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4月以外の月で障害福祉サービス事業を開所する際の注意点
障害福祉業界を明るくしたい行政書士の篠原です。
新年が明けて半月程が過ぎました。この時期はどんな時期でしょうか?
大学入学共通テスト(旧センター試験)、修学旅行、慰安旅行、社会福祉士国家試験なんかを思い出しますが、僕の職業柄この時期は4月スタートの案件の繁忙期だったりもします。
なぜなら4月スタートの案件の場合ですと、1月末までに事前協議を済ませ、2月中旬〜3月頭までに申請書類を提出する自治体が多いので、この時期は必然的に行政書士の繁忙期となる訳です。開所予定のクライアントも4月からきちんとスタートができるか不安でしょうから、落ち着かない日々ともなります。
こんな落ち着かない状況でも4月開所を目指すのには実はメリットがあります。そのメリットを今回は4月以外の開所と比較してご紹介します。
障害福祉サービス事業の事業年度
当たり前の話かもしれませんが、障害福祉サービス事業の事業年度は「4月〜翌年3月まで」です。
法人の決算期は自由に設定できますが、事業年度に関しては法人の自由に変えることはできません。
この話を出した理由は従業員の人員基準を求める際に「利用者数の前年度の平均値」が必要になってきます。この前年度の平均値を基に従業員の人員基準が決まってきますので、「4月から翌年3月まで」の事業年度の考え方は大切になってきます。
新しく開設した場合って前年度の平均値は求められないけど…
その通りです。新しく開設した場合には前年度の実績がありませんので、平均値を求めることができません。
ではそんな時に求めるのはどんな数値かと言うと「利用者の推定数」となります。
開所1ヶ月目から6ヶ月未満は利用定員の90%が推定数となります。6ヶ月未満となりますので、1〜5ヶ月目の人員基準は利用定員の90%から計算されることになります。
開所6ヶ月目から実績を基に利用者数が計算されます。6ヶ月目から1年未満は直近6ヶ月の利用者の延べ人数から直近6ヶ月の開所日数を割った数を求めることで人員基準が計算されることになります。
直近6ヶ月の数値を求めることになりますので、開所6ヶ月目から11ヶ月目までは毎月直近6ヶ月の利用者の延べ人数と開所日数を出す必要がありますので、きちんと計算して把握しておく必要があります。
12ヶ月目以降の利用者数の計算
1年経過したことでやっと前年度の利用者数が計算できると思った人いらっしゃいませんか?
実は1年経過したとしても前年度の利用者数が求められないケースがあります。それは4月以外の月に開所したケースです。
先程の事業年度のところで説明しましたが、障害福祉サービス事業の事業年度は「4月から翌年3月」で変更することはできません。
例えば2021年6月に開所した場合の人員基準の基となる利用者数は以下のようになります。
・2021年6月から2021年10月:利用定員の90%
・2021年11月から2022年5月:直近6ヶ月の利用者の延べ人数から直近6ヶ月の開所日数を割った数
お気づきになりましたでしょうか?
6月開所のケースですと事業年度となる4月から3月までの通算利用人数が2年目の初月となる2022年6月の時点では前年度の平均値が求められません。
ではこの6月開所のようなケースだと人員基準の基となる利用者数をどのように計算するかご存知でしょうか?
この場合ですと直近1年間の利用者の延べ人数から直近1年間の開所日数を割った数が基になります。
つまり、2022年6月から2023年3月までは毎月直近1年間の利用者の延べ人数と開所日数を計算する必要がありますので、覚えておくと良いでしょう。
2021年6月に開所した場合の人員基準の基となる利用者数
2021年6月から2021年10月:利用定員の90%
2021年11月から2022年5月:直近6ヶ月の利用者の延べ人数から直近6ヶ月の開所日数を割った数(毎月求める)
2022年6月から2023年3月:直近1年の利用者の延べ人数から直近1年の開所日数を割った数(毎月求める)
2023年4月から2024年3月:2022年度の利用者の延べ人数から2022年度の開所日数を割った数
実は4月開所以外のケースですと、2年目に毎月直近1年の利用者の延べ人数から開所日数を割った数を計算しなければ人員基準が割り出せませんので、注意しましょう。
こちらの記事でも合わせてご紹介しておりますので、ご参照下さい。
関連記事:加算要件と人員基準に必要な利用者数の計算方法(新規開設時の推定数と前年度の平均値の計算)
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