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セラピストであり続けるための添え木ー効果的なセラピーとそのトレーニング法ー紹介note

・視点が定まらず挙動不審
・湧き出る冷や汗
・「お辛かったですね」唐突で変な共感(大体変な沈黙直後にやりがち」)

上記はカウンセラーデビュー時代の私の特徴の一端です。
思い返すたび胃がキュッと絞まる感じがします。クライエントさんの心象を想像するとなおのこと…
皆さんの胃もキュッとさせてしまっていたらすみません。
(リラクゼーション法をしつつ書き進めることにします

なぜ昔話から入ったかというと、効果的なセラピーとは何かについて書きたかったからなんです。

私たち対人支援職は、何かしら良くない状況/状態にあるクライエントさんと関わり、変容の提供を行います。
眠れるようになりたい、自分を変えたい、話を聞いてほしい…様々なオーダーに応えていく。プロとして成果を求められるわけですね。
ここでまた冒頭の新人カウンセラーに登場してもらい、しっかり成果が出せているか面接の様子をのぞいてみましょう。

…質問をすれば結構返してくれるな。良かった。
…よし、勉強したことと紐付けて、いくつかの仮説ができた。いつ伝えるのが良いかな…
…考えていたら新しい話題に移ってしまった。別の文脈のアセスメントが必要だ…
いや、待てよ…表情がどこか曇ってきているような。期待に応えなければ…
と思ったらアドバイスが欲しいと。悩みの理由は考えたけどアドバイスについては考えていなかった、どうしよう…沈黙ができてしまった…

頭の中は大パニック。セラピーの効果や成果どころではありません。
なぜこのようなことが起こったのでしょうか。

セラピーの効果要因を通し足りないものを知る

新人カウンセラーのつまずきを、海外の研究と照らし合わせて考えてみます。
ある研究によると、「信頼関係、治療同盟、暖かさ、受容、リスクに立ち向かうことへの励まし」がセラピーの効果要因として大切との結果になったそうです。(詳細は研修会本番でぜひ
新人カウンセラーは専門知識の蓄えはあるものの、クライエントとの信頼関係の構築については、勉強も経験も不足してしまっていた
そのように解釈できないでしょうか。

私たちは、成果を出すために必要な知識を多く学んでいます。
治療技法、アセスメント、疫学などがそれにあたります。
ですが、その知識や技法を届けるやり方が、ぽっかり空いていたとしたら。
例えるなら、よく当たるフォームを座学では学んだけれど、バッティング練習はしていない野球選手みたいな感じ?(ちょっと違う?
このように考えてみると、新人カウンセラーのつまずきの解像度が少し上がってきませんでしょうか。

長くなってしまいましたが、私たちがセラピーの効果について学ぶことのメリットはここにあるように思うのです。
その辺りの知識を盛り込んでお届けするのが、今回の研修会「効果的なセラピーとそのトレーニング法-自信を持って面接/臨床に臨むために海外の研究から学ぶ-」です。

中盤にご紹介した海外の研究は、研修会プログラムの一部で、その他にも、成長のためのマインドセット、卓越したセラピストの特徴と行動特性なども取り扱う予定です。
こういった文脈は、海外ではエビデンスが明確化されており、伴ったトレーニング法が確立されているといいます。

講師の白木先生から研修会の仔細を伺った際、うちの団体でやってみたいなぁと感じました。
その旨を先生のお伝えし実現に至ったわけなのですが、その理由を次で説明させてください。

セラピストであり続けるための添え木

今回の研修会は、コンテンツとしてかなり珍しく新しいテーマです。
このテーマを選んだ理由には、これまで頂戴したアンケート回答が関係しています。
いくつか抜粋して紹介させてください。

"クライエントさんを前に、自分の言ったことが、したことが、クライエントの苛立ちや不快感にならないようビクビクしながら活動している状態です"

"返答が鈍いクライエントに対して、向き合う準備ができていないと捉えてそれ以上掘り下げずにいた結果、後々振り返ると重要なタイミングを逃したように思えたケースがあった。セラピスト自身の不安が、クライエントが向き合う機会を邪魔しているように感じた。"

研修会参加者アンケートより抜粋

過去開催した研修会のアンケートからいくつか抜粋しました。
不快にさせていないだろうか。
自信のなさがセラピーに影響を及ぼしていないだろうか。
ここには関係性の育みについての戸惑いや不安が語られています。
実は、アンケートにこういった内容が綴られることは少なくないんです。
大抵いつも、アンケート回答の端っこにひっそりと書かれます。

また、対話の難しさについて綴られた「聞く技術 聞いてもらう技術」ではこのように書かれています。

"カウンセリングって本当に不思議なんです。目の前に生きた人がいて、その人と向かい合っていると、冷静に考えたらわかるはずのことがわからなくなってしまう。人間の迫力みたいなものに飲み込まれてしまうんです。"

「聞く技術、聞いてもらう技術 著:東畑開人」より

人間の迫力に押され、揺さぶられ、戸惑ったり不安になったりする。
「プロなんだからちゃんとしなきゃ」
そんな思いがよぎります。
セラピストであり続けることはハードです。
こういう時、よりによって自分がいちばんの敵になっていたりもします。
どんどんと積み重なり、以前は感じていたはずのやりがいよりハードさが大きくなってしまう。そんなことも起こってきます。

ハードな体験の支えとなるものの提供。
これが、研修会企画の大切な軸だと思っています。
冒頭の新人カウンセラーはいずれ、ハードさがやりがいを超える時がきます。
やっとの思いで来院したクライエントさんの期待を裏切ってしまうことにもつながってしまうかもしれない。
今回の研修会では、この状態を少しでも変化することにつながれば、との思いで企画を作りました。
必要とされる方に届くことを祈りつつ、文を締めたいと思います。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。

研修会概要

日時:
基礎編3h 2023年7月1日(土)14時〜17時(録画視聴期間 7/11~8/8迄)
実践編3h 2023年7月29日(土)14時〜17時(録画視聴期間 8/5~9/2迄)
料金:
当日参加 8000円
録画視聴 8500円
当日参加&録画視聴 9000円
対象:対人支援職(福祉/教育/心理等)や当該領域を学ぶ学生で守秘義務が守れる方
場所:zoom 申込締切:6/24(土)
◯ご友人紹介者に、次回使える500円オフチケットを配布


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