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あなたの知らない経絡の世界~小腸経の巻・前編
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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。
これまで、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経までの流注(経絡の流れ)をみてきました。
今回は、小腸経についてみていきます。
さっそくですがこれを読んでいる方に質問です!
小腸経と言えばなにを思い浮かべますか??
一緒に働く、鍼灸師の後輩に聞いたところ、
「小腸経といえば、ファニーボーン!」って返ってきました。
ファニーボーンって知ってます?僕は恥ずかしながら知りませんでした…
ファニー‐ボーン(funny bone)とは
ひじ先の上腕骨の内側の部分。 尺骨神経が通っていて、たたくと腕や手がしびれるような感じがする。
たしかに、小腸経の「小海穴」は尺骨神経溝の場所で、たたくとジーンとするところですよね。
仰臥位で、肘を曲げ手をお腹に乗せるような姿勢で長く置鍼してると手が痺れてくることがありますが、それはベッドに小海が圧迫されるからでしょう。
鍼灸臨床上では、小腸経は肩痛に多用する経絡だと思いますが、腕以外の流注を知ることで、より応用を効かせることが出来ると思います。
今回の前編では、小腸経のメインの流注(正経)について解説します。
小腸経
正式には、「手の太陽小腸経」と呼ばれます。
小腸経の流注
まず、経絡経穴の教科書に書かれている流注をみていきましょう。
手太陽小腸経
手の太陽小腸経は、手の少陰心経の脈気を受けて小指内側端【少沢】に起こり、手の内側【前谷・後渓】、前腕後内側【腕骨・陽谷・養老・支正】、尺骨神経溝[小海]、上腕後内側を上り、肩関節【肩貞】に出て、肩甲骨【臑兪・天宗】をめぐり、肩上【秉風・曲垣・肩外兪・肩中兪・▲大椎】から、大鎖骨上窩【▲欠盆】に入り、下って心【▲壇中】を絡う。咽喉、食道をめぐったのち、横隔膜を貫いて胃に至り、小腸に属する。
大鎖骨上窩【▲欠盆】で分かれた支脈は頸【天容・天窓】をめぐり、頰【顴髎】に上り、外眼角【▲瞳子髎】に至り、耳の中【聴宮】に入る。頬から分かれた支脈は、鼻を通って内眼角【▲晴明】に至り、足の太陽膀胱経につながる。
※【】で類経などを参考に経穴名を挿入し補足。▲は小腸経所属でない経穴。
小腸経の十四経発揮 経絡図はこちらです。
教科書のベースとなる図で、原文の内容から簡略化されています。
(例えば、通るはずの内眼角や大椎などが示されていない)
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今回も原文に忠実に基づいた模式図作ったので、この流注図を見ながら記事読むとわかりやすいかと思います。
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ポイント①小腸経は「大椎」「欠盆」を通る
小腸経の流れを順々にみていきましょう。
大きく3つのパートに分けて解説します。
A、小指から肩をめぐって欠盆までの経路(模式図で言えば左半面)
B、欠盆から体内に入り小腸につながる経路(模式図で言えば右下)
C、欠盆から顔への経路(模式図で言えば右上)
まず『A、小指から肩をめぐって欠盆までの経路』です。
小指内側端【少沢】に起こり、手の内側【前谷・後渓】、前腕後内側【腕骨・陽谷・養老・支正】、尺骨神経溝[小海]、上腕後内側を上り、肩関節【肩貞】に出て、肩甲骨【臑兪・天宗】をめぐり、肩上【秉風・曲垣・肩外兪・肩中兪・▲大椎】から、大鎖骨上窩【▲欠盆】に入り、
※文献によっては【秉風・(附分)・曲垣・(大杼)・肩外兪・肩中兪・▲大椎】というように、膀胱経所属である「附分」と「大杼」が途中に入る説もある。(附分は類経図翼。大杼は甲乙経より)
手太陽小腸経は小指の外側端に起こり、ここで手少陰心経と接続しています。
小指の外側端から小指外側(尺側)と第5中手骨尺側面を循り、手関節後方の尺骨茎状突起を経て尺骨外側縁に沿って上行し、尺骨肘頭と上腕骨内側上顆の間(ファニーボーンの部分)に達します。
さらに上腕三頭筋の長頭と外側頭の間から三角筋後縁に沿って、肩甲棘下方を循り、脊柱の方向に斜めに行き、肩甲部を縫って、肩上に交わります。
このとき通過する「臑兪」と「秉風」は他の経絡と交会しますので、小腸経以外の異常のときにも反応が出やすい場所だと考えられます。注意が必要です。
「臑兪」(じゅゆ)
取穴:肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部に取る。
交会経絡:小腸経、膀胱経、陽蹻脈、陽維脈
「秉風」(へいふう)
取穴:肩甲棘のほぼ中央上際に取る。
交会経絡:小腸経、三焦経、胆経、陽維脈
第7頸椎の「大椎」に交わったのち、身体の前面に向かっていき、「欠盆」(鎖骨上窩)に進みます。
・「大椎」を通る
「大椎穴」は、陽経はすべて通るとされますので、小腸経も通ることになります。
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