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【本屋さん訪問記】本のすみか(大阪市住之江区)
大動脈をイメージする赤と、静脈をイメージする青。
大阪の大動脈である地下鉄御堂筋線は混雑していることが多く、路線図では赤で表示される。それに対して、路線図では青で表示される四つ橋線は、御堂筋線と並行して走るものの車内はガラガラなことが多い。
そんな「大阪の静脈」の四つ橋線に乗り、西梅田から南へ。終着から一つ手前の駅、北加賀屋に降り立つ。
小さな本屋さん「本のすみか」へ訪問するためだ。
北加賀屋は面白い街だ。
工場跡を利用したアートスペースやミュージアムなどが点在し、アーティストやクリエイターたちの拠点となっている。
言い方はアレだが、静脈の末端とも言える街で、空き家を生かしたアートな街として再生させる取り組みが非常に興味深い。
壁画アートも点在する街で、度肝を抜かれるのが「砂の女」と名付けられたこちらの彫刻。
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住宅地に突如現れる存在感抜群の彫刻。いったい誰が、何の目的で作ったのか。そこに意味はなく、ただ感じるだけ。これこそアートなのか。
濃密な街歩きだが、ここまでは前菜。メインディッシュの本のすみかへ向かう。
「砂の女」を通り過ぎて、駅から3分ほど歩いたところに見えるこちらの建物。一見、昔ながらの長屋の住宅だが、よく見ると「NAGAYArt」と「本のすみか」の看板が見える。
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長屋の文化住宅をリノベーションしており、本屋のほかにチャイ専門店、サンドイッチ店が入る複合施設になっている。1階は3棟分が繋がった共有スペースになっていて、ここで飲食を楽しむこともできる。
本のすみかは、「NAGAYArt」の建物の一番奥に位置する。
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2024年7月にこの場所にオープンしたという店には、新刊・古本・リトルプレス(自主制作本)・絵本などが心地よい間隔で並べられている。
居心地がよく、どの本も手に取って読みたくなる空間だ。
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本棚にある小さな小屋。この中にも本が並べられており、さながら「小さな本屋」である。小物も効果的に並べられた本の魅せ方のセンスに、とにかく唸らされる。
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こちらの本は、本のすみかが企画・編集したというリトルプレス。多種多様なかたちで本を売る、全国の「いろいろな本屋」の店主も執筆に参加し、それぞれの活動がまとめられている。移動型・オンライン・シェア型・山の上のお店など、様々なスタイルの本屋さんが登場してとても興味深い一冊。
本のすみかも、店主の小林晴奈さんが実店舗をオープンさせる前は「みつばち古書部」というシェア型の本屋さんで本を販売していたのだそう。
実店舗を構えるにあたり、「本のすみか」という屋号を決定したという。この由来が気になって聞いてみたところ、「『いろいろな本屋のかたち』の書籍に書いてみたので、ぜひ読んでみてほしい」とのこと。続きはwebで、ならぬ続きは本で。続きが気になる。
『いろいろな本屋のかたち』を含む5冊を購入して本のすみかをあとにし、同じ施設内のサンドイッチを共有スペースでいただきながら読書タイム。落ち着く空間で本にまみれる、幸せな時間を味わった。
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さて、気になっていた「本のすみか」の由来。私はてっきり、本が暮らすような空間という意味だと思っていたのだが、違った。『いろいろな本屋のかたち』を読んで分かったのは、店主の小林さんが好きだというバンド・藍坊主の楽曲「星のすみか」から1文字変えて採用したのだそう。この部分を読んで、「ふぁっ!?」と変な声が出てしまった。何を隠そう、藍坊主は私も大学時代にドはまりして、『ヒロシゲブルー』というアルバムを擦り切れるほど聴いていたからだ。
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久々に聴いてみると、伸びやかな歌声とまっすぐな歌詞、明るい楽曲に、懐かしい思い出がよみがえる。
「春風」という曲の希望に溢れた前向きさと、「追伸、僕は願う」という曲の切なさ、好きだったなぁ。
余談が過ぎたので、このあたりで締めくくる。
癒しの空間のNAGAYArtと、素敵な本屋さん「本のすみか」。
さらに街全体でアートが楽しめる北加賀屋という街は、「大阪のカルチャー・アートの大動脈」と言えるかもしれない。
大阪に訪れた際には、少し足を伸ばしてみてはいかがだろうか。
書店情報
本のすみか
大阪市住之江区北加賀屋2-4-2 NAGAYArt No.3