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脳腸相関で、自分と大切な誰かを救える話

『脳腸相関』という言葉をご存知でしょうか?
脳腸相関とは何なのか簡単に説明すると、
脳と腸が互いに影響を及ぼし合っている関係のことです。

お腹の調子がよければ、精神的にも安定し、
逆にイライラしたり集中力が続かなかったりする時などは、お腹の調子が悪かったりと、
肉体的にも精神的にもリンクしているわけです。

今回は脳腸相関のしくみに基づき、自分の心の守り方や、大切な人をサポートするヒントになるような記事を書こうと思います。


時には自分の感覚を疑うことも必要


世の中には、どんな逆境にも負けない
「頑張り屋さん」がいます。

「私はまだやれる」
「私はまだ頑張れる」
「うまくいかないのは私が未熟だから」

自分を鼓舞することで、時には高いパフォーマンスを発揮する人もいますが、そういう人ほど

『私はストレスを感じない』

と思い込んでいる傾向があります。


ストレスとうまく付き合っていく術を持っていて、結果的に『ストレスを感じない』のであれば問題ありませんが、
ストレスがあるのにも関わらず、気合や自己暗示でもみ消そうとしてしまう人は注意が必要です。

事実、激務による過労死を遂げた人の中には、そういった過剰なポジティブシンキングや、或いは自分への過小評価をしがちな性格の人が一定数いるといわれています。

『自分はまだ頑張れる』
『・・・本当にそうか?』

時には自分の感覚を疑う必要もあるかもしれません。


体が全部教えてくれる

自分の感覚を疑う時に役立つのが『脳腸相関』です。

便の観察をしてみてください。
観察とはいえ、じっくり見なくても大丈夫です(笑)

心身の疲労を自覚していなくても、便のコンディションが悪ければ、そこで一度自分の体調を見直すきっかけになります。

逆に、気分があまり上がらないなと感じていても、お通じがすこぶるよかった場合は、

“自分が感じてる悩みなんて実は大したことはないのかも”
と気持ちを切り替えることもできます。(実際、ほんとに大した悩みじゃなかったりします(笑))

便だけでなく、体の不調というものは、身体からのサインです。
自分の感覚を過信することなく、自分の体のサインにも気を配ることが大切です。


自分のことは自分が一番わかってない

個人的な意見ですが、私は基本的に
『私のことは私が1番わかってる!』
という人をあまり信用していません。

なぜなら、これは感覚的なセリフだからです。
本当にそうなら、病気などの不調に対して事前に対応できるはずです。

更には、周りに感情を振り回されることもなく、うまく自分をコントロールできるでしょう。
しかし実際にはそんなこと不可能です。

自分のことは自分が一番わかってない
だから体が教えてくれるんです。

頭の中で感じた本当のところは、全て腸が教えてくれます。


鬱になってしまった同僚:前編

ここからは、脳腸相関にまつわる私の体験談をお話します。

ヘッドマッサージを習得して間もない頃、同僚のセラピストのAさんが練習相手になってくれたことがありました。

練習相手になってくれたAさんは40代の女性。
日頃からとても明るく、職場ではムードメーカー的な存在で、おしゃべりとお酒が大好きな人でした。

そんな彼女にヘッドマッサージをした時の第一印象は、とにかく頭皮が硬い!ということ。

まったく頭皮が動かないのです。

私は『ヘッドマッサージのやりがいがあるなぁ』と思いながら一生懸命、でも力が入りすぎないよう気をつけながら施術しました。

施術が終わると、
『気持ちよかった!』
『家に帰ってもすぐ眠れそう!』
とポジティブな反応を見せてくれました。

単純に、ヘッドマッサージで誰かの役に立てたことがすごく嬉しかったです。


それから約2年後、Aさんは一身上の都合により退職することになりました。

別れの時も相変わらず元気いっぱいで、湿っぽい感じにもならず、『また遊びにくるね~』といった感じで職場を後にしました。

私もそれから、協会の非常勤講師を経て、認定講師を務めるようになったりと、頻繁にAさんと連絡を取り合うことこそありませんでしたが、お互いに別々の道を歩き始めていました。


鬱になってしまった同僚:後編

私は講師を務めるようになったものの、サロンにも時々顔を出したりしていました。
指名のお客様を接客したり、同僚や後輩たちと情報交換をしたり・・・。

ポジティブな情報もあれば、ネガティブな情報もあるのですが、中でも私が耳を疑ったのは、かつての同僚であったAさんがうつ病になったということでした。

あんなに天真爛漫なAさんがなぜ?

うつ病は誰が患ってもおかしくない病気ですが、正直、一番彼女には縁遠い病気なような気がして、だれもが信じられないといった感じでした。


そこでふと私の頭の中をよぎったのが『脳腸相関』という言葉。

思い起こせば、
彼女は常に陽気であったものの、『お通じが良くない』という悩みを抱えていました。

私とは異性でもあることもあってか、それについて込み入った話は当時しませんでしたが、

脳腸相関に紐づけて考えると、もしかしたら、あの元気いっぱいな性格の裏で、抱えていたストレスか何かがあったのかもしれない。

何より、練習相手になった時に感じた頭皮の硬さがそれを物語っていたじゃないか・・・!


練習相手になってもらった時の私は、ヘッドマッサージの手技こそマスターしたものの、まだ知識を手技に落とし込めていない状態でした。

『自律神経のしくみ』『不眠』『鬱』そして『脳腸相関』

すべての知識が浅かったのです。


知識があれば・・・『脳腸相関』の知識があれば何か違ったんじゃないだろうか。

大きな変化をもたらすことはできなくても、
「なんか無理してない?」
など、ちょっとした声くらいはかけられたはず。

“タラレバ”なんてナンセンスですが、その時心の底から、知識を持つことの重要性を感じました。

そして、施術の価値とは、手技と知識が一体化してはじめて創出されることも、この時痛感しました。


最後に

Aさんはしっかりと治療に専念して、無事に回復することができました。


久しぶりに会ったAさんは昔のように元気いっぱいで、この前までうつに悩まされていたなんて信じられないほどでした。

うつの原因は本人曰く、
新しい職場での人間関係が上手くいかなかったからとのこと。

だけど実際は、それが本当の原因かどうかはわかりません。

本人はそう感じているかもしれませんが、
昔から仲間想いで、利他的にも行動できるAさんの姿を、私は何度も見てきました。

『私はいいから!』『うん!大丈夫大丈夫!』

昔のAさんの姿が目に浮かびます。

「全然よくないし、全然大丈夫じゃなかったじゃん・・・」

心の中でそう思いながらも、とにかく最悪な事態にならなかったことに胸を撫で下ろしました。


きちんとした知識と技術があれば、Aさんみたいな人をたくさん支えることができる。

現状にあぐらをかかずに、日々精進することを改めて心に誓った出来事でした。

森脇ゆう/一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会福岡講師

【ヘッドマッサージ・ドライヘッドスパの資格講座】
一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会HP『head life』


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