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経絡治療と中医鍼灸の違い

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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。

今回は、「経絡治療」と「中医鍼灸」の違いというテーマで書いてみます。

経絡治療については最初に書いた記事を参考にしてください。

教員養成課程でも、「経絡治療」「中医鍼灸」「現代鍼灸」という3本柱で教育されていると聞きます。

その中でも「経絡治療」と「中医鍼灸」は、いまいち違いがわかりにくいのではと思います。

今回は、「中医鍼灸」を知ることを通して「経絡治療」との違いを整理し、その上で「経絡治療」をさらに理解してもらえたらと思います。

【注意】
中医、経絡治療と言ってもかなり様々なので、この文章はゆーのすけの一意見としてご理解ください。一応、今回アンケート結果を援用することである程度は客観的な視点になるように配慮してあります。


そもそも「中医鍼灸」とはなにか?

私にはこのテーマを独自にお話するだけの知識は十分ではないので、2016年とちょっと古いデータではありますが、『中医臨床』という雑誌の執筆者および読者アンケートの結果をもとに、日本における「中医鍼灸」とはなにかをまとめます。

アンケート結果をまとめた資料はありがたいことに以下のサイト内に無料掲載されています。

『中医臨床』プラス
通巻146号・147号◇【調査報告】わが国における中医鍼灸の実態調査

調査期間と対象:2016年6月30日~7月31日、『中医臨床』執筆者および読者にアンケートを実施(回答率21%)。
回答者数:男性162 名,女性45 名(n=207)
回答者特性:平均年齢54.2歳、鍼灸免許取得後22.6年と、経験豊富な層が多い。

中医鍼灸とは「弁証論治にもとづく治療」

『「中医鍼灸」をどう定義していますか?』という項目で、
「弁証論治にもとづく治療」と考えている者が 82%と多数だったことがわかりました。

(アンケートのグラフの数字計算すると71%だが、多数には変わりない)

以下に該当の考察の文章を引用します。

「中医鍼灸」という言葉は頻用されるが,定義は曖昧である。
日本鍼灸(経絡治療・現代的な治療・積聚等の日本で行われてきた治療)に対して,戦後(おもに 60~70 年代以降)になって日本に紹介・導入された中医学の鍼灸を指す言葉として用いられるようになったと考えられるが,本調査では「弁証論治にもとづく治療」と考えている者が 82%と多数であった。これは多くの者が「理法方穴術」の体系化された鍼灸治療を想定しているものと思われる。

ここに出てくる「理法方穴術」とは、中医における診断・治療の基本的なプロセスを体系化したものです。

その中でも「理」と「法」にあたる段階のときに「弁証論治(病気を分析し治療の方向性を決める)」が大事になります。

理(り):治療理論 → 弁証
 四診から病気の原因や状態を分析し、治療方針の基礎を築く。
 弁証は、「証」を見極めるプロセス。    
 例:患者が「寒証」か「熱証」か、「虚証」か「実証」かを診断する。

法(ほう):治療法則 → 論治
 病気の性質に基づき、治療の方向性(補法、瀉法、調和法など)を決定。
 論治は、弁証の結果に基づいて治療法を決定し、実際の治療方針を具体化するプロセス。  
 例:「寒証」であれば身体を温める「温法」を選択する。

方(ほう):治療方針
具体的な治療プランを立てる。
穴(けつ):経穴(ツボ)の選定
治療目的に応じたツボを選ぶ。
術(じゅつ):治療技術
鍼灸やその他の施術方法を実施。

弁証論治とは、望診、聞診、問診、切診(脈診、腹診など)から、病の病態と病理を分析・帰納する「弁証」と、
この方法によって導き出された証に基づき、鍼灸・漢方の治療方針を決定する「論治」からなります。

余談ですが、1955 年に、任応秋教授(北京中医薬大学)が論文「中医的弁証論治的体系」で始めて「弁証論治」を一つの中医学の重要な概念として提起して、次第に学際に認められてきたということです。
「東洋医学の真髄となる弁証論治への理解について」 廖世新 鈴鹿医療科学大学 保健衛生学部 鍼灸学科

弁証論治と経絡治療の関係

中医鍼灸の大きな特徴は、弁証論治ということです。

では、弁証論治は経絡治療にはないプロセスなのでしょうか?

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