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連動性を意識した投球フォームとは

私は、投球指導をする際、エネルギーの流れを「水風船」にたとえます。選手の身体を水(エネルギー)が詰まった風船と捉え、投球動作中のどこから「水が漏れている」かを見つけることがポイントだと説明します。

この「水漏れ」が連動できていない部分を示します。連動がうまくいかないと、怪我のリスクが高まり、最大限のパフォーマンスを発揮しにくくなります。


関節には自然に曲がる方向があり、無理に曲げると負荷がかかります。しかし、野球では時にこの負荷をかける動きを正しいと指導するケースがあります。体に負荷をかけないと力が出ないと考える人もいますが、私の指導は逆です。「力を入れるところで抜く」ことが、身体の連動性を意識する上で重要だと考えています。


ー「力を入れるところで抜く」とはどういった考え方?

ピッチングでは、多くの人が肩より先の「腕」に力を入れて投げています。球速アップやコントロール改善を目指すと、つい腕から指先に力が入りがちです。

実は、ここに連動性の大きなポイントがあります。腕から指先を脱力した方が、下半身から上半身の連動で生み出されたパワーをそのままボールに伝えられるのです。

この「力を入れるところで抜く」という概念は、一見矛盾しているように感じるかもしれません。しかし、人体の能力を最大限に発揮するための重要なポイントです。

力を入れるべき部分ではしっかり筋力を使い、他の部分ではリラックスすることで、無駄な力を使わず効率的な動きが実現できます。これを日頃から意識することで、身体への負担が少ないフォームに改善され、コントロール向上だけでなく、怪我の防止にも繋がります。

―ピッチングにおいて、他に意識すべきところは?

「ボールを握ること」について、もっと繊細な意識が必要だと考えています。実は、人間は握るよりも「引っ掛ける」動作の方が得意なんです。

例えば、鉄棒にぶら下がる時を想像してみてください。多くの人は指を引っ掛けるようにしてぶら下がりますよね。握っているとすぐに疲れてしまいますが、引っ掛けると長く耐えられます。これは、身体の末端で力をコントロールしようとすると、逆に負荷がかかりやすくなるということを示しています。

野球のボールはたったの150gしかありません。この軽さを活かして投げるためには、繊細な力のコントロールが必要です。軽いものだからこそ、より神経質に扱わなければならない部分があるのです。

重要なのは、この軽さを感じ取り、身体全体を使ってコントロールすることです。ボールを握る際も、単に力を入れるのではなく、この「引っ掛ける」感覚を意識し、体全体でボールをコントロールする意識を持つことが、より効果的な投球につながります。

次回:佐藤蓮投手のパーソナルトレーニングでの投球指導について解説します。

文:村上 幸史

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