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【モンゴル南部】ドンドゴビライフ3日目 1/2
昨夜、チンギスの寝かせないターゲットは私になってしまった。
今更私が持っていたソーラー充電式のモバイルバッテリーに気づき、子どもらしく見せろ使わせろと騒ぐ。
「電圧が違うから変圧器を使わねばならない」と説明したのに、バッテリーをそのまま家のコンセントに繋いでしまった。
とりあえず大丈夫だったみたいだけど、長い旅だからこの先が心配になる…
外で寝支度をして戻ったら、好きだから持ってきたという香水をファブリーズのように撒き散らかしていた。
モンゴルに来てからどんどん寝起きする時間が遅くなっていく。
朝が弱いチンギスと一緒にいたら、8〜10時に起きて1〜2時に寝る生活になってしまった。
昨夜は半分に欠けた月が昇っていた。
半分でも充分な明るさで、星も綺麗だった。
モンゴルの滞在期間はまだ半分も終わっていないのに、次に旅行する予定のテカポで見る星空とどちらが綺麗か楽しみになる。
イギリス人女性達と一緒に来たガイドらしきモンゴル人男性は、日本のヤクザに興味があるようだ。
イギリス人達も興味を示している。
出発前、昨日ツァガーンソブラガでチンギスに「これは恐竜の骨だから持って帰れ」と言われた胡散臭い骨がリュックから出てきた。
マザーに本当か尋ねると案の定ウソで、家の外に投げ捨てた。
次の滞在先は、モンゴル最高の調教師のお宅だという。
トゥブの草原では歩くと足元にバッタが飛び跳ね、ここの砂漠ではたまに小さなトカゲが逃げていく。
次の土地ではどんな地面を歩く事になるのかなぁ!
家を出発した後、チンギスは気に入っていたコンドルの羽を忘れてショックを受けていた。
しかし私が見つけるより前に息子くんが遠い場所で見つけていて、恐らく風で運ばれて来たのだろうと話していた。
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マザーは世界中のフタコブラクダに関する会議に出席していて、今回も会議のため一緒に出発すると言う。
いま一緒にいるオックスフォード大の教授と学生のように、いろんな研究者が会いに来る有名なお方らしい。
この家で初めて迎えた朝食の席で何かそんな事を話していた気がするけど、モンゴル語とチンギスの流暢すぎる英語であまり理解できていなかった。
すごい人が人格者なのは、モンゴルでも同じなんだなと思った。
旧型のプリウスに荷物を満載して、6人がお尻をどけ合って座る。
チンギスは朝から嫌いなイギリス人と一緒で「今日は気分が優れない」とずっと不機嫌だが、窓の外にガゼルや馬の死骸を見つけて教えてくれる。
事の真偽がわからない私に真顔で嘘をついたり歯止めがきかないおふざけもするけど、こういう良い所もある。
そして賢い。
自国の伝統をよく知っていていつも教えてくれるし、英語を学んだ次は中国語を勉強しているらしい。
モンゴル犬は優秀な番犬と聞いていたが、民家の近くを車で通ると飛び出して来て、力一杯並走して追い出そうとしてくる。
たまに尻尾を振ってる子もいるから遊んでいるだけかもしれないけど笑
日本ではあまり動物の全力やありのままの姿を見る事ができないから、そんな犬も、自由に暮らす馬の様子も見ていると面白い。
用があって立ち寄った町に小さな商店があって入ったが、チンギスはわざわざイギリス人が店を出て車に戻るのを待って入ってきた。
住所の表記や敷地の中が興味深い。
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目的地に着く前、昼食を取る事になった。
「家で作るのとレストランどちらに行きたい?」と聞かれてどちらでも構わなかったが、意思表示は大事だし各々の家庭の味を知るのは楽しいので「家にしよう」と答えたら「忙しくて手間を増やすのも申し訳ないからレストランに行こう」と言う。
それならなぜ私に尋ねてきたのだろう…
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レストランに到着。
みんなメニューを選んでいるのにチンギスは1人で席につく。
「お金は払うから何か食べよう」と言ったら「お腹空いてないから何も食べない」と言う。
ずっと不機嫌で「料理がどんな味かわからないから教えてよ」と話しかけても「ここには来た事ないから味なんて知らない」と言う。
仕方なくメニューを選んでいると、マザーがチンギスに話しかけていた。
「次のホストファミリーの家は遠いから何か食べた方が良い」と言われ、彼はやっとレジの前にやって来た。
改めて「何食べる?」と聞いても、不貞腐れた顔で「何も食べない」と繰り返す。
「じゃあ何かシェアする?私と分けて食べよう」と提案するが黙って首を振る。
マザーも私も何度かなにか食べようと話しかけるが首を振るばかりなので、仕方なく自分だけ注文するためにメニューを見ていたら、なにやらスマホで支払いを済ませている。
こいつ何やっているんだ!?
言ってる事とやってる事が違いすぎて理解できない。
私はガイドであるチンギスの食事代などを支払う義務があるから、その旨を伝えて「なぜ食べないと言ったのに私に何も言わず支払いを済ませているのか」と聞いたら目を合わせずに黙っているばかり。
戸惑って質問し続けていたら、マザーが「あなたも何か食べた方がいいよ、郊外の食事は合わない?」と心配して話しかけてくれた。
そうではなく、困っている理由を伝えたがあまり伝わっていない様子…
チンギスがモンゴル語でマザーに状況説明らしきものをすると、マザーは私が注文の仕方がわからないとか、お金を持っていないのかもとか、そんな解釈をして心配してくる。
「そうじゃないんだ」とチンギスとのやり取りを説明していたら、彼は被せるようにモンゴル語で違うような説明をマザーにしてくる…
チンギスにコミュニケーションを放棄され、人への意思表示も邪魔されてどうしたら良いかわからなくなり、これまでの情けなさも乗っかって涙が出た。
さすがにチンギスもマズイと思ったのか、モンゴル語でなにやらまくし立てている。
しかしマザーがかけてくる言葉からすると「私が何も食べたくないのにみんなが食べさせようとするから泣き出した」と思われているようだ…
どう考えてもおかしい状況説明に店員さんも口元を押さえて笑い始め、堪えきれなくなって奥へ消えて行った。
マザーも状況に焦って私の言葉が入らない。
チンギスは、私の制止も振り切り母親に電話をかけ始めた。
こんな事で仕事中のヤンジッドルマさんの手を煩わせる事になるのはとても嫌だったけど、電話が繋がってしまったなら仕方ない…
ヤンジッドルマさんに1から説明すると、彼女だけ少し理解してくれたようで「支払いの心配はない、ただこの旅を楽しんでほしい」と言われた。
チンギスは母親に何か言われたのか少しまともに戻り、会話ができるようになった。
次から支払いが必要な時は伝えてほしいと言ったら、それにも頷いてくれた。
マザーの誤解も解けて料理を注文する事ができ、まだ食べた事がなかったモンゴルのポテトサラダを食べた。
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レストランを出たら、マザーとチンギスはファミリーへのお土産だと言って買い物袋を持ってやってきた。
どうやらマザーが支払ってくれたらしい。
さっきチンギスに「お金は私が払う」と伝えたばかりなのに…