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インド映画感想.2「ガリーボーイ」「パッドマン」「ガングバイ」

最近、自分にしてはものすごい勢いでインド映画を観ているので、ちょっとどこかにメモ的に残しておきたいなと思ってnote作りました。観た順にはなっていません。ネタバレもそこそこしてるので、ご注意です。
前回のはこちら

ガリーボーイ

リティク・ローシャンの「人生は二度とない」と言う映画が大好きでして。
その監督、ゾーヤー・アクタルさんの作品と知って、いつか観たいと思っていました。しかもヒロインが「RRR」のシータ、アーリヤ・バットちゃん。「RRR」を映画館で観て、シータのエントリーシーンで「かっわ…いいいいいいい!!!!!」って声が出そうになりました。一目ぼれってあるんだね。

そのアーリアちゃんが出てると言うのでいつか見たかったのです。JAIHOで視聴しました。
この映画に出てくるアーリアちゃんは強いよ。と聞いていたので、ラップで強いとは?ライバルのラッパーなのかな?とか思っていたら、主人公ムラド君の彼女でした。それで強いってなによ?って思いながら観ていましたら。

マジ強かったwww

なんかね、でも自分もなんだか…思い込みがあったなって。ムスリマ(女性はこう呼ばれると言う記事を拝見しました)ってほぼ布で自身を隠してますよね。だからってわけじゃないけど、抑圧されていて言いたいこともやりたいことも出来ない、男に言いなりの抵抗と言う手段さえ思いつかない女性たち、みたいなイメージを持ってたんです。
でも、それはそうだとしてもうまい事すり抜けて生きてやるぜ!みたいな女性もいるとは想像出来ていませんでした。本当に申し訳なかったと思いました。
でもそんな、強かな女性もいるというのはまぁ理解出来ましたが、めんどくせぇ!暴力で解決しようぜ!型の女だったのは流石に予想外すぎましたね。おもしれー女でした。

でもかっこよかったです。アーリアちゃん。

でもって本編

スラム街で生きてる主人公ムラドが、ラップを知って、ラップで這い上がって行くお話、なんですけど。
端々にムラドがものすごく賢くて語彙がめちゃめちゃあると描写されるシーンが出てきます。
でもスラム街の住人なので、ほぼほぼ人生が決定されていて、賢さもそこそこ働ける社員になる程度のレベルアップしか出来ない。
一番自分がきっついなと思ったのは予告にも入ってますが、ムラドの住んでいる所が観光客のツアールートになってるってとこです。自分の生活が見世物になってるって、想像するだけで絶望しかないと思います。同じ人間にお金払ってここはこんなに貧しいんですよって見せるって…覚悟の上で致し方なくやるしかない大人は割り切れるかもしれないけど、子供は人間の尊厳消し飛ぶと思います。
ここから…這い上がるの…?出来るの?って観てるこっちが心配になってしまいます。

でも奥底に眠っていた才能がどんどん開花されていって、底辺からステップアップしていく様子はとてもわくわくしました。でも家族には内緒でやってることなので、ムラドの背後を父親が通り過ぎたりすると、サスペンス観ているみたいに小さい悲鳴が出ます。
抑圧され、ないがしろにされまくった怒りなどが熱源なので吹き上がりっぷりもすごいです。エネルギーのある歌と言うのはいつでもやはり心の奥に響きます。
色々ハプニングはあったけど、いい感じに気持ち良いラストを見せてもらえました。ムラドはムスリムなので目の際にラインを入れるのですが、その目元がラップを口ずさんでいる時に着ているパーカーのフードからちらりと見えるのです。それが迫力と色気が合わさり、めちゃくちゃぞくぞくします。

本編に全く関係ないですが、自分はこういった青春もので、途中、友人とかが突然死んだりするのがあんまり得意ではないんですが、(その失意を乗り越えゴールに向かって突き進まれるとテンションだだ下がり倍満役満)ネタバレになってしまうけど、そんなことはなかったので大変良かったです。

一番好きなとこは初めて自分のラップを録音するムラドのところですね。緊張してるのですが、一度大きく深呼吸をして息吐いてから歌いだすのです。そこでムラドからガリーボーイになったって空気が変わるのが分かるんです。
あぁ…今自分は一人のラッパーが生まれた瞬間を観たんだって感動します。

とてもいい映画でした。これが実話とかほんとまじで?って今でも思います。
あと主役の役者さんが全部歌ってるってのも後で聞いてマジで??マジで??って思いました。すごすぎ。

パッドマン 5億人の女性を救った男

Netflixで視聴。いつか観たいなと思っていたけど、まぁまぁタイトルでどんなか分かるし急がなくてもいいんじゃね?とか思ってました。

反省しました。

なんというか、主人公のラクシュミはすごい…。こんなに…こんなに妻と家族、村の人たちに気味悪がられ忌み嫌われ罵倒されてもめげないの、ほんとすごいです。
もう観てるこっち側は、ラクシュミの言ってる事が100%正しいのは分かってるんですよ。当然ですけども。
でも因習を正しいと思い込んでいる人たちにはマジで通じない。ホント通じない。何度「いいからもう捨てっちまえ!こんな村ぁ!」って思ったことか。

でもラクシュミの立場から見ればそうなんですが、いざこれを村人でもない、ラクシュミサイドでもない、一般人が頑張ってるラクシュミを見てどう感じるかっていうと、若干やばい印象にはなってしまうのですよ。多分。
それがとても辛い。
男の人が頑張ってるからダメなのかって思ったりもするけど、あの状態のインドで女の人がここまで出来るわきゃないのです。このこちらにはどうにも出来ない焦燥感がすごいです。

ようやく自分の作ったものを普通に使用してくれた女性に感想を聞きに行くシーンがあるのですが、はたから見たら紙一重でヤバい(っていうか確実ヤバい)んですが、ラクシュミの頑張りをずっと見てるこちら側からすると「頼む…気味悪がらないでくれ…普通に接してあげてくれ…嫌な顔しないであげてくれ…」って祈るような気持ちになるんです。
あそこはかなり泣きました。演説も本当に声出る程泣きました。
いい映画でした。観て良かったです。

まぁ、国から表彰された途端、村人が手のひらクルーした時は「ガン無視決めこめよ!」と思いましたけど。
でもラクシュミは妻の為、因習に縛られてる村人の為に頑張ったので嬉しく受け入れるのです。いいですね。優しい。とても優しい。
だがラクシュミは許しても俺は許さん。

そしてあんなに頑張ったのに、それでも普及率60%なのだと言う事実には震えてしまいます。まだあと40パーセントは最初の村のままってことかと。

ガングバイ・カティヤワディ

ずっと観たかったアーリアバットちゃんの娼婦の映画。
Netflix英語字幕で視聴。
まるで英語読めますみたいにさらっと書いたけど、ほぼ読めません。でも大体ワカル。

騙されて娼館に売られてからのし上がってトップになる映画。
最初の方に出てくる、売られる前の主人公が純粋100%可憐でとてもいいです。声も高くて可愛いです。
そこから現在のガングバイになるんだけど、迫力とつよつよオーラが凄まじくて、ほんとに同一人物なんです?って思います。声も低くてドスがきいてるんです。すごい。

日本の遊郭ものは二本ほど観たことあるのですが、そこに連れてこられた女性が強くなってのし上がると言う流れはまぁまぁ似てます。でも作風が当然ながら全然違います。
日本のは必ずお仕事中のシーンがあります。三回くらいはありますね。
この映画はほぼほぼないです。ドアを閉めてから悲鳴が聞こえたりなどはするので、想像するとこっちの方がきつい気もしますが。
若干、ここの人たちはなんのお仕事してるのかな?ってとこがぼんやりとしてきます。こういうお仕事をよく知らない方が観たらわからんまま終わってしまうのではないか?ってくらい出て来ません。

あと主人公のガングバイにスポットを多めに当てているので、主人公への感情移入が強めになる気がします。

三人、ガングバイに接近する男の人が出てきますが、役割が皆違っていて、ガングバイが「本当は欲しいもの」、「今、必要なもの」、「未来に立つためになければならぬもの」、って感じがします。特に本当は欲しいものは、本当に欲しいだろうに、今必要じゃないんだっていうね…状況が…つらいです。

終始、アーリアバットちゃんが美しかったです。白を好んで着ている人だったらしく、娼館に舞い降りた天使みたいでした。
純朴な青年とカード投げしてるとことか、マジかっこいいし美しいし幻想的で、これで青年惚れないのは無理では?流石にこれはガングバイが悪いぞ?ってくらい美しかったです。

えっちなシーンはほぼないと言っても過言ではないので、そういうのが苦手な人も大丈夫かと思います。美しい映画でした。演説はすごいし、パレードはとてもよかったです。

あと「RRR」のラーマパパ、アジャイ・デーヴガンさんが、ガングバイの兄貴分みたいな役で、ムスリムなんだろうと思うけど、目の際にライン引いてて。かっこいいおじさまがよりかっこいいおじさまになってて、ひぇってなります。かっこいい。マジかっこいいです。

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