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2025年1月 投宿録【茨城県北茨城市 平潟港温泉 砥上屋旅館】

1/13 出発〜茨城県北茨城市

中学時代の同級生と久闊を叙した前夜。多量飲酒が祟る宿酔のなか、北茨城は平潟港へ出現。陽が傾き始めているにも関わらず、未だ全く働かない脳に海鳴りだけが響いた

海鳥の鳴き声を聴きながら、チェックインの時間まで暫し漁港周辺を徘徊

この日の宿は平潟港に面する「砥上屋旅館」。
茨城県はこれまで宿泊の機会がなかったのだが、茨城初の投宿はきっと砥上屋旅館になるのだろうなと何年も前から思っていた

帳場で簡単な受付を済ませる。奥は居住スペースのようだった

女将の後ろにつき、勾配の急な階段をぎしっと鳴らして登っていく

通されたのは3階の「夕凪の間」。襖を開けた刹那、グッと心を掴まれる佇まい

海を臨む8畳間は、陽が落ちるにつれ情趣に満ちていった。

男湯(女湯)

内風呂が2箇所有り、日替わりで暖簾が入れ替わる。
チェックイン時、明朝まで女湯の暖簾がかかった浴室を使うよう説明を受けたので、男湯の暖簾をスルーして1階へ。自分以外の宿泊客は女性の2人組だけだったのだが、そちらは男湯の暖簾がかかった浴室を使うのだそう。何故

女湯(男湯)

2~3人入れば窮屈になりそうなコンパクトな浴槽に、鮮度良好な五浦の源泉がふんだんに投入されている。少々口に含んでみたところ、なかなかパンチのあるエグ味と塩味

強力なあたたまり効果を有する五浦元湯の塩化物泉。個人的にはギリギリ「熱い」と感じずに済む、絶妙な42~43℃の湯加減。暫し優れた泉質を愉しむ

温泉分析書など

ひとっ風呂浴びたら幾分調子も戻ってきたので館内散策を実施。
築120年を数える木造3階建築は、床板の隙間から下層階が見えるほどだが、先の震災でもびくともしなかったという堅牢な造り

調子が戻ってきたとはいえ無理は禁物。温泉は勿論なのだが、こちらの宿は特に夕餉を楽しみにしていたので、部屋で横になりだらだらと休憩

食事処は2階の個室。あんこう鍋を喰らう上で日本酒は是非とも嗜みたいと思ってしまったので結局飲む

旬の季節にどうしても喰らいたいと思っていた待望のあんこう鍋。ついに本懐を遂げた

あん肝が溶けた橙色のビジュアルが目を引く「どぶ汁」は、この一帯で食されている郷土料理。塩味(えんみ)を押しのけて主張してくる立体的な旨味。すべての味がする

煮しめと刺身も抜群の味

やなぎカレイの干物。凝縮された旨味でこれまたあっという間に日本酒が進みましたね

〆はどぶ汁の雑炊。ハチャメチャに味が旨い。四方八方からあらゆる旨味のラッシュで心身が満たされた

腹ごなしに外に出た。浴衣1枚でもギリギリ心地良さを感じる気温の中、深呼吸しながら船を見送る

胃も落ち着いたところで再び女湯へ。温泉の組合員証がグッドデザイン

部屋の隅の椅子に腰掛け、ゆったりと時を過ごす。全ての意匠をしげしげと見渡しながら、この空間に存在している事実を噛み締めていた

館内は他の宿泊客の話し声などが筒抜けということもあり、居心地良好な6畳間が寝室として設けられた

1/14 茨城県北茨城市〜帰還

久方ぶりに爽快な目覚めの朝。すぐ外に出た

朝ぼらけの平潟港を歩き散らす

空が白んでいくごとに、脳も健康になっていきました

浴室の暖簾が入れ替わっていた。間違えないように2階の女湯へ

港を臨みながら朝風呂。海風も流れ込んで爽快な湯浴みを展開

目隠しになるような柵は存在しない為、身を乗り出すと全てをさらけ出してしまいますから、その点にのみ注意を払いましょう。

終浴ののち、朝餉の時間まで広縁で「ぼうっとする」を実施

昨晩と同じ部屋にて朝餉。

煮つけ。ちょううまい

あら汁。人生の平均幸福度が上昇する味

身支度と部屋の原状回復を済ませてチェックアウト。念願の投宿であったことを女将にお伝えして出立。夏場は貝類が豊富に出るらしく、その時期にも是非再訪してえと思った

長浜海岸の北側に位置する駐車場に立ち寄り。「海きれい」しか考えられなくなった

海を見るだけの時間は人生に必要だし、たまの大きな波飛沫を浴びてしかめ面をする時間も必要

南に数百mほど移動し、ヘッドランド付近の駐車場へ。潮騒と青空のコントラストが美しい

海は良いねえ

茫洋

この日は何も予定を立てていなかったので、気が済むまで海原を眺めて離脱。

五浦海岸を訪問。地元の老人に話しかけられて連れられた穴場らしい絶景スポットが恐ろしいほど波打ち際だった

このような具合だ。

茨城大学五浦美術文化研究所が休館日だったので六角堂は間近で見られなかったが、なかなか特徴的なアングルでその姿を拝むことが出来た。

老人はどう見ても私有地としか思えない敷地を抜けたところにある絶景スポットをもう1つ案内してきたのだが、おすすめされて行かないわけにもいかず、たまたま同じ老人に話しかけられた見知らぬ女性と一緒に海岸を歩いた。念の為該当スポットの写真は掲載しないことにする

山道レーシングののち、見知った土地へ戻ってきた。塙町「きせん食堂」にて手打にんにくラーメン(大盛)を喰らう

遅い時間だったが満席。こちらのにんにくラーメンは個人的にとっても味が好みなので、近くにお越しの際は喰ってみて下さいませ。

最後は幼人(おさなんちゅ)の頃から知っている「泉崎さつき温泉」に沈没して帰還。


追記

同日に宿泊されていた女性客がnote相互の湯美さんだったことが判明。隣部屋からの視点で書かれた湯美さんの記事もご覧下さいませ。

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