愚説
あなたから離れて、はや9ヶ月が過ぎました。
一時はあなたのお財布の一部を自由にできるほど傍近く侍らせていただいたものですが、あなたにとっても私にとってもそれは嵐の時期でありました。
今はこの離れ小島を粛々と守っていくことが、私の心の安定剤でありよすがとなっております。
こことてたまに大波小波が寄せることもあり、狼狽える我が身の愚かさを再び知ることにもなるのですが、それでもあなたのおられる陸地へと日に日に接近する気配を感じております。
ちょうど南国の孤島が悠久の時を経て大陸と一つになるように。
あなたの周りには常に誰かがおられますし、愛する方のことでお忙しいのでもありましょう。
相変わらず酒を酌み交わす若い者も引きも切らないと聞きます。
今はあなたがいたくお気に入りの、若く活きのよい連中に夢を仮託して大いに語らい合ってください。
いずれ残るべき者だけが残って、私の手助けが求められる場面もあるいはやってくるでしょう。
その日まで、また。
どうかご自愛ください。