SNSで見かける「Webマーケで稼ぐ!」の違和感
SNSで「これからWebマーケを勉強して稼ぎます!」「Webマーケを取得して自由になる!好きな場所で生きる!」「これからの時代、Webマーケは稼げるスキルです!」と言った投稿を見かけることが多々あります。
・Webマーケはこれからの時代稼げるスキル!
・Webマーケで自由に働く!自由に生きる!
・Webマーケで社会的成功をする!
このような売り言葉で「Webマーケティング」での副業や独立を進めるブログも多々あり、セミナーやオンラインサロンが大盛況にあるそうです。
新型コロナウイルスの世界的流行によってリモートワークが主流になったこともありWebマーケティングに目が向きやすくなったのも事実でしょう。
私はフリーランスのWebマーケターとして活動をしていますが、元々はWeb制作会社のWebマーケティング支援チームに所属していたこともあり、クライアントワークやインバウンドマーケティングからWebマーケティングを始めました。
そのため、SNSにある「Webマーケで稼ぐ」「Webマーケは稼げる」という言葉と自身の中にある「Webマーケティング」に大きな乖離があり、いまいち点と点が繋がらない感覚があります。
「ブログで稼ぐ」であれば、アフィリエイトがあるので理解できるのですが、「Webマーケで稼ぐ」は具体的に何をどうして稼ぐのだろうか…?と。
クラウドソーシングサイトでコンサル案件や分析案件を獲得するのだろうか…?と言っても実際は単価も高くないし、作業量の多さから時給換算すると赤字になるのはざらです。
そんな厳しい世界において「Webマーケで稼ぐ」という言葉の違和感と、SNSでよく見かける「今日はWebマーケを行った」のような言葉の意味を探っていきたいと思います。
「Webマーケティング=アフィリエイト」ではない
SNS上で語られる「Webマーケは稼げる」の正体は結局のところ個人ブログを運営してアフィリエイトで収益を得る方法を指していることが8割ほどの印象です。
確かにアフィリエイトで稼ぐとなると「Webマーケティングの考え方」は必要になりますし、SEOも重要な要素なので間違ってはいませんが…それでも「Webマーケで稼げる(アフィリエイトで稼げる)」の意訳には賛同できません。
私自身もお客様にWebマーケティング戦略の提案する時にアフィリエイトについて提案することは良くありますし、私自身もアフィリエイトの運用をしています。
ただ、「Webマーケティング=アフィリエイト」という認識だけは間違っていると断言できます。
アフィリエイト単体だけでWebマーケティングを語ることは不可能です。
※アフィリエイトも極めたならば語れますけど、それはあくまで「極めたら」の話
Webマーケティングは広く深い世界です。
アフィリエイトはその広い世界の一つの領域に過ぎません。
アフィリエイトで成功を収めることは非常に素晴らしいことですし、尊敬に値しますが、それでWebマーケティングを語ることは言語道断なのです。
SEOに対する危険な理解
「SEO対策=アフィリエイトブログを上位に表示させて稼ぐ」
という認識に対しても「SEOの本質ではない」と悲しみすら覚えます。
SEOの本質は「ユーザーのニーズを満たす検索体験の提供」であり、「自身のサイトを上位に表示させてユーザーに商品を買わせる・利用させる」ではありません。
検索すればどこにでも出てくるような「コピペ」「リライト」に近いオリジナリティの無い記事は価値のない低品質なコンテンツです。
SNSでよく見かける「ブログ」には一昔前のSEO知識を活用して、「自身の利益のためだけの記事」を毎日更新している傾向にあります。
※もちろん、本質的で有効的な記事を書いている方も多く見られます。
また、一つ二つの記事を参考に、SEO対策の間違った解釈をあたかも事実のように語り、訂正されると「アンチ」と生じて自身の間違いを認めないという光景も日常茶飯事です。
一流のアフィリエイターはSEOの本質を理解しているため、記事の内容も「ユーザーファースト」で一次情報の提供を心がけています。
Webマーケティングは難しい世界
「Webマーケティングのスキルを取得する!」に関しても疑問点がいくつか上がります。
Webマーケティングは「Web上で行うマーケティング活動」のことで、マーケティング活動とは「モノやサービスが買ってもらえる・利用してもらえる仕組みや流れを作ること」です。
「Web上でモノやサービスが買ってもらえる・利用してもらえる仕組みや流れを作ること」で顧客行動における「認知」「関心」を得て、「行動」までを促し、「体験」を与える戦略を組み立て、施策を実施することがWebマーケティング活動を行う意義です。
Webマーケティングの施策は大きく分類すると「集客」「接客」「再訪問」に分類されます。
様々な手法を元に「ユーザーのニーズを満たすコンテンツ」を提供し、興味関心を抱かせ、ユーザーの「欲しい」「したい」を刺激し、育成します。
また、ユーザーの疑問や悩みに対しても解決できるようにサポートを行い「成功」へと導くことをWeb上で完結させることでユーザーに「成功体験」を提供することができます。
これらの全体像を理解し、商品の強み、市場の状況、顧客の抱える課題やニーズを理解し、「検索」「広告」「メディア」「SNS」「アプリ」などの特性を活用してWebマーケティング戦略の設計から実施、分析、改善までを行うことが「Webマーケター」の役割です。
このような「全体像」を理解しているのであれば「Webマーケターは稼げる」でしょうが、現実にはここまで完璧な方はほぼいません。
実際は「SEO特化」「広告特化」「SNS特化」「Webツールのスペシャリスト」「アナリスト」のように分類され、各専門領域で「集客」「接客」「再訪問」を実施しWebマーケティング活動を促進することがほとんどです。
また、Webマーケティングの支援会社も領域ごとに特化しているため、一つの領域を特化することでも「稼ぐ」ことは可能です。
特にSEOコンサルやWeb広告改善コンサル+運用代行はクラウドソーシングサイトでもよく見かける案件なので、そういう意味では「Webマーケは稼げる」というのは間違っていませんし、実際うまく案件を獲得し、実績を積めれば大きな報酬を得ることも夢ではありません。
Webマーケティングのスキルを活用すれば個人で稼ぐこともできる
「Webマーケで稼げる」は「Webマーケティングのスキルを活用すれば個人で稼ぐこともできる」という意味を指すべきであり、「Webマーケそのものが稼げる」わけではありません。
そもそも「マーケティング」自体が「モノを買ってもらうための仕組み・流れを作ること」なので「Webマーケで稼ぐ」という言葉自体が少々おかしな言葉になっているのも違和感の一つです。
私はWebマーケティングの世界にいる側なので、あまりこのような発言は避けたいのですが、Webマーケティングは憧れを抱いている方々が想像しているような華やかで稼げる世界ではありません。
泥臭く、地味で、細かい世界です。
派手さはありませんし、華やかでもありません。
「え?それいる?」と思われるような小さくて細かい部分を最適化することが多いのですから…(その「いる?」が重要だったりするのもまた面白さのポイントではあります)
また、個人ブログで稼ぐのも難しくなってきていて、検索エンジンの品質アップや、消費者の広告や情報へのリテラシーの向上など昔と違ってアフィリエイトで稼ぐハードルは高くなっています。
泥臭く変化の激しい世界ですが、Webマーケティングは情報を整理し、より良い情報の提供を可能にするため、より良い社会を作る手助けにもなります。
取り組む価値のある素晴らしいスキルなので、是非とも「稼ぐ」だけでなく、Webマーケティングの本質の理解を含めた学習をしていただければ幸いです。
【パーソナルデータ】
名前:Uto
職業:Webマーケティングコンサルタント/ライター
趣味:サウナ、アート鑑賞、一人旅、音楽Dig
特技:和太鼓
【連絡先】
メールアドレス:yy.edih.xx@gmail.com
Twitter:@hd2OimM