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Change With ASEAN

コロナ禍、それに伴う国際情勢の変化によって、日本の外国人の受け入れに大きな変化がありました。

コロナ禍の間に、沸沸と変化が水面下で続き、アフターコロナでは大きな変化が表面化していくことが予想されます。

その中でも、特に東南アジアについて考えることが、重要だと思います。

現在、ミャンマーが、軍事クーデターによって、国際情勢を揺るがしていますが、元来、東南アジアは政治的紛争が激しい地域です。

ミャンマーは第二次世界大戦中、日本軍の支援を受けて、イギリスから独立しましたが、その後、日本の大東亜共栄圏の戦略で逆に支配されてしまい、日本からの独立を試みました。

その時の渦中の人が、今回、ミャンマー国軍に軟禁された民主政権のトップのアウンサンスーチーの父親であるアウンサン将軍です。現在のミャンマー軍の創始者が、対立している民主政権側のトップであるアウンサンスーチーの父親なので、軍部もアウンサンスーチーを殺害まではできません。
ちなみにミャンマー軍歌は、日本の軍艦マーチです。日本との関係性がこんな所でも残存しています。

東南アジアは人口6億を超え、平均年齢は20代(日本は40代)、人材の宝庫とも言われ、日本との関係性が元々深い上に、さらにお互いの重要性が上がっている中、複雑な歴史的背景と現状把握の両方が必要だと思います。

まず、東南アジアは、他宗教・他民族で、欧米列強や日本に支配・占有された悲運の近代史を持ちます。
そもそも、日本が第二次世界大戦中に各国を占領したことで、東南アジアという概念が生まれました。日本も江戸時代に各藩レベルでの意識しかなかったのが、黒船で日本という国レベルを意識したのと同じで、外国が攻め込んでくると、対抗するレベルでの地域概念が高まるわけです。
東南アジアと同規模の人口規模のEU(人口5億)は、宗教的に統一(キリスト教で統一)されて、植民地の支配側であった国々が多いという点で東南アジアとは大きな違いがあります。

企業もステージによってマネジメントが違うように、国も状況に応じて変わってきます。僕自身も、大企業にいた時と、ベンチャーにいた時と、起業した時と、そして今現在では、それぞれ大きく違うし、あえて変えています。(みんな別人・・多重人格 よく言えば順応派 笑)
東南アジアの国々は、ステージによって、特定の人物による強烈なリーダーシップで国を牽引するケース=開発独裁や軍事国家が散見されます。

日本も軍事国家になった時代もあれば、一部のリーダーが引っ張った時代もありましたが、東南アジアでは、それがより顕著な傾向があります。

ベトナムのホーチミン、シンガポールのリークアンユー、インドネシアのスカルノ(日本ではデヴィ夫人でも有名)、マレーシアのマハティール、フィリピンのドゥテルテなど世界的にも有名な人物達が独裁で国を引っ張ってきました。

また、日本や欧米の支配の後の近代においては、東南アジアのどの国も近くの大国である中国の影響を強く受けながら、歴史を歩んできました。

東南アジアの代名詞であるA S E A N(東南アジアで参画していない国は東ティモールのみ)は、元々、共産主義に対抗するためにできた連合です。共産主義は本質的に宗教を否定する思想なので、宗教を重んじる東南アジアの国々は対抗手段が必要でした。

東南アジアは、各国がユニークな個性を持ち、他民族他宗教であり、人が若くて活気がある反面、政治、経済、軍事などで、様々な課題を抱えています。それが露骨したのが、今回のミャンマーのクーデターです。この様な情勢の変化や変革は今後も起きていくと思われますが、東南アジアにとっての日本、日本にとっての東南アジアの重要性が高まっていくことは間違いありません。

特に日本は人口減が進み、しかも超高齢社会を迎える中、東南アジアは救いの女神になっていくことでしょうが、日本が東南アジアを理解せずに、結局は以前の第二次世界対戦時の様な支配的、もしくは独善的な意識が残存したままだとすると、第2次世界大戦とは形を変えた敗戦(経済的敗戦や人材的敗戦)をすることになると思います。

これまで、東南アジアから、来日してきた多くの人達は、出稼ぎの留学生と実習生でした。
留学生も実習生も本来の目的は就労ではないですが、お手軽に仕事ができる在留資格が日本になかったので、この様なトレンドが出来上がりました。

この二つの在留資格だけで、いつの間にか75万人も日本に滞在しており、その大半が東南アジア出身です。そして、コロナ禍以降、この多くの東南アジアの在日外国人達が、帰国困難になったり、就労機会が失われたりしました。

日本は2019年4月から特定技能を施行し、人手不足対策という目的を明確にして、外国人の受け入れを始めましたが、コロナ禍以降、外国からの受け入れは停滞し、国が立てた受け入れ人数の計画から大きく遅れました。
一方で在日の留学生や実習生の救済策として、特定技能が活用され、本来の就労目的へ転換されるという流れができました。従来であれば、技能実習が修了すれば帰国せざるを得なかった外国人も新たな就労機会を得ることができました。

在日外国人を企業が獲得するのは、コロナ前は大変でしたが、企業にとっても在日外国人を獲得するチャンスが訪れたと言えます。これらは、コロナの恩恵、もしくは一時的な特需であると言えます。
一方で、海外からの来日を予定していた東南アジアの多くの人たちは、いまだに足止めをくらっており、本人達も受け入れ企業も困難を抱えています。

世の中全体がコロナ禍で変わりましたが、日本における外国人材の世界も、コロナ禍によって様々なことが変わりました。その全てを言語化できるわけではなく、実は直感的な事も多いのですが、色々なところで大きな変化が起きていると僕個人は感じています。

この変化を肌身で感じている人とそうでない人がいると思いますが、なかなか、感じていない人に伝えるのは難しいものです。

総じて、この分野で起業した人は、肌身で感じている人が多い気がします。おそらく、皆さん、自分で動き回って苦労して作り上げた独自の触覚が働いているのでしょう。

いずれにしても、アフターコロナでは、日本の外国人の受け入れの仕方も、そして東南アジアの国々も、さらに変わっていくことは間違いありません。

変化に対応するものが、勝ち残るというダーウィンの法則がより鮮明になりそうです。

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