あなたの知らない経絡の世界~腎経の巻・前編
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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。
これまで、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経までの流注(経絡の流れ)をみてきました。
今回は、陰経の中でも重要度や使用頻度が高いであろう腎経についてまとめていきます。
今回の前編では、そんな腎経のメインの流注(正経)について解説します。
腎経
正式には、「足の少陰腎経」と呼ばれます。
腎経の流注
まず、経絡経穴の教科書に書かれている流注をみていきましょう。
※【】で類経などを参考に経穴名を挿入し補足。
腎経の十四経発揮 経絡図はこちらです。
教科書掲載の図のベースとなる図で、原文の内容から簡略化されています。
今回も原文に忠実に基づいた模式図作ったので、この流注図を見ながら記事読むとわかりやすいかと思います。
ポイント①腎経は「踵」に入る
腎経の流れを順々にみていきましょう。
膀胱経と腎経は、「至陰」で接続すると思われるかもしれませんが、第5趾の下(足底側)で接続します。
そこから正経に属する唯一の足底の経穴である「湧泉」を通り、舟状骨粗面の下「然谷」に出て、内果の後「太渓」や「大鐘」をめぐり、分かれて踵に入ります。踵のツボは、「水泉」や「照海」ですね。
・流注が周る謎:昔は踵でぐるっとしてなかった
教科書的には、踵でぐるって1周するという特別な流れになっています。それが腎経の流注を印象的にしているわけでもあります。
でも昔の文献では、ぐるっとしてなかったようです。
例えば、前出の「十四経発揮(1341年・滑伯仁)」 では、
経穴が線で結ばれておらず、あやふやな表現になってます。
「類経図翼(1624年・張介賓)」では、
教科書の順番である
湧泉→然谷→太渓→大鐘→水泉→照海→復溜でなく、
湧泉→然谷→照海→太渓→水泉→大鐘→復溜の順になっていて、ぐるっとしていません。ツボの位置関係から、流注が交わる必要がなくなるためです。
「経穴彙解(1807年・原南陽)」では、
湧泉→然谷→照海→水泉→太渓→大鐘→復溜の順になっていて、太渓と大鐘の位置が通常と違いそうですが、ぐるっとしていないのはこれも同様です。
「鍼灸治療基礎学(1978年・代田文誌・澤田 健)」の経絡図でも、
湧泉→然谷→太渓→大鐘→照海→水泉→復溜の順番になっており、ここでもぐるっとしていません。
しかし「臨床経穴図(1970年初版・木下晴都)」では、
湧泉→然谷→太渓→大鐘→水泉→照海→復溜となっていて、現在の教科書と同様の経穴順であり、ぐるっとしています。
この1970年代あたりから、次第に経穴の順序と流注は今の形のようになりつつあったようです。
(きっとその起源があるのでしょうけど今回わかりませんでした。知ってる方は是非教えてください。)
というわけで、ぐるっとしてると覚えるのでなく、「踵に入っている」ことが大事です。
腎経は踵に入っています。踵の痛みなど、踵の症状には腎経と思い浮かべましょう。
ポイント②腎経は「三陰交」を通る
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