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組織におけるマーケティング活動の意義について改めて考察をしてみる

マーケティング活動はなぜ必要なのか

企業や組織、団体、個人が運営するサービス・プロダクト・ソリューションにおける『モノが売れる仕組みを作る』マーケティング活動が必要不可欠な存在であり、生命線として重要視されているのは多くの人が感覚として理解していると思います。

しかし、実際にはマーケティング部門の活動は「ROI(投資対効果)が見えにくい」「営業の役に立たない案件のみ獲得してくる」「現場の状態を理解せず、机上の空論を唱えてくるだけ」といったネガティブな声も多く、そもそもマーケティングは必要ないのではないか?といった意見も珍しくありません。

また、マーケティング部が優秀な成果(優良見込み顧客の獲得、既存顧客のアップセル・クロスセル、リピーターの増加、新たな市場価値の発見及び調査など)を出したとしても組織全体がマーケティングの重要性や活用方法を理解しておらず、他の部門が正しく成果を扱えないケースも多く、結果的に「マーケティングは不要」だと唱えるケースも多くあります。

組織におけるマーケティング活動に対する認識が「予算を消化するだけ消化して、売上に貢献していない活動」となっている問題は多くの組織が抱える課題です。

インターネットがインフラレベルでの普及し、デジタルテクノロジーが日常生活の中に当たり前のように入り込んでいる昨今では、マーケティングの舞台はデジタルが主戦場となりましたが、成果を求めるあまり情報は乱雑し、混沌とした醜い市場が形成されている分野も現れ始めました。

さらにマーケティングの印象を本質から遠ざけている問題点として、Webマーケティングやデジタルマーケティングという言葉が『胡散臭いもの』という印象が蔓延している件も上げられます。

マーケターは副業の代名詞とも言えるほど浸透しており、今や「稼げる仕事」のような認識すらあります。

併せてSEOに代表される検索エンジン周りも質の悪い記事を大量生産するメディアサイトやアフィリエイトサイトによって無法地帯となり、似たような情報が無個性に乱立し、「知識はあるが知恵は少ない」といったどこかのコピペに近い中身の無いコンテンツが溢れている状態となってしまいました。

SNSも同じようなビジネスに侵食されたことで本来の目的を見失い、案件が獲得できれば良い!といったスタンスのアカウントも増加傾向にあります。

自身の商材を売るために嘘で塗り固めたプロフィールで利益を確保する人も年々増えており、さらにインプレッションを確保するためにAIによる無人アカウントも増加したことで混沌とした世界へと変貌しているのも近年の特徴です。

そうした背景の中、多くのマーケターは「どうすればマーケティング活動が正しく組織内で機能するようになるのだろうか?」「どうすればマーケティングにおける誤解(例:マーケティングは稼げる副業!誰でも稼げるSEO!)を解けるのだろうか?」「どうすれば正しい価値を求めているユーザーに届けられるだろうか?」と頭を抱えていることでしょう。

本記事ではマーケティング活動の意義について改めて考察し、どのような活動を行うことで本質的なアウトプットが実現するのか。そして精密機械のように組織内で歯車が綺麗に回るようになるのかを考えてみたいと思います。

マーケティング活動の本質と必要性の確認

”マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである”

フィリップ・コトラー:『マーケティング原理』

マーケティングの神様としてその名が知られているフィリップ・コトラーは著書:マーケティング原理にてマーケティングとは「ニーズを満たすこと」と定義付けています。

”マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである”

アメリカ・マーケティング協会 2007年頃の定義

マーケティング発祥の地であるアメリカにあるアメリカ・マーケティング協会は「マーケティングとは価値のある提供物を顧客に提供するための一連のプロセスの全て」を定義しています。

マネジメントの著者であるピーター・ドラッカーは著書:マネジメントにて「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」と記しており、最終的に『販売が不要になるように自然を商品が売れる仕組みを構築すること』がマーケティングの到達点であると述べています。

マーケティング活動の本質はまさに「売れるための仕組みづくり」であり、それを実現するためにあの手この手で施策を打ち、顧客との関係性を構築していくのです。また、そのために「真に必要な価値」を創出し、顧客が抱える課題を解決することがマーケターに与えられた使命であり、最も重要な成すべきことです。

その大義を実現するために必要となる活動のため、マーケティングは「価値の創出に関わる全てのプロセス」が対象となります。そのため、サービスの開発からプロモーション、セールス、コミュニケーションとビジネスに必要な「商品を届けるあらゆる活動」はマーケティング活動として当てはまります。

マーケティング部門は『プロモーション担当』や『見込み客のリスト集め』『Webサイトの運用』といった局地的な業務を担当する部門ではなく、企業の掲げるビジョンを実現するための包括的かつ統括的で根っこから枝葉まであらゆる領域の流れを最適化する活動を行う部門なのです。

そして、売れるための仕組みを構築するためにマーケターは【自社】【市場】【顧客】【社会・環境】【サービス】について理解度と解像度を高め、「① 顧客獲得と維持」「② 市場シェアの確保」「③ 収益の最大化」「④ ブランド価値の向上」「⑤ 市場動向の把握」というビジネスの基盤となる活動を戦略・戦術・企画・実行・効果測定・改善を行います。

これは企業や組織の規模問わず必要な活動であり、参入している業界や業種、市場の大きさが小さくとも必ず取り組むべき活動です。

マーケティング活動は創出した価値を顧客に届けるために避けては通れぬ活動であり、多くの企業はそれを「マーケティング活動だとは意識せずに」取り組んでいるケースがほとんどです。

しかし、残念なことに多くの企業・組織はマーケティング活動の本質を勘違いし、活用ができていないために「マーケティングは必要なのか?」という本来なら抱くはずのない疑問を抱いてしまっているのです。

また、これらの本質を理解できていないマーケターも少なくなく、結果として「マーケティング=胡散臭い活動」のようなレッテルが生み出されることになってしまっています。

マーケティング不要論が生まれてしまう原因

マーケティング活動が不要だと言われてしまう要因はいくつか考えられますが、その中でも多くの企業・組織がハマっている理由について考えてみましょう。

そもそもマーケティング活動が上手くいかず、不要だと意見が上がってしまうのは大きく分けて以下の理由が考えられます。

  • マーケティングそのものに対する誤解

  • 経営陣のマーケティングに対する理解度の低さ

  • 経営陣と組織内のマーケティングに対する認識のズレ

  • マーケティング部門と他の部門が完全に分断されて独立している

  • 短期的な視点で成果を追い過ぎている

  • 施策の目的と目標が曖昧になっている

  • 次のアクションに繋がるアウトプットができていない

  • 手法にこだわるあまり、本質を見失っている

マーケティング活動を「なぜ」行うのか。

その「なぜ」をチーム全体が理解していても組織単位で見た時に理解できていなければ意味がなく、さらに言えば経営陣と各部門の認識がズレていたら上手くいく確率は非常に低くなるのは当然の結果と言えます。

そしてこれらの問題は『コミュニケーション不足』によって起こっており、企業・組織はマーケティングリテラシーを高めるための仕組みづくりを構築することが求められます。

また、マーケティングに対して正しい知識・スキルを体系的に学ぶには多大な時間とトライアンドエラーによる試行錯誤が求められる点もマーケティングリテラシーを浸透させる難しさにも繋がっています。

「私の思うマーケティング論」が巷に流れ、本質から変え離れた邪悪でそあくな考え方も「売れれば正しい」と称されることも多く、問題の根深さを表していると言えます。

こうした潮流はマーケティングへの不信感を高め、リテラシーが育っていない組織・個人から「マーケティングは不要」という主張が拡散していくことになります。

マーケティングリテラシーを高める重要性

企業・組織全体がマーケティング活動を回していくには「マーケティングリテラシーの向上」が重要になります。

マーケティングに関する知識や能力は部門問わず全員に必要なスキルであり、ビジネスにおいて教養とも言えるほど身に付けてくべき所作でもあり、思考方法であり、人生における最大の武器とも言えるでしょう。

では、実際どのようにしてマーケティングリテラシーを高めていけばいいのでしょうか?また、どうすればマーケティングの重要性を理解してもらえるのでしょうか?

筆者は「重要性が腑に落ちる経験・体験を与える」ことが重要性に気づく第一歩であると考えています。

具体的なアイデアとして以下のような仕組みづくりが挙げられます。
※組織の規模や業種等によって必要な仕組みは異なります。

  • マーケティングの「知識」を得るための教育プログラム

  • マーケティングの「活動を体験する」実践的なプログラム

  • マーケティングの成功と失敗を実践レベルで体験できる「活動への参加」

  • マーケティング人材の分散化(各部門にひとりマーケ人材を置く)

  • マーケティング活動のフィードバックを行う定例会や報告会の開催

  • マーケティング活動を基盤に置いた経営陣のリーダーシップ

  • 組織外のマーケターに外部の相談役・参謀として客観的な視点から意見をもらえる体制の構築

  • 組織外のマーケターに部門の垣根を超えた橋渡しのような役割を担ってもらう

これらの取り組みを通じて組織全体がマーケティングを意識し、自身の仕事がマーケティングの一部であることを自覚した上で業務に取り組むことで、マーケティングリテラシーは向上していきます。

本質的なアウトプットをするにはマーケティングリテラシーを最大限に高め、組織全体をマーケティング人材へと教育するプログラムを導入するのが重要になります。

また、マーケティング活動を「しっかりと意義を持って行う」には、マーケターに求められる大義と倫理を組織全体に共有し、大義を目的とし、倫理をルールとして守る組織体制も求められます。

マーケターに求められる大義と倫理

企業や組織、個人が行うあらゆるビジネスは全て「企業が成し遂げるべき目的」に向かって動いていきます。そしてそこには必ず「課題を抱える人に対して、報酬と引き換えに価値を提供する」という構図があります。そういった取引が安全で信用できる形で実施される場を作ることも含めてマーケターの仕事になります。

マーケターに求められる大義は「顧客が必要とする価値の提供」であり、「発信する情報の正確性と透明性」が絶対的に守るべき倫理です。そして顧客の個人情報を適切に管理し、プライバシーを尊重することがマーケターの倫理的責任です。

その上で不正な手を使わず、人を騙すような手段を用いない健全な市場競争を行い、顧客満足度の向上に向けてサービスや商品を提供し続けるのです。決して己の利益のために嘘で身を偽り、とってつけたような知識で専門家を偽り、顧客を騙して収益を上げる活動はマーケティングとは呼びません。

誠実で法令遵守をしたコミュニケーションをとり続けることにマーケターとしての真価が問われます。また、組織はそのコミュニケーションを蔑ろにしてはいけません。

組織そのものがマーケティングであり、全ての人材はマーケターになり得るのが現代ビジネスの重要点です。あらゆる態度がブランディングに影響し、選ばれる理由へと間接的にでも確実に結ばれていくものです。

マーケティングを専門に扱うマーケターはその中でも特にその意識をしっかりと持ち、マーケティング活動全体を倫理的責任を果たした上で大義を成し遂げる必要があります。

結論:マーケティング活動を行う意義を明確にする

「ニーズを満たす価値を創出し、正しい情報が適切な形で顧客に届ける」ことで顧客は課題に対する最適な意思決定を行えるようになり、企業はその報酬を受け取れます。

マーケターは組織やサービスに対して誰よりも全体像を俯瞰の視点で見つめ、組織という生態系を適切に回すために歯車を回し続ける必要があります。

マーケターは組織の中で誰よりも「顧客のニーズを理解」し「明確なターゲット市場を選択する」能力が求められます。

マーケティング活動を行う上での大義と倫理的責任を果たし、長期的な視野を持った上で持続可能なビジネスを築くことがマーケターが組織に存在する大きな意味なのです。

組織におけるマーケティング活動を行う意義は何か?

それを明確にし、大義を実現するために必要な組織体制を構築するために、マーケティングリテラシーを磨くプログラムを実施してみてはいかがでしょうか?

また、そういった啓蒙活動は外部のマーケターを社内に迎え入れたり、相談役としていつでも気軽に壁打ちができるマーケティングサポートを導入するのも一つの手です。

筆者も多くの企業から社内のマーケティング啓蒙活動をサポートするためにお手伝いしております。

何か気になることがございましたらお気軽にご相談くださいませ。

【パーソナル】
名前:Sakai Yuto
職業:デジタルマーケティングコンサルタント
   Webライター、Webマーケティングスクール講師
   事業家(アパレルブランド経営、カフェ・ギャラリー経営)
   合同会社Toiki 代表社員
趣味:アート鑑賞、一人旅、音楽
   ラジオ、伝統・民俗芸能について調べること

【連絡先】
メール:yy.edih.xx@gmail.com
Instagram:https://www.instagram.com/uyhot_7/
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Web制作会社のマーケティング支援部門でWebマーケティングコンサルタントとしてSEO、広告、コンテンツ制作、LPO、EFOなどの手法を元にお客様のWeb戦略のサポートを担当。提案・分析・企画・施策の実施・効果測定まで全て一気通貫で対応できることが強み。その後、Web接客ツール
のベンダー企業にカスタマーサクセスを提供するコンサルタントを経て、現在フリーランスとして独立。

その後、フリーランスのデジタルマーケターとして活動しながら、アパレルブランドの立ち上げ及び運営、リアルイベントの企画及び運営、シェアキッチンの経営、飲食ブランドの立ち上げ及び経営、地域創生プロジェクトへの参画など、活動範囲を広げ、その経験をもとにデジタル領域外のマーケティング活動の支援も対応開始。

何かございましたらお気軽にお声掛けください。


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S.Uto
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