「荘厳」と「斬新」の和庭園
ご自宅のリフォームの際に本格的な“お茶室”を作られた山口様より、お茶室が惹き立つようなお庭リフォームのご依頼をいただきました。
山口様邸は敷地条件がかなり特殊で、建物と今回工事を行うお庭スペースが、38段の階段を上がったところに広がっています。
ダンプや機械が進入できないため、大きな石や重い材料などは使うことが出来ません。
階段の幅も限られているため、工事で使う材料はかなり慎重に選択する必要がありました。
さらに、お庭の外周を3mほどの高さの擁壁に囲まれているため、圧迫感・閉塞感を感じてしまう状況でしたが、この「迫りくる壁」を逆に利用したプライベートガーデンを考えました。
施工前の状態がこちらです。
そして、完成したエクステリアがこちらです。
ウリン(ハードウッド)を使った斬新な形状のウッドデッキ
『露地』(茶道の世界でお庭の事)の主役はリビングと茶室を繋ぐ大きなウッドデッキです。
元のお庭の大部分を占めていた樹脂製のウッドデッキも、この機会に本物の木を使った本格的なものに取り替えました。
使用した木材はデッキ材の中でも最強を誇る『ウリン』を使用しています。 30年以上の耐久性があり、メンテナンスをしなくても腐りにくい特殊な木材です。
デッキの下は雑草対策のために『真砂土』を使用しました。
浸透性があるので水溜りになることなく土に浸み込みます。
お茶室への待合用として、ベンチを作りました。
ちょっとしたお茶も楽しめる空間になっています。
異彩を放つアルミ製のゲート
『露地』の中心には、木製ではなくあえてアルミ製のゲートを設置。
空間を分断することで雰囲気を変えています。
『露地』のつくり方には『一重露地』『二重露地』など、敷地の広さににあわせた方法があります。
今回は限られた敷地の中でしたがゲートを2回くぐって茶室に達する『二重露地』のように設計しました。
アルミゲートの縦格子が和の雰囲気を作り、シャープな形状がモダンな雰囲気を演出しています。
和の常識を覆す、ステンレスの蹲
茶道の中でなくてはならないアイテムは『蹲(つくばい)』です。
今回はステンレスでできたガーデンパンを『つくばい』として使用しました。
ここは山口様のアイデアで、しっとりとした庭にシルバーが映える、斬新な『つくばい』が誕生しました。
飛び石と洋風な乱貼りの融合
通常『露地』には飛び石を打ちます。
今回は長野の『佐久鉄平石』を使用し、洋風の住宅でよく行う『乱貼り』と『飛び石』の要素を同時に演出しました。
起伏をつけることで野山を歩いているような気持ちを味わえます。
古代の雰囲気を醸す黒レンガ
アプローチからウッドデッキへ上る階段も石貼りで構成し、花壇は万里の長城で使用されているという黒レンガを使用しました。
アンティークな風合いが空間に趣を与えます。
艶のある露地の植栽
点在していた植木類は、『露地』の雰囲気に合わせて伐採しました。
植栽は山口様がご用意され、植え込みされました。
一番目立つのは『オオトクサ』。
通常のトクサの3倍くらいはありそうな大きなトクサです。
空間の仕切りの役目も果たし、『露地』にもインパクトを与えています。
シダや笹を配置し和風のセレクトでアレンジされています。
妖しく光る沓脱石
最後にようやく茶室に到達します。
茶室に入る前には『沓脱石』(くつぬぎいし)を使って上がります。
通常は大きめの自然石を使うところですが、今回はなんと「ステンレス」で作りました。
特注のステンレスの台座に強化ガラスを嵌め込んで、中が見えるようになっています。
箱の中には山口様の近所の工場から出るステンレスのクズを集めて中に入れてあります。
昼間とは別の貌を見せる夜の和庭園
夜も楽しめるよう、LEDを使ったライトアップの計画も立てました。
照明器具をしかるべき場所に配置し、陰影が楽しめるようになっています。 意図的に設けたお庭内の高低差による危険性を回避するのにも大きく役立っています。
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