68番 神恵院
神恵院も観音寺も琴弾八幡宮の伝説の上になりたっているので、伝説を紹介しよう。
時は西暦703年、弘法大師の時代より100年ほど昔のことだ。大きな嵐が三日三晩荒れ狂った。
嵐が過ぎ去ったとき、浜に一艘の舟が流れ着いていて、そこから妙なる琴の調べが流れていた。
そこで中を改めると、中から声がした。
「われは八幡大菩薩なり」
舟には宇佐の八幡神がいたのだ。八幡神は後に阿弥陀如来と習合するが、古くから八幡神自らが菩薩と名乗っていた。
そこで人々は舟を引き上げ祀った。
これが琴弾八幡宮で、観音寺はそれを管理する寺として建てられた。
八幡神は比売神、応神天皇、神功皇后の三位一体だが、このうちの神功皇后は観世音菩薩の化身であるとして、観音寺は正観音をご本尊にいただいている。
神恵院は、そこに弘法大師が阿弥陀如来を安置して建てられた。
なお納経所は一体になっている。
神恵院はコンクリート作りの建物の上で、意外にモダンだった。
第67番 大興寺
ここからが気合いが要る。
大興寺はずっと山の方。本山寺より遠いのだ。
ひたすら漕ぐしかない。
街も段々と寂しくなってくる。
予定は今日はここまでだが、雲辺寺も観音寺駅から行くことになるので、出来ればそこまでも行きたい。
何もない道なので心が折れそうになる。
着いた!
1時間漕ぎ続けた。
東大寺の末寺らしい。この仁王門が有名らしい。東大寺と同様に運慶が仁王門の像を刻んでいるらしい。
第66番 雲辺寺
時刻は午後2時前。
駅までは自転車で1時間。観光案内所に自転車を返却する時間は午後4時半。
雲辺寺はロープウェイで上がれるが、雲辺寺から観光案内所も1時間くらいだろう。
大興寺から雲辺寺のロープウェイの乗り場までは7.5キロ。徒歩だと2時間弱のようなので自転車なら半分くらいだろうか。
ロープウェイがうまく繫がればギリギリ行けるか。
チャレンジしてみるか。
とりあえず雲辺寺に向けて走り出したが、道はゆるやかな上り坂だったので非常に体力を使った。最後の方は自転車ではキツいくらいの上り坂になった。
ロープウェイ乗り場に着いたのは14時40分だった。
きわどいところでロープウェイは出発していて20分待ちだった(泣)
15時半までに戻って来れればOKなのでチャレンジするか!
と頑張った。
ロープウェイの頂上駅から雲辺寺はすぐだ。目の前に見える。次の出発便に間に合うかもしれない!
結論は、そううまくは行かなかったが、帰り1時間の自転車を30分で走って間に合った。(緩やかな下り坂だったのと、車通りがなかったため、何とかなった)
一日でこれだけ回るのは全くおすすめしない。
弥谷寺であんなに余裕かましていたが、この日に相当な無理をしているので、多分お遍路の総日数には影響なかったろうと思う。
郷照寺から甲山寺も無理してたしね……。
雲辺寺でどれだけ焦ってたかの証拠に、写真が一枚もない。
大変だったので頭には強く焼き付いているのだけど、この光景念写できないかな……。
雲辺寺は四国八十八カ所中でもっとも高いところにある。
そのため歩き遍路ならば大変な困難を伴うところだ。
公共交通機関併用ならば、観音寺駅からロープウェイの乗り場までバスと徒歩の併用か、自転車で行くことになる。乗り場自体が高いところにあるので
ロープウェイがあるなら楽々、というほどではないので、注意が必要だ。
頂上駅からは坂を下っていくと雲辺寺がある。駅から出ると目の前に建物が見えるのでこれならすぐに行ける! と思ってしまうが、一度下に降りなくてはならないので、思ったよりも時間がかかった。
帰り、お寺から頂上駅までの上り坂が急で大変だった。特に急いでいると、体力のなさと時間のなさの狭間でくじけそうになる。
写経のススメ
今回から、写経したものを持ってくるようになった。
写経は年に4回、成田山に行ってやってはいた。
敬虔な仏教徒だからではなくて、やり終わった後、頭がすっきりするからだ。
どうやら写経をするとアルファ波が出るらしく、心の健康にいいらしい。
以前非常に苦しい状況の時があって、藁にもすがる気持ちで関東三十六不動巡りをしたことがある。お不動様は浄化の炎を持ち破邪の効能がある。自分の力ではどうにもならなかったことをどうにかしたかったのだ。
関東三十六不動巡りの結願は成田山だった。
お詣りした日はたまたま不動明王のご縁日だった。
何か後押しされるものを感じて、もともと御朱印は写経を納めるときにいただくものだと言うことを耳にしていたこともあって、写経をすることにした。
三十六不動を回った達成感もあったのかもしれないが、写経を終えたときに憑きものが落ちたように開き直れて、前向きになれた。
それから写経に定期的に行くようになったが、写経をした後のすっきり感はただものではない。
写経自体がマインドフルネスで行う様々な行為と同じ効果があるらしい。信仰とは関係なかった。
と言うわけでカジュアルでもおすすめ! 写経。
忙しい毎日の中で、心がわさわさしたら、時間を見つけて写経してみよう。
ちなみにお寺さんに行って写経すると気分が全く違う。
私はご縁があるので成田山に行っているが、関東の有名どころだと鎌倉の長谷寺はおすすめだ。
成田山と違って筆ペンで写経が出来る。成田山は、墨は墨汁だが毛筆で行う。
絵を描くのが好きな人は写仏もいい。
一心不乱になぞっていると、囚われる思いが消えていき、頭が澄み渡る。
そう言えば西洋にはセドナ・メソッドという、心を軽くするやり方があるのだが、これも理屈は同じだ。
心を苦しめるのは自分の記憶なので、その記憶を掘り起こそうとする心をいったん別のことに向けて制止する。
おそらく読経にも同じ効果がある。
うそみたいだけど、これほんとに効くのよ。
最後の質問まで行ってもまだ辛いときはまた最初から始める。3回ほど繰り返せばどんなどん底でも心が軽くなる。
写経、セドナメソッド。これらがなければ立ち直るのにもう少し時間がかかったかもしれないし、耐えきれずに最悪の選択をしていたかもしれない。
人の心はそこまで丈夫じゃない。
そんなわけで写経の効果は認めていて、仏教関係なくおすすめなのだが、お遍路に持っていくとなると心を軽くする効果より何より数が必要で、書きまくらなくては間に合わない。
1枚書くのに1時間半くらいかかる。
八十八カ所の本堂と大師堂で176枚。
お寺で写経するとお値段が1回(1枚)1000円~2000円とそれなりにかかるし、そもそもそのお寺に納経するので持ち帰れない。
自宅でコツコツやるしかないのだ。
こういう折られていなくて綴じられているタイプが、書きやすいと思う。
薄い下書きが入っていない方が、お遍路で納経する時にはおすすめ。
量が多いので、薄い線通りに書くのは骨が折れる。
お手本を下敷きにして書くことになるが、折り目があるとズレて書きにくい。
記録アプリ
Googleマップのタイムラインにも記録はされているが、何年何月何日にそこに行ったかの記録を探すのは最近困難になった。
以前はGoogleマップの場所の詳細に訪問日も書いてくれてたのに。
ロケーション履歴がタイムラインになって、なくなった機能なのか。
それで、iPhoneはよくわからないがAndroidで使っているのがこれ。
今回時間や経路の確認、写真検索に大活躍している。
経路上を触ればいつそこを通ったか時刻まで出る。
それだけの機能だが、これがあるのとないのとじゃ全然違う。
Googleマップのタイムラインが日に日にアホめいてきて、使い物にならないのだもの。
とは言え距離の確認などはGoogleマップのお世話にならざるを得ないが。
ちなみにこの日のサイクリングの総距離は32キロで、郷照寺から甲山寺まで走った日(30キロ)より少し多いくらいだが、サイクリング初心者の素人がママチャリで走る距離ではない。
計算上は自転車で2~3時間なので、計画を立ててる時は行ける行けると思っちゃうのよね。
時間的に厳しかったが、体力的にもギリギリだった。
しかも平地じゃないしね(汗)
次回愛媛編は2024年10月末より掲載予定。