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そのへんのOLのカジュアルお遍路のすすめ 5 再び自転車編(香川県④)

四国に行って思うのは、とにかく食べ物が美味しいと言うこと。
特に高知は以前行ったときに美味しさに感動して全国おいしい県ランキングの4位以内にランクインしているのだが(2~4位が同順位なので4位まであるだけで高知が4位なわけではない)、香川もめちゃめちゃおいしい。


5日目 高松

今考えると善通寺に泊まった方がよかったよね……。
よく下調べをせずに行くとこういう失敗をすることになる。

この日は午前中は足を伸ばして徳島まで行ってきた。

は?
なんで徳島? 何しに?

とナチュラルに思うかもしれないが、フリー切符があったので気軽に足を伸ばしただけで、時間的には高松市内観光をするのとそうは変わらない、はずだ。

第73番 出釈迦寺

でしゃかじと言いがちだが、しゅっしゃかじと読む。

弘法大師が幼少のみぎり、お釈迦様に姿を現したまえと願って捨身した伝説があることから出釈迦寺という名が付いた。

出釈迦寺は善通寺から自転車で行くのが楽だと思う。

名前はあやしいが、公共の施設のようで、非常に安くで自転車が借りられる。
施設内に地元の特産物なども置いていて、買い物も楽しい。

ただ、山裾を行くので多少の起伏がある。気がつくと結構高いところに上がっていた。

町外れは緑が多く、風が気持ちいい。
30分ほど漕いで出釈迦寺に到着した。

やっぱりサイクリングは晴天がいいね!

境内はコンパクトな広場になっていて、賑わっている。

高いところまで登ってきていて、眺めがいい。それだけに自転車はなかなか大変だったが、車がない場合、このお寺は善通寺駅から歩いて行くか自転車で行くかしかないので仕方ない。
午前中徳島にふらふら行ってきたので、自転車しか選択肢がなかった(苦)

歩いていくならここから降りればすぐ(八十八カ所比)に次の曼荼羅寺に着く。
自転車でも駐車場から降りれば同じ道に合流するので無問題だ。

第72番 曼荼羅寺

出釈迦寺からは下り坂なので気持ちがいい。あっという間に曼荼羅寺に着く。歩いても10分くらいだろう。

下の方から入ったのでこんな入口だった。

小綺麗な感じの素敵なお寺だ。

弘法大師が唐から持ち帰った曼荼羅をこちらに安置したためこの寺の名になったという。

山門は逆側だった。

帰りはゆるやかな下り坂で非常に気持ちがいい。

街並みはどことなく昭和ちっくだ。

昭和から離れれば離れるほど昭和が魅力的に感じるのは不思議だ。
大正浪漫が大好きだが、大正も同じように、近い時代にはそこまで魅力的に映らなかったのだろうか?

6日目 高松

何故高松に宿泊したのか今となっては謎だが、香川のお寺は高松から行ったところが多かった。

第71番 弥谷寺

弥谷寺は詫間駅からコミュニティバスを使っていく。コミュニティバスとなると本数が少なくなるので、朝一に行っても帰れるのは午後。
出釈迦寺と同じ日に行けるかと言うと、出釈迦寺・曼荼羅寺までを自転車にすれば行けるはずだ。

この日に飛行機で帰る予定だったので弥谷寺だけの一日だったが、本山寺も行けるのじゃないかと訊かれたら、出釈迦寺と同じ日でなければ行けるだろうと答える。

前後の札所1つくらいは行けるけど、それ以上は無理じゃないかなあ? 公共交通機関では。

交通の便もよくないが、弥谷寺自体がなかなかの難所なので、無理をすることはないと思う。

弥谷寺は、バス停から歩くが、麓からシャトルバス(有料)が出ていたので、そこまで大変じゃなかった。なお2021年から廃止されたそうなので、バス停から本堂まで1時間近くかかるようになったそうだ。

弥谷寺までのコミュニティバス時刻表。
ふれあいパークみのが最寄り。

シャトルバスでも終点からまだ上るので、同じバスに乗り合わせたおじいちゃんはゼーゼー苦しそうにしていた。この建物が見えてやっと一息。
多分現在の有料駐車場の所までバスで行ってくれたと思う。

まだ上る。
麓から上ると540段あるそうだ。
大変そうに思えるが、山寺や滋賀の長命寺の階段の方が高さも段数も多い。両方クリアできているので次の機会にシャトルバスなくても何とかなるかな。

ここが大師堂の入口。靴を脱いで上がっていくと、講堂のような広い空間に納経所もある。

いい天気!

この日は弥谷寺が難所なのと、帰る日なのでここだけで終了。

お疲れさま!

徳島へ行こう

なんで徳島行った!?
リバースだろ? 逆打ちなら最後だろ!?

と言う疑問にお答えしよう。

だってめっちゃ行きたいところがあったんだもん!

高松-徳島間は特急で1時間程度なので、特急乗り放題なら行かなきゃ損でしょ。

眉山天神社

眉山天神社

徳島駅から歩いて行ける。阿波おどり会館のすぐそばだ。
こちらの神社はとにかく御朱印が素晴らしい。

ちょっと奥さん聞いてよ。これ書き入れなんですよ。もう素晴らしすぎて踊っちゃいますよ!

こちらも美しい。こんな美しい字を書けるようになりたい。デザインも素晴らしい。もはや芸術。


忌部神社

最大の目的地は忌部神社だ。

徳島は阿波忌部氏の本拠地で、阿波忌部氏について語り出すとお寺を大きく逸脱するが、いつも逸脱している気もするので続けよう。

昔、神様に託宣をいただいていた頃、おそらく紀元前後から三世紀頃までが舞台だと思う。弥生時代だ。弥生時代は、歴史の時代であるとともに神話の舞台でもある。

一人の神が阿波にやってきた。
大麻比古と言う。
彼は天日鷲という神の子で、天日鷲から麻を授かり阿波に伝えた。
この子孫が忌部氏となる。

その麻は今に至るまで大切に扱われ、天皇即位の儀式の時には、阿波忌部の作る麻で織った麁服(あらたえ)が使われる。

その麻を作る由緒正しい神社が忌部神社で、吉野川にあるのだが、吉野川の忌部神社は忘れ去られ、徳島市内に新たに忌部神社を建てた。
今上天皇の麁服は徳島市内の忌部神社の神職が吉野川で作ったのだそうだ。

徳島市二軒屋の忌部神社

徳島市内の二軒屋の忌部神社すら、観光案内所で訊いてもよくわからないと言われ、神社好きとしては切なかったよ。
忌部神社、めっちゃ重要な神社だから!

吉野川まで行っちゃうよ!

ところが、山瀬駅からタクシーを呼んで忌部神社までお願いしたところ、タクシーの運ちゃん知らないの(涙)

どうして……どうして……。
(現場猫略)

それでも何とか着いた。ここら辺にあると聞いたことがあると言うことで。

「NHKで大嘗祭の特集を見たときに地元の忌部神社が出て来て驚いた。麁服を作るんだってね」
とタクシーの運ちゃん。

そうそう。それそれ。
麁服が麻布で、繒服(にぎたえ)が絹織物になる。繒服は誰でも織れるが麁服は阿波忌部が献上すると決まっているのだ。

吉野川の忌部神社は大分河口から遡ったところにある。吉野川の水運を利用したのだろう。

私たちは現代人の感覚で、舟なんて大変じゃんと思ってしまうが、車が出来るまで、人や荷物をもっとも簡単に運ぶのは舟だった。

衣織比女は御衣織姫かな。
全く注目していなかった記紀にも出て来ない姫神だが、めっちゃ重要な姫神かもしれない。
比理能賣の比理はおそらく大日孁貴(オオヒルメノムチ、天照大神の別名)の日孁の音読みだ。孁はレイ、リと読む。
だからと言って比理能賣が天照大神とは限らない。ヒルメにはワカヒルメとトヨヒルメもいる。ワカヒルメはオオヒルメの妹神だ。この神は記紀にもでてくる。
津咋見は月読?

昔の神々を見るときは、1つコツがある。
漢字の意味にとらわれないこと、漢字は別の読み方で充てていた可能性があること、美称や尊称は落ちたり変化したりすることだ。

それから、名は記紀が先とは限らない。
古社はそれより遙か前、少なくとも5世紀頃までは確実に遡れそうな神社も多い。中央から離れると統制は外れ、古い伝説の欠片が垣間見える。

記紀、つまり古事記日本書紀は8世紀に作られたが、6世紀から国書は作られていた。それらは政争でなくなってしまった。
記紀が作られたとき、時の権力者に都合の悪いものは改変された。これについてはどんな研究者も否定しない。
8世紀は藤原氏が台頭し始めた時代だ。
つまり藤原氏と時の天皇に都合の良いように記紀は改変されている。

改変される前の歴史書にはこれらの神々の神話はあったのか。
かなり離れた地域にある神社でも、記紀にはいない同じ神が祀られていることがある。

地方の古い神社に行き、知らない神を見つけて、社伝を追っていくのが面白すぎる。
特にこの忌部氏はいい。

平安時代に書かれた忌部氏の神話は『古語拾遺』と言って、文庫本でも手に入る。

大麻比古神社

徳島には大麻比古を祀る神社もあるよ!
この大麻比古を追っていくと壮大な神話浪漫があるのだが、徳島編で書くか、別のテーマの記事の時に書くか、どちらにしようか。
ちなみに大麻比古神社は阿波一宮とされている。

実はここは第1番の霊山寺に近い。
そんなこともあって、かつて最寄りの板東駅はとても賑わっていたのだそうだ。
ホームで一緒に電車を待っていたおばあちゃんが、寂しそうに昔の話をしてくれた。

板東駅には大麻比古神社の鳥居が置かれている。

グルメっちゃおう


ほんとにね。四国っておいしいよね。

パティスリー・コンチャ

徳島では、阿波おどり会館の近くにあるパティスリー・コンチャさんのプリンに惚れた。

心躍るプリン

ほぼほぼブリュレ。中はとろとろ、表面カリカリ。甘みを抑えたカスタードにカリカリのカラメルがアクセントをつけて口の中で混ざり合う。神がかって美味しかった。
そりゃー出釈迦寺までのチャリを張り切って漕いじゃいますわ。

キッチンMAMA

時はまだコロナ気分だったので開いてないお店もあった中、とてもおいしい夕食をいただいた。

とろんとろんのオムライス。

これはコンフィかな?
鶏を油で煮る料理なのだけど、めっちゃおいしい料理だよね。鶏がほろほろになる。

店構えも素敵。

とさ市場

なぜ高知に、という疑問はもっともなので、説明しよう。
切符が特急も乗れるフリー切符だったのだ。
特急に乗って高知まで行き、帰りは高知空港から帰った。

高知の鰹はよそとは次元が違う。臭みが一切なく、口にほどける魚のうま味。
ほんとに美味しい。何処で食べても美味しい。
それに、鰹だけじゃないんだ。
味付けのセンスが抜群にいい。
この店に限らずで、ハズレってあるのか? と言うくらい高知はどこも美味しかった。

こんな話してたらまた高知に行きたくなっちゃうわ。
ただ愛媛もヤバいのよね……。
愛媛編で書くけど、宇和島鯛めしは反則だわ。あれ出されたら愛媛イズ・ナンバーワン出さざるを得ない。

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