シンプルプラン

『シンプル・プラン』を読みました。

シンプル・プラン


著者:スコット・B. スミス
翻訳:近藤純夫


内容紹介
冬になると雪深くなる町アッシェンヴィルは、オハイオ州北部ではこれ以上はないというくらいの片田舎。
飼料店に勤めるハンクは大晦日に、憎み合っているわけではないけど仲も良くない兄ジェイコブとその友人ルーの三人で、両親の墓参りにでかけた。
それは、自分の誕生日に兄弟揃って墓参りをしてくれ、という父の遺言でだった。
墓地に向かう途中、飛び出してきたキツネをよけたせいで軽い事故を起こし、その混乱でジェイコブの愛犬メアリ・ベスが車から雪深い中へと逃走してしまう。
そして、メアリ・ベスを追跡していた三人は、林の中で墜落した小型飛行機を発見した。
その中にはパイロットの死体と、440万ドルの大金が乗っていて、三人で山分けするか、警察に届けるか、と話し合いになるものの、半年ほど様子を見、危険がないと確認ができたところで山分けする、というシンプルプランを立てるのであった、のだが……。


サム・ライミ監督作品『シンプル・プラン』は昔観た。
観たがあまり詳しく憶えていない。
所々のシーンを多少憶えている程度だ。

その映画の原作本が再版されたらしく、地元の書店で売られていたので購入したのだ。

タイトルの通り、シンプルな、単純な、やさしい計画は、シンプルに行かないのはまさしくタイトル通りだ。

大体こういう話にはかき乱す人間が存在しているもので、それは兄の友人ルーだ。
無職同然でギャンブル好き。借金まであり、金については絶対秘密、なのに

『あいつは絶対恋人にこの秘密をばらす』

という予想通りの行動を取ってくれる。

そしてもう一人は主人公ハンクのサラだ。
三人の内、まだまっとうな行動、警察に届けようという考えを持つハンクに同意する、かにみせかけて、山分けの道に進ませようとする。

それは単純に言ってしまえば、女性は恐い、ということになるが、どちらかというと迷うハンク暗黒面のようで、まるで囁く悪魔のような存在だ。

シンプルな計画だったのに人が死に、それが一人、二人、三人と増えて行く。

計画はこれでもか、という悲惨な展開を見せ、悪魔が嬉々とする結末を迎えたときはまだ物語の三分の一が残っているのだ。

あの大金がどこから来たのかわかってから、さらに悪い展開が始まり、悪夢のような結末を迎えてしまう。

タイトルのシンプルプランは、むしろ、その場面場面で、一番簡単な計画を、簡単に選択し実行していまっているところにあった。

人生を好転させるためにとった計画はいっさい好転しない。

人間の欲、それは誰しも持っているものだからこそ恐いのだ。













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