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専業&ファウンダー型経営

今月は日本全国を飛び回っていました。前後の月が海外が多くなるので、今のうちに国内を回ろうと思って動いた次第です。
(私と弊社ベトナム現地法人の代表のギアと熊本視察での写真です)

仕事の予定に加え、各地で知り合った経営者たちと夜遅くまで飲んだり。実はこういう出張の中で、思いがけない発見や新しい人脈が生まれることも少なくありません。
福岡や熊本や札幌で会った経営者たちとの会話は、単なるビジネスの話を超えて、私自身の視野を広げる貴重な時間でした。

自民党総裁選の候補者達からも外国人材の重要性が据えられることが増え、国全体がこのテーマに対してオープンになってきたことを感じます。一昔前なら考えられなかったことですが、今や日本にとって外国人材は欠かせない存在になりつつあります。


最近、私も我が社も関係が広がってきた半導体業界や自動車業界は非常に分業が進んでいると感じます。特に半導体では、専業でないと生き残れない過酷な競争の中、自らが得意とする領域を見極め、市場で針を刺すような特化をしている業界です。

工程的に開発か、製造か、商品的に、AI向けか、EV向けか、など特化をした上で、さらに会社としても完全なる専業でないと、世界的に戦えない。

これは日本が苦手とする戦略思考だと思います。

最近、日本が巨額の資金を投じて熊本に誘致した台湾の半導体製造会社のTSMC、AIで爆発的に成長したアメリカのエヌビディアなどは、特定の領域に完全特化をした成功例だと思います。


私たちYSタレントも外国人材に特化した専業会社ですが、専業として事業を絞っていても、実はその中では、やる事が多岐に渡っているのが実状です。

例えば、インドネシアからの送出には、P3MIというライセンス(移民労働者紹介)が来年から義務化されます。このライセンスは、今後の日本との関係で非常に重要で、これがなければ日本への送り出しができません。

我々はこのP3MIライセンスを取得していますが、私自身もインドネシアでのライセンス取得のプロセスに深く関与し、準備を進めてきました。インドネシアからの受入はP3MIが義務化される前に、オフィシャルで安定した送り出し体制を確立できていて良かったです。

インドネシアの労相が日本への送り出しの目標人数を5年で25万人と大幅に目標を引き上げました。特定の国を定めて人数の数値を設定することは珍しいですが、それだけ、日本への送り出しはインドネシアにとって政策的に重要なことであり、今後は国民への告知や誘致など積極策をしながら、送り出し国として自国民をプロテクションすることも強化していく方向性です。

インドネシアからの受け入れは、管轄する当局BP2MI(移民労働者保護庁)とP3MIを中心にして、日本側の手続きも必要となります。これは現行のフィリピン方式に近い形にもなっていきます。(フィリピンほどの煩雑さは予定されていません)


最近少し巷で話題になっていますが、経営者にはファウンダー型とMBA型がいて、成功や成長を遂げている会社はファウンダーによる専業会社が多いそうです。先ほどの半導体の会社もファウンダー型の専業です。

MBA型は経営の学習をしたとても優秀な人達が経営をするのですが、実はそうした体型的な学習をせずに手探りで個人パワーでやる経営者の会社が成長しています。今のアメリカの巨大企業(アマゾン、アップ、マイクロソフト、テスラなど)は全てファウンダー型で、MBA型は一人も一社もいません。

圧倒的な資産を築いているのもファウンダーで、市場がその価値を認めているのでしょう。

今や経営者や創業者として創造性や成長性も含めて世界No.1とも言えるイーロンマスクが典型的なファウンダー型経営者ですが、少し興味深いのは、彼の会社は全て専業なのですが、彼自身は専業経営者ではないのです。

宇宙事業のスペースX、SNSのX(元Twitter)、電気自動車のテスラはいずれも、専業会社で、経営者が同じだからといって、Xとテスラが経営統合したりして、SNSと自動運転を一緒にして経営はしません。

会社としては事業を絞り込む事は必要だけど、経営者としては視野や発想を広げる多動性が必要なのかもしれません。


ちなみに、生成AIは人間を凌駕する知識、情報量、スピードになってきていますが、同時に膨大な電力を使います。例えば、短い文章を読むのに人間の脳は0.1ワット程度しか消費しませんが、同じ作業をAIにさせると300ワット以上の電力を消費します。さらにAIの訓練には1,200メガワット(平均的な家庭の100年間分の消費エネルギー)が必要です。現状では人間の脳はAIの1500倍以上のエネルギー効率があると言われています。

この人間の効率性を生み出す一つとして、並列処理の能力があると思います。人間の脳は、この食事は美味しいなと思いながら、同時に好きな人を思い出して、今、何をしているんだろう?などと並列的に考えることができます。食事の事を考え終わってから、次に好きな人を考えるというシリアル処理(逐次的)をしなくて良いのです。

記憶の仕方も効率的です。人間の記憶はビデオや写真のように物事を丸ごとデータ保存するのと違い、断片的なスクリプトだけを保存します。そして後にその保存された複数の断片スクリプトを再構成して、記憶を呼び戻します。なので完全なる再現性はなく、大まかな想像で過去を形成するわけです。この機能は未来に向けても同じ様に働き、断片的なスクリプトを構成して未来の世界を想像するわけです。

(今見た景色を見た直後に目を閉じて想像すると、不完全な記録であることがわかります)

完璧なデータの保存は脳を消耗しますが、断片的なスクリプトの再構成による効率的で、不完全な記録の仕組みです。

ちなみに、この人間の脳の機能の仕方によって、過去や未来という概念を形成したと言えると思います。

過去や未来は、別にこの宇宙に存在していませんが、断片的に保存されたスクリプトを再構成するという過程の中で、人間が勝手に過去未来などの時間の概念を形成したものと思います。


この人間の脳が持つ並列処理や曖昧なスクリプトの再構成力を活用することも、経営や事業において大事なのかな、と思います。これはMBAもAIも苦手な分野です。


私自身も、創業した身なので、ファウンダー型経営者だと自覚しています。

創業者利益は放棄して事業利益を追いかけてるので、少しイレギュラーではありますが、それでもファウンダーとしての動きは弛まなくやっていこうと思います。

文字通りファウンダーは、自分が真っ先にやる事です。経営者だからと人に任せるだけではなく、ゼロから1は自分自身で取り掛かり、なんとか形にします。

その後は人に任せていかないと拡大できないので、権限委譲をしますが、最初の段階は全て自分で着手します。このようなことは意識的にやってなく、無意識で体が勝手に動きます。それがファウンダーだと思います。

インドネシアも気がついたら、拠点を作っていました。この1号拠点は優秀な社員にまかせて、今、2号拠点に着手しています。

そして、この過程が断片的なスクリプトとして保存されて、何かの機会に再構成されて活用されます。

もちろん、経営者として経営の勉強はするものの、MBA型にはならずに、ファウンダー型で勝負していこうと思います。

結果的に、それが、あらゆるステークホルダーと自分のためになると思います。


外国人業界も異業種が入ってきて、それで一時的に業界が盛り上がるのは、良いことですが、最終的には、半導体と同じく、ある程度専業になっていく気もします。

もちろん、周辺分野は拡大するので、すべての会社が専業である必要はないし、専業でない会社が活躍する領域も広がるでしょう。自動車メーカーは専業ですが、自動車のサプライヤーは多角化しています。半導体メーカーは専業ですが、半導体の素材や製造装置などのサプライヤーも多角化しています。

多分、業界のコア領域は専業の方が良いのでしょう。


この業界の専業ファウンダーとしての使命を果たすために、特化的に先導的に事業を進め、脳の並列処理を使って、多数のスクリプトを刻むべく、多面的に動いて考えるようにしていきたいと思います。

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