『星の王子さま』が教えてくれたこと。
____君はごちゃ混ぜにしている......大事なこともそうでないことも、いっしょくたにしている!
星の王子さまは、
大蛇が象を丸呑みにした絵がただの帽子にしか見えない私たちにそんな風に言う。
確かにごちゃ混ぜだ。
気づいたら日常に起こった大事なことを
いっしょくたにして、忙しいふりをして
忘れるのに精一杯な大人になりつつある。
色んな事をありのままに受け止めて
自分の感じたままを伝えられる星の王子さまが
すごく大人に見えた。
実は子供であることが1番、人間的で大人なのかもしれないと思う。
空気を読むことが大人なのだろうか。
数字や何かを追い求め続けることが
大人なのだろうか。
言いたいことを、思ったことを、
言わないのが大人なのだろうか。
ずっとむず痒く思っていたことが
腑に落ちた瞬間がこの物語にあった。
だからと言って私の日常が
変わる訳ではないけれど
今日、この物語に出会えたことで
どんな事があっても生きていける気がしている。
少なくとも、明日はいつもより明るくなれる予感がしている。
__________いちばんたいせつなことは、目に見えない。
知っていたはずなのに、
この言葉を読んだ時、ページをめくる手が止まった。
王子さまのように反芻した。
ずっと忘れていた気がした。
忘れていたから、
忘れたくないと思った。
簡単なことなのに、大人になる度にそれが分からなくなっていく。
分からないから、目に見えないから忘れてしまう。
でも1番近くにあって、忘れてはいけないものだ。
愛とか友情とか絆とか、自分が生きてる上で大事な物は全部、目に見えないから壊れてしまうような気がして怖がってた。
大事にするには怖がっても、大人でも、ダメだ。
あれこれ考えずに、自分のだいじなものは
子どものように、純粋に、素直に、受け止めたい。
21歳の今、この作品に触れられた事が本当に奇跡だと思う。
題名も大ベストセラーなのも知っていた。
なのに読まなかったのは、出会うべく時を待っていたんだとおもう。
法的には"大人"な立ち位置になっていて
それ自体に自分自身は全く納得していなくて
しかし、社会人にもなったし
大人でいないといけないことが
時たましんどくなる時もある。
そんな大人と子供の狭間にいるこのタイミングで
この本に出会わせてくれた友達に最大の敬意と感謝を。
そして、何度もこの本を読もうと思う。
きっと忘れてしまうから、
何度も思い出すために。
子供だ、と言えない大人になっても
星が笑って見えるように。
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『星の王子さま』
著:サン=テグジュペリ
訳:河野万里子
出版:新潮文庫