事業と組織をドライブさせるスタートアップの人事はもっと評価されるべき
この記事はStockmark Advent CalendarDay 3の記事です
ストックマークHR高橋です!
ストックマークの中で人事として主にTech領域(エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、リサーチャー)などの採用と組織開発を担当しています!
ストックマークには2022年8月に入社し、人事としてのキャリアをスタートさせました。それまでは、スタートアップでセールスやマーケティング、事業開発やプロダクトマネジメントなど、その時その時必要な役割を全うするという動きをしていましたが、縁があり、今はストックマークにて人事にフルコミットしています。
最近LAPRASさんに取材して、いただきました!
人事を初めてやる中で感じたことは「想像以上に大変」ということですwしかし、市場における人事の評価で見ると、まだまだ評価されていない職種なのかなと感じております。(※ストックマーク含めて、会社によっては人事を高く評価し、大事に思ってくださっている会社もあると思いますが)
「事業をドライブさせるスタートアップの人事がもっと評価されて欲しい!」という想いの元、この記事を書くことにしました。私個人が採用ロールが大半を占めているので、採用に偏った話になりやすいことはご了承ください。
今回は以下の内容についてお話します
同じくスタートアップの人事の方々や、人事を採用しようとしているスタートアップの方に是非読んでいただきたいです!
スタートアップの人事はなぜ評価されにくいのか
いくつかの視点に分けてお話します。
1/ 人事の業務範囲が多岐にわたりすぎている
スタートアップの人事は、タスクが山積みになっています。 業務範囲が多岐にわたりすぎているため、やることも多く、一つひとつのテーマも難易度が高く重たくなりがちです。そのため一つ完成度高い状態にもっていくことだけでも時間がかかり、そのため評価されにくい状態が発生しやすいのです。
2/ 人事には一人で完結することがなく、他部署との連携がマストになる
採用一つとっても一人で完結することがないのが人事です。人事が母集団形成からカジュアル面談、面接、オファーまで全てをやることはできません。現場の協力がマストになります。
私はエンジニア採用などもしていますが、私が精度の高いエンジニア求人を作成することはできません。そのためエンジニアリングマネージャーや各部署のユニットリーダーの協力を得て求人を作成しています。また面談や面接でも自社の組織について一番語れるのは現場です。またオファーにおいても現場の協力が必要です。現場のマネージャーから直接「あなたに来て欲しい」とアトラクトすることで内定承諾率の向上に繋がります。
人事はそういった現場の協力を得ながら、採用成功に向き合っていきます。
評価ー等級ー報酬なども人事の一存で決めるわけにはいきません。経営層や役員陣、現場のマネージャーとも連携をしながら、会社のスタンスを決めていきます。
3/ スタートアップ中心に経営者や現場も採用にコミットする全社採用の文化が進んでいるが故に全員なんとなくできそう感がある
前述の一人で完結しない問題とも繋がりますが、ここ数年スタートアップ中心に全社採用のブームが訪れています。採用は人事だけでするものではない。経営者や現場がコミットすべし。という風潮の元、経営者やCTOが自らスカウトを打つ企業も現れてきました。みんなやっているからこそ、人事の介在価値を出すハードルが高まり、介在価値をしっかり出せないと評価されにくい状態になっていると感じています。
4/(特にスタートアップの場合)予算もリソースも限られているので、泥臭い限られた手法で戦わないといけない
スタートアップの人事の予算とリソースは限られています。そのため採用においては、大規模なイベントやFeeの高いエージェントを多用することが難しい。そのため泥臭いスカウト/ダイレクトリクルーティングに頼るケースが大半です。各媒体のデータベースを眺めて、スカウト対象者をリストアップし、カスタマイズしてスカウトを送る仕事は地味であり、そういった地味な積み重ねで採用成功に至るのです。
組織開発においても外部のパートナーを使うことに限界があるため、自分たちでなんとかすることが多く、客観性が持ちづらいため、現場との合議性で進めることが多く、そのため評価しにくくなってしまいます。
スタートアップの人事が凄い理由
以上の背景を踏まえて評価されにくくなっているスタートアップのHRですが、私は声を大にして言いたい。スタートアップの人事は凄い。その理由をいくつかご説明します。
1/ 多岐にわたりすぎている業務の中で、フォーカスすべきポイントを定めて優先順位をつけ、取り組んでいくことが求められる
組織はプロダクトだ。とも言われます。人事は業務範囲が多岐にわたりすぎているので、全てを一気に取り組むことはできません。そのため事業/組織の状態を俯瞰的に見ながら、フォーカスポイントを定めて、優先順位を設計することが求められます。「今何をすれば事業/組織がドライブするのか」ドライバーを探して捻る深い思考が求められます
2/一人で完結しないからこそ、他部署を巻き込み、人を動かす力が求められる
人事は一人でできることはありません。従業員と一緒に取り組んでこそできます。経営者やマネージャーが多く、自分よりもレイヤーが高い人と向き合うことが珍しくありません。また事業の最前線で向き合っている現場マネージャーと同じレベルの事業/組織の解像度でコミュニケーションを取らないと信頼を勝ち取ることはできません。複数組織の採用を取り組む場合、各組織においても解像度を高めなければいけません。 また「人を動かす力」も求められます。コミュニケーションを取るだけではなく、どこに協力して欲しいのか、どう協力してもらえると効果が高いのか、しっかり見極めて、お願いする力も求められるのです。人は論理と感情の両方を持って動く生き物なので、両刀を使いこなせないといけません。
3/全員がなんとなくできる領域だからこそ、介在価値を存分に出さなければいけない。
求人票作成、スカウト、面接はなんとなく全員ができる領域だったりします。特にマネージャーレイヤーであれば採用に慣れている人も多いでしょう。しかし人事は採用/組織の各領域で高度化させることが求められます。 「スカウトはもっとこうすべき」「面談ではこうアトラクトして欲しい」「面接ではこのポイントはジャッジしましょう」「内定承諾を獲得するために◯◯してください」など現場のパートナー、アドバイザリーとして、採用成功に向けて伴走することが求められます。 採用成功に向けて介在価値を発揮できないと、人事よりも自分でやった方が良い。と現場からの信頼を得られないままになってしまいます。
4/予算やリソースがない中且つ正解がない領域にて自分たちの最適解を出し続けなければいけない
人事のノウハウは世の中にいっぱい落ちています。Web上の情報やX、書籍など多くの知識はありますが、「自社にとっての正解」は誰も教えてくれません。どう求人票を出すべきか、どう目の前の候補者をアトラクトするべきか、どういう評価制度にすべきか、どういう組織開発施策が良いのか、全て正解がありません。 その時、その時の事業/組織状態を踏まえて、経営層や現場と議論をし続け、最適解を出さなければいけません。また予算もリソースもないので、自分たちでなんとかする力が求められます。
5/営業、マーケ、プロダクトマネジメント、コーポーレート、など広範なスキルが求められる
スタートアップの人事は営業、マーケ、プロダクトマネジメント、コーポーレート、あらゆるスキルが求められる仕事です。
自社をプレゼンし、競合の中で「選ばれ続ける」ために、候補者をアトラクトする営業力
入社したメンバーを高いエンゲージメントに働き続けてもらうためのカスタマーサクセス力
世の中に対して、会社/事業/職種を「魅力的に魅せて、狙っている人に届ける」マーケティング/PR力
組織という複雑怪奇なプロダクト/従業員というユーザーに向き合い組織というプロダクトを進化/深化させ、事業を成功にドライブさせるプロダクトマネジメント力。
給与、報酬、労務という守りを固め、上場に至るまでの障壁を全て取り除いていく力
業務範囲が幅広いことにも紐づいて求められるスキルも広範となっているのが特徴です。
事業と組織をドライブさせるスタートアップの人事
最後にスタートアップの人事の役割についてお話します。私はスタートアップの人事とは、事業と組織をドライブさせる仕事です。
事業ー組織ー採用は全て繋がっています。事業戦略に紐づいた組織戦略、組織戦略に紐づいた採用戦略を設計することで会社全体が進化していきます。
HRの役割である採用/組織は現在〜未来の会社を作る仕事です。1年ー3年ー5年の未来を見通して採用/組織を動かせるかどうかにとって、会社の未来が変わっていきます。スタートアップの人事は事業と組織をドライブさせる仕事なのです。
まとめ
事業と組織をドライブさせるスタートアップの人事はもっと評価されるべきという話を書いていきました。スタートアップで働く人事が一人でも勇気づけられる記事になっていたらとても嬉しく思います!
そして、ストックマークで一緒に人事をしたい方がいれば、私にご連絡ください!※まだ求人出せていないですが、募集する予定があります!
またスタートアップの人事で情報交換したい方は、仲間として話しましょうー!