
うつくしいひと、そしてお知らせ-コンサート制作記④
コンサート制作記、第4段はビジュアル制作のことです
コンサートの企画が諸々定まってきた。
何をやるか、どれを進めるか、どう伝えるか。
思えば基本的なことを決めるのに、こんなにワクワクして色々なことを話したのは久しぶりだ。
書き記していないやりとりもたくさんあるものの、残している記事たちに我ながら足跡を見出しては励まされていたりする。
どうせなら、まだ知らない美しさを
さて。
どう伝えるか、の一環としてかなり重要視していたのはビジュアルだ。コンサートにまつわる視覚の要素は思いつくだけでもかなり多い。ポスター、webなどの事前に出すものはもちろん、衣装やヘアメイクといった演者の出立ち、舞台の上の世界、なんなら裏設定と言って差し支えないコンセプト上の物語も、ある意味ではビジュアル戦略に関わってくる。
アートディレクターとして入ってくれたのは山口菜月。以下、なっつん。
建築をバックボーンに持ちつつあらゆるカルチャーに精通し、好奇心と美意識と色彩感覚が桁外れに素晴らしいひとである。
多くの場合、アート周りについてはある程度企画が定まったものを依頼して→解釈して表現していただくステップだと思うけれど、今回なっつんがコンセプト設計の最初期から関わってくれていたのでかなりありがたかった。どんな想いで何をやるかレベルのところから知っていたので、私たちのやりたいことへの理解だけでなく、私たちが彼女のやりたいことへの理解をすることもとてもスムーズ、もう単純に言えばツーといえばカーみが最高だった。
今回、門外漢の私となっつんが入るときに「私たちもやりたいことをやる」、と決めたのだった。私たちがいるから出来ること、私たちが作るから生まれるもの、というのはあるはずで、それを彼女たちの存在する歌というフィールドにリスペクトを込めつつ落とし込みたかった。
なので、メインビジュアルやプロフィールなどにおいて、いわゆるクラシックのコンサートによくある構図というか「上品な色のドレスを着て斜めの角度からのバストショットでバキッとした照明の当たったとびきり優しい笑顔…」という写真からは逸脱したかった。
やはり一度型にはめる。破るために
最初に、なっつんはコンセプトを打ち出してくれた。資料のたたずまいが型のそれというか、プレゼン慣れしすぎてて笑っちゃったけど(同時に彼女のこなしてきたあらゆる場面での活躍を思わざるをえなかった)、わかりやすい。


※権利関係に配慮し、なっつん直筆のイメージ画以外の資料部分にモザイクをかけさせていただいております。
今回なっつんが打ち立てた「像」としての「愛人」と「妻」は紛れもなくどんな生き方をして何を感じながらモーツァルトの音楽と共にあったかを表現するものだった。“見た目は中身の一番外側”という言葉を時に嬉しく時に切なく感じながら生きてきたが、今企画に関していえば外側を超えた「解」のようにさえ思った。
撮影まではなんだか忙しくてとびきりキュートな期間だった。衣装を取り寄せ、ふたりの女の人物像を語り合い、撮影をなっつんの自宅でシミュレーションし、メイクのリハーサルをし、イメージ画像をあらゆるところから持ち寄った。どの作業も可愛くて綺麗で楽しかったし、不思議なことに主役のふたりが次第に役柄としての雰囲気を纏っていくのがなんとなくわかるのだった。演者という存在は、すごい。
やっと会えた、「ふたりの女」
撮影はなっつんの得意とする自然光の入るスタジオで行うことにし、集合はなんと朝7時!撮影資材の大きな花束を抱えて歩いた真っ暗な冬の早朝の街はまだ真夜中の匂いが残っていて、頭上の星が綺麗だった。緊張する場面をのちに控える中での、おはよー!という挨拶のなんと力の沸くことよ。
当日のふたりの姿を、見てほしい。


あ、いる。と思った。
長らく心の内で、頭の中で、あたためていた「モーツァルトの愛人と妻」。そのふたりが、いた。
なんだか感動とか以前に嬉しかった。やっと会えたね。待っていたよ。
撮影には人手があった方がいいよな〜という発想でアシスタントとして立ち会ったが、予想以上に目まぐるしかった。ラッキーなことにかなりしっかりした照明などの機材を借りることができたが、もう本当に、それ以外は良くも悪くもDIYにも程があるという感じだったので

風を送ったりとかもした。
仕上がりはこうだ。

なっつんの発想がもうめちゃくちゃ面白くて。
超大きいゴミ袋を被せて、

発光するヴェールを纏ったみたいなまろやかな光を作り出したりする。

本当にかっこいい
かくして出来上がった写真たちの、美しさよ…








初めてデータの上がりを見た時、なんていえばいいかわからなかった。かっこいい。綺麗。素敵。そんな、いつも口にしてきた褒め言葉がどれも足りない。そんなふうにさえ思った。
守られてきた、一番美しく正しいとされるもの…そうしたある種受け継がれてきた伝統的なスタイルだって、間違いなく素晴らしい。けれど、今回撮られた写真たちはなっつん、おさと、まいまい(僭越ながら私も)にしか作れない世界で、そんな合作を以ってお知らせができることが、ただただ嬉しい。
というわけで、お知らせします!

『ふたりの女 -愛されたモーツァルト-』
【日時】
2022年4月17日(日)
開場 13:30 / 開演 14:00
(終演予定 15:30)
【会場】
山口県岩国市周東文化会館パストラルホール
(山口県岩国市周東町用田137-8)
【チケット】
来場チケット ¥2500
生配信チケット ¥1000
【ご予約】
https://yobuonna.wixsite.com/futari-onna
===============================
あまりにも素敵な彼女たちの姿に心打たれ、ギャラリー的な役割も兼ねた告知媒体出来ないかな…という発想からweb作ったりもしました(WIX、ありがとう!とても使いやすかったです)。
ささやかな感謝の気持ち、プレゼントに代えるような気持ちで作ったwebなのでお手製感もアリアリなのだけど…演者プロフィールとかにもこだわってたりするので、こんなことを言うのはちょっぴり恥ずかしいけれどよければぜひ、ぜひ隅々まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
演奏会が出来ないかもしれないというところに立たされながら、本当にやりたいことや歌いたい歌、これから何が出来るかのレベルから考え直して、生まれ変わったみたいな気持ちで作ってきました。素敵なコンサートに創り上げるので、どうか多くの方に楽しんでいただけたらと切に願っています。
そしてこれからもコンサート制作記録はたべもののはなしに混ざって書いていくので、ぜひ併せてお楽しみください◎
本番は来年の4月。
佳き日に、なりますように。