最近の記事

愚説

あなたから離れて、はや9ヶ月が過ぎました。 一時はあなたのお財布の一部を自由にできるほど傍近く侍らせていただいたものですが、あなたにとっても私にとってもそれは嵐の時期でありました。 今はこの離れ小島を粛々と守っていくことが、私の心の安定剤でありよすがとなっております。 こことてたまに大波小波が寄せることもあり、狼狽える我が身の愚かさを再び知ることにもなるのですが、それでもあなたのおられる陸地へと日に日に接近する気配を感じております。 ちょうど南国の孤島が悠久の時を経て

    • 熱い風

      石ノ森章太郎の「佐武と市捕物控 熱い風」を読んだ。 唐突だが、会社を辞めるということは一つの防衛である。追い詰められてキレるということも一つの防衛である。コーナーに追い込まれて人格否定され続けたら、反抗するほか身を守る術がないではないか。 ガードし続けるより反撃に転じるほうが易しい。それは実は自分を守るものが薄い皮膚一枚しかない弱さを知っているからでもある。弱いからこそ、反撃する。自分を守るために。 それは強さではない。反撃がどんなにうまくなっても、自ら争いを作り出すことはな

      • 自由

        お前に自由はない。 意志することも、思考することも、感じることも決断することも、お前の自由ではない。 傍らの奴を見ろ。こいつは、ここに来たときからすべての感情と思考を俺に預けた。 俺の感じる通りに考え、俺の指示する通りに動けば、全てがうまくいくようになっている。 実に安楽だ。 目の前の男を見ろ。この男にも、自分の思考とやらに凝り固まっていた時期があった。 だがあの一件以来、この男は諦めたのだ。自分で思考することを、何かを主張することを。 この男と二人きりにしてやろう。もう日も