見出し画像

リスティング広告で市場調査をする方法

Webマーケティングにおけるスタートアップの悩み

スタートアップ企業がこれから世にサービスをローンチをする時や、企業が新たな新規事業を開始する時にWebマーケティングは少ない予算でも集客につなげることができるため初期フェーズから力を入れる事業者さまも少なくはないと思います。

特にSEOはランニングコストを除けば無料で実施できることと、コンテンツが資産として蓄積されていくため、長い目で見ると費用対効果の高い施策として大変有効です。

しかし、新規事業が自社にとって「全く新しいものである」時はこのような悩みが発生します。

「どのようなキーワードで対策するべきか見当が付かない」
「ユーザーのニーズが言語化できていない」
「どのチャネルを優先すべきかわからない」
「とりあえずサイトを作ったけど集客できない」

特にこれから世に出すタイミングでのWebマーケティング活動は高難易度で闇雲にコンテンツを作成しても効果が見込めず、広告を出稿してもコンバージョンどころかクリックすらされないこともざらにあります。

このような失敗をせずに初期フェーズからWebマーケティングを的確に行っていくにはWeb上での「市場調査」が必要不可欠です。

市場調査をすることで、
・ユーザーのニーズを把握する
・自社製品と関連のあるキーワードの発見
・利用頻度の高いチャネルの調査…など

を把握することができます。

市場調査の方法は様々ですが、今回は「類似サービスを展開している競合が少ない時」「ニッチな業界でWebのイメージがない時」にリスティング広告を使った市場調査に焦点を当てて解説していきます。

※あくまで低予算で実施できる「Webマーケティング施策でヒントとなる調査」となります。
市場を調査して構造を把握するものではないのでご注意ください。


リスティング広告の特性は「刈り取る」だけではない

リスティング広告はWebマーケティングの中でもSEOと並ぶ代表的な手法で、SEM(Search Engine Marketing):検索エンジンマーケティングの1つです。

リスティング広告は「特定のキーワードを検索したユーザーに対して広告を表示させる」ことができる広告で、そのユーザーが検索したキーワードの検索結果の上部に表示されるため「コンバージョン率」が高いという特徴があります。

スクリーンショット 2021-04-20 15.48.12

赤枠内がリスティング広告


リスティング広告はユーザーの中で「課題を解決したい」といった顕在的なニーズがあるキーワードで広告を出稿することで効率的にコンバージョンを獲得することがセオリーであり、潜在層へのアプローチには不向きな広告です。

スタートアップ企業や新規事業の新規サービスにおいて「顕在層」と「潜在層」の線引きが曖昧であったり、具体的に自社サービスで解決できる悩みを解決する時に検索するキーワードが思い浮かばない時はリスティング広告を効果的に運用することは難しくなります。

リスティング広告はコンバージョン獲得に最も近いところにいる顕在層のユーザーを「刈り取る」ことに特化した広告で、効果的なキーワードに対して最適化を行う運用方法がセオリーとして広く認知されています。

■リスティング広告の特性
・購買に近い顕在層にアプローチできる
・低予算から出稿可能
・施策の即効性がある
・検索の上位に表示できる
・リアルタイムで改善できる

⇨顕在層を「刈り取る」ことに特化した広告


そんなリスティング広告には「刈り取る」以外にもある特性があります。

それは「火のない所には煙は立たぬ」という特性です。

必ずしも当てはまるわけではありませんが、「検索した時のニーズという事実」がなければ「表示もクリックも発生しない」のがリスティング広告の特徴です。

クリックがあったキーワードは「自社サービスで解決できるニーズが潜んでいる」可能性があり、これらのキーワードの持つ検索意図を満たすコンテンツでSEO対策することで効率的にWebマーケティング活動を進めることができます。


リスティング広告の構造と設定できること

リスティング広告の構造を簡単に解説すると「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」「広告文」の4つの要素で構成されています。

キャンペーンの中に配信する「広告グループ」が存在し、その広告グループごとに「キーワード」と「広告文」を設定します。

■キャンペーン
配信ネットワーク(検索、画像、動画など)の設定
日額予算の設定
入札戦略の設定
配信する曜日の設定
配信する時間帯の設定
配信地域の設定
全体の配信デバイスの設定
全体のターゲティング設定
■広告グループ
入札単価の設定
配信する広告文の設定
配信するキーワードの設定
広告グループで配信するデバイスの設定
広告グループ固有のターゲティング設定
■キーワード
語句の一致精度(部分一致や完全一致など)
確度の低いキーワードの停止
■広告
タイトル
説明文
リンク先URL
各種表示オプション

これらの構造を細かく微調整しながらコンバージョンを効率的に獲得していくのがリスティング広告の中でも王道の運用方法です。

リスティング広告はキーワードの語句がどれだけ一致しているかで表示可否を決めることができます。

通常、余計なキーワードでも広告を配信してしまい、無駄に予算を浄化してしまうことがあるため、あまり広い範囲が当てはまるような設定はしないのですが、初期フェーズではわざと広めに配信して「コンバージョン率の高いお宝キーワード」を発見するのに活用することがあります。

今回はその「調査」という手法を「ニーズの発見」に活用していきます。

まず前提条件として「コンバージョンに直結しない=ニーズの無いキーワード」ではないという認識をチーム全体で認識する必要があります。

もちろん「コンバージョンが発生したキーワード」は大変重要です。

ただ「SEOで狙うキーワード」「リスティング広告で狙うキーワード」異なる特性を持つため、「ニーズがない」という判断基準にコンバージョンの有無を利用することは「お宝」を逃す危険性があるため注意が必要です。

■リスティング広告で狙うキーワードの特徴
・顕在層が検索するキーワードである
・既に「興味関心」を抱いている
・「する」「買う」「欲しい」と行動を起こす手前
■SEOで狙うキーワードの特徴
・潜在層が検索するキーワードである
・興味関心を抱いていない層も存在する
・ニーズはあるがユーザーの中で言語化できていない
※リスティング広告で狙うキーワードもSEOで対策可能


「表示された量」「クリック数」からニーズを分析する

「サービスに関連するだろう」と思われるキーワードを設定したら広告の配信を開始しましょう。

効率的に配信を行う場合、広告グループの細分化やキーワードのカテゴリーなどもしっかり設定を行う必要がありますが、この時に乱雑させずに整理しておくことで後でまとめやすくなるのでカテゴライズはだけはExcel等で整えておくことをオススメします。

配信を開始したら「表示回数」「クリック数」「クリック率」を重点的に見ていきましょう。

例えば「表示される量は多いがクリックされないキーワード」を実際に調べてみると、検索結果が「〇〇とは」「〇〇の時にできる10のこと」のようなコンテンツが多く表示されたとします。

このと場合、キーワードの検索意図が「(キーワードについて)知りたい」といったニーズであると想定されるため、サービスを訴求する広告向きではないが、自社製品とは関連性がある内容のコンテンツが多ければ、「知りたい」を満たし、自社製品でもニーズを満たせることを訴求するコンテンツを作ることでコンバージョンが見込める層へマーケティングすることができます。

ここまでプランニングできれば「SEO対策する価値」があると言えます。

上記のように幅広く配信し、顧客のニーズとニーズに対して検索するキーワードを見つける運用を行うことで低予算で市場調査を実施することが可能です。


おまけ:リスティング広告運用に役立つ書籍

この記事を読んでいる方の中には「でも具体的にどうやって運用したら…」と頭を抱えている方もいるかと思います。

フリーランスのWebマーケターとして活動してる私が参考にしている書籍を紹介いたします。

どれも良書ですので机の上に置いておく価値ありです!

■いちばんやさしい[新版]リスティング広告の教本

個人的にこの1冊があれば初期設定から配信まで一通りのことはできると思います。

講師陣も実績のある有名企業の方で、安心感もあります。

私は現在「運用している方のサポート」としてコンサルティングを行うときに、難しい言葉を翻訳するときにこちらの本を参考に伝わりやすい言葉に変換したりするほど大変わかりやすいです。

「いちばんやさしいシリーズ」は他の内容でも良書が多いので大変オススメです。


■リスティング広告のやさしい教科書。 改訂新版

2020年11月に改訂新版が発刊されたリスティング広告のやさしい教科書

こちらも初心者に優しい内容で私も大変お世話になりました。

支援会社に属していた頃、私自身は広告運用ではなく、Webマーケティング全体の改善を促進するコンサルタントとして活動していたため、リスティング広告の全体像や構造、運用方法などはこちらの書籍に大変助けられました。

改訂新版も購入しましたが、やはり分かりやすいなぁ…と思います。


■ネット広告運用“打ち手”大全 成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102

非常に運用担当者向けです。

2018年と少し前の本ですが、今でも通じます。

自社で運用している担当者様であればこちらの本を手元に置いておくだけで、新しい施策のヒントになるのではないかと思います。

また、施策に特化した本は中々ないので読んでいて面白いです。


【パーソナルデータ】
名前:Uto
職業:Webマーケティングコンサルタント/ライター
趣味:サウナ、アート鑑賞、一人旅、音楽Dig
特技:和太鼓

【連絡先】
メールアドレス:yy.edih.xx@gmail.com
Twitter:@hd2OimM


いいなと思ったら応援しよう!

S.Uto
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! もしよろしければスキやシェアをしてくださると嬉しいです! また、サポートしていただけましたら、より良い記事を書くために活用させていただきます。