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2024年10月 上州温泉逍遥②【湯宿温泉 湯本館】

前回

この日の宿、みなかみ町湯宿温泉「湯本館」。湯宿温泉に宿泊するのはこれが2度目

部屋へ向かう階段を登りながら、浴室の利用時間やトイレの場所等、諸々の説明をさらっと受ける。全く肩肘張らないさっぱりとした接客が心地よく、すんなりと行李を解くことができた

通されたのは10畳間の27号室。勝手に6畳間を想定していたのもあるが、毎度のことながら広い部屋に通されるとどうも落ち着かない

2階の廊下は最低限の照明のみ点灯。こういうのが良い

左手に傘、右手にカメラを携え温泉街を散策。湯宿でしか得られない旅情は、確かに存在する

部屋に戻って広縁にて飲酒。時雨の夕刻に夏酒を吸飲する、そういう手もある

少しばかり酒をキメたのち、大浴場へ。広々とした脱衣所の戸を開け、ひとつも荷物が無い棚を見て独泉を確信

この大浴場こそ湯本館の象徴。63℃の自家源泉でいっぱいに満たされた円形の大浴槽は壮観。
激湯は覚悟の上だったが、湯加減を調整した先客でも居たのか、思ったほど激熱ではなくそれほど加水せずに沈没成功

バッキバキに析出物が固着した湯口の岩々。ステンレス製のコップが置かれており、そいつで源泉を掬って口に含んだ。淡い塩味を知覚したのち、喉元をじわーっと温めながら体内に落ちていった

温泉分析表。
温泉宿に泊まるたびに例外なく飲酒入浴している情けない異常アルコール温泉沈没者である自分の真似はせず、ゆっこと温子(あつこ)の指南に従って正しく温泉に入浴しましょう。

夕餉はお膳で部屋出し。滋味深い御菜が並ぶ。こちらは特に米が美味いと聞いていたが、ぴしっと粒が立っていて本当に逸品であった

夕餉後の館内徘徊を開始したのも束の間、螺旋階段の趣に一瞬で打ちのめされる。誰も居ないのを良いことに、日常生活では到底取らないような体勢で床に近づき、あおり構図でバシャバシャとシャッターを鳴らしていました。

家族風呂
女湯

あまりに誰ともすれ違わないので、照明の落ちていた家族風呂と女湯も確認。家族風呂はキャパが小さい分ハチャメチャに熱く、ちょっとした湯もみで溢れ出した湯が足先に触れるだけで飛び上がりそうになった。加水してもすぐに湯温が戻りそう

久々の連湯と飲酒で眠気が限界に達したので22時前に寝

10/9 群馬県みなかみ町

朝。静まり返ったロビーには自販機の「ヴーーン………」という稼働音だけが響く

ぼんやりとした寝起きの状態で雨の中の朝散歩を実施。こういうなんてことのない記憶が、後々の人生でちょっとした心の栄養になったりする

激熱の朝風呂。本当に洒落にならないくらい激熱。数分前までぼんやり散歩していたとは思えぬほどマッハで脳と身体が覚醒した

シャキッと目が覚めたら腹が減ってきた。湯煙の立ち上る浴室の外観を眺めながら、部屋に戻る

朝餉。湯豆腐とってもうれしい

勿論温泉たまご付き。ローカル天気予報を視聴しながら喰い進めていたら瞬く間に米が消滅していた

チェックイン時は女将だったが、チェックアウトは主人が応対してくれた。ものの数分だったが、独特の語り口が印象に残った。主人から頂戴した尾瀬のおいしい水を開栓し、湯宿を出立しました。

続く

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