「陽気さ」の秘密は〇〇の中に。山・食・人すべて最高の国【アルゼンチン🇦🇷】17/54ヶ国目 | 世界一周ふりかえり
2022年12月。
アルゼンチンに降り立った。
1年間の世界一周の半年間を過ごすことになった中南米の旅が、ここからはじまったのだ。
世界最南端の都市ウシュアイア*から南極クルーズの旅を終え、世界一周でわたしが一番楽しみにしていたパタゴニアのトレッキングをしながら北上し、南米のスイスと言われるバリローチェで年越しをした。
(*正確には数年前にチリのプエルト・ウィリアムズが集落から市に昇格したことで、世界最南端の街の称号は奪われてしまったが、今でもウシュアイアはFin del Mundo(=世界の果て)という謳い文句で観光客をあつめている。)
アルゼンチンは過去に何度もデフォルトに陥っているような財政が不安定すぎる国で、現在も現地通貨のアルゼンチン・ペソは暴落中。
しかし、逆に財政不安さえなければ住みたいと思わされるほど、食も自然も社会も、魅力あふれる国だった。
◇トレッキングの聖地。パタゴニアの大自然
アメリカ大陸の南端、アルゼンチンとチリの国境にまたがる不毛の大地、パタゴニア。
名峰フィッツロイや幅5km・長さ35kmに及ぶ巨大なペリトモレノ氷河など、見どころは尽きず、そのスケールの大きさやみずみずしい絶景はパタゴニアでしか見られなかった。
この年の年末は何回トレッキングしたか分からない。
肝心なフィッツロイ登山前に、何でもない坂道でバックパックを背負ったまま足を挫き、薬局で翻訳を駆使しながらなんとか塗り薬を買い、足を固定しながら必死に登ったのも今では良い思い出だ。
連日のトレッキングで絶景に心奪われるのと同時に、氷河が融解していく危機感もリアルに襲いかかる。
エル・カラファテの街からバスでアクセスできる、パタゴニア最大の氷河ペリトモレノは、氷河の川上から押し出されて常に1〜2メートル成長し、同時に1日に何十回何百回もの崩落も繰り返すことで、数十年大きさが変わっていないという珍しい氷河だが、崩落のスピードが加速し、この10年で急に氷河のサイズが小さくなっているという。
エル・カラファテの近郊にある氷河ミュージアムも、半分ほどは、氷河が融けることによって人類や地球に何が起こるかを説明し、しきりに警鐘を鳴らしていた。
行く前はとにかく美しい氷河を見ながらトレッキングをすることを楽しみにしていたが、実際には学び深い経験となった。
◇アルゼンチン牛がうまい!安くて美味しい国民的フードたち
アルゼンチンは、一人当たりの牛肉消費量が世界で最も高い国のひとつと言われているビーフカントリー。
アサドというアルゼンチン流BBQを毎週するとか。
そしてとにかく安い。
サーロインでも100g100円くらいで売られている。
節約バックパッカーの我々はザンビアのザンビーフぶりの安くて美味い国産牛を楽しみに、量り売りにいくものの、いかんせん部位がすべてスペイン語表記でわからぬ・・・。
なんとか翻訳を駆使してお目当ての牛肉をゲットし、ゲストハウスのキッチンでステーキを焼いて食べた時の幸せたるや、忘れられない思い出だ。
アルゼンチンの食の美味さと安さは牛肉だけではない。
お供となるビールも安くて、キルメスというアルゼンチンビールの1リットルボトルや、パタゴニアクラフト缶ビールをを毎日買ってステーキと一緒に楽しんだ。
思い返すと、他にもエンパナーダという南米の揚げ餃子と肉まんを合わせたみたいな国民食や、チョリパンというチョリソーホットドッグ、ジェラートなど、安くて美味しいご飯がたくさんあった。
◇メッシは神。年越しもサッカーソングを熱唱
訪れた2022年12月は、なんとカタールW杯でアルゼンチンが優勝したタイミングだった!
優勝した日の夜は最南端の小さな田舎町ウシュアイアにいたが、それでも熱狂はすごく、中央通りは車が行列してクラクションを夜まで鳴らしまくり、
荷台の上で少年少女がぎゅうぎゅうになって旗を振り回して飛び跳ねたりと、それはそれはお祭り騒ぎだった。
アルゼンチン人がサッカーを応援する際の有名な曲といえば、Muchahos と Ole Ole Olaがあるようで、深夜のバーでも絶え間なく永遠にこの2曲を誰彼構わず抱き合ってジャンプして歌い続けていた。
驚くべきことにこの熱狂は数日では終わらず
年越しを過ごしたアルゼンチンのバリローチェという街では、年が明けて人々が最初に歌いはじめたのもMuchahosだった笑
メッシの祀られ度合いも異次元で、
スーパーに横断幕、メッシの顔がプリントされたポテトチップス、街で見かけるユニフォームは全部10番。
歴史に残る、メッシ率いるアルゼンチンの優勝という瞬間にこの国にいることができたのは、一生の思い出になった。
◇車内演奏にみる、陽気でオープンなカルチャー
サッカーに命を捧げ、陽気で、ご飯も美味しく自然も豊かなアルゼンチンだが、さらにこの国を好きにさせたのは社会の雰囲気だったのかもしれない。
私たちを特に驚かせたのは、公共バスの中だった。
海外のバスや電車に乗ると、車内演奏してチップを集めている人を見かけることがあるが、アルゼンチンは他の国とは違っていた。
バスに乗っていると、どこかの停留所でギターをもった演奏家が乗ってくる。
そして次の停留所までの間に演奏するが、一曲終わると、何と車内に拍手が巻き起こるのだ。
時にはカラフルな格好をした女性二人のパフォーマーが乗ってきて、
デュエットを披露し出すこともあった。そうすると演奏中に乗客が手拍子をしたりするのだ。
私からしてみれば、ただ移動のためにバスに乗っているのであって、
演奏を聴きたくて乗ってるわけではないのに、拍手!?手拍子!?
とんでもないカルチャーショックだ。
そして、演奏が終わった後はチップBOXを持って社内の後ろの方まで歩いてくるが、驚くべきことに乗客の7~8割はチップを入れる。
しかもコインじゃなくて紙幣の人が多い。
そして、手を合わせて素晴らしかったと声をかけたり、
わざわざパフォーマーに自ら話しかけてお礼や感想を伝えたりしている(スペイン語だから詳細はわからなかったがとにかく笑顔で話していた)。
これには本当に驚かされた。
実はその後訪れたチリの地下鉄でも車内演奏にチップを渡す率にびっくりしたのだが、アルゼンチンは特に雰囲気的にも、寛容とか支援どころか一緒に楽しんじゃっている感じ。
私はといえばあまりの出来事にアタフタしてチップも渡せず眺めてるだけで、染みついたジャパニーズカルチャーを自覚した瞬間だった。
またあの陽気なカルチャーに混ざって、次こそはパフォーマーにGraciasと笑顔でチップを渡してみたい。
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