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旅行の時何か食べたくなって

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旅が好きで、ぶらぶらしながらローカルフードにトライするのをなによりの楽しみにしています。基本的にひとつの旅先にひとつのメニュー、その旅先への思いとともに書いています。
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#京都

「酒亭ばんから」の酢の物@京都

「酒亭ばんから」の酢の物@京都

 何度か書いているようにコース料理よりアラカルトを好む。居酒屋、割烹、ビストロ、ピッツェリアなどに入る。東京でも旅先でも、いつもその種のお店を探している。気がきいたメニューがあり、一品の分量が多すぎず、お値段手頃。そんな私の願望に合致するお店は意外に少ないものだ。居酒屋の場合たばこにも注意が必要だ。2020年の健康増進法の改正で、飲食店は禁煙になったはずなのに、「喫煙目的店」などの妙な理屈でたばこ

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「八楽」の若鶏甘ず六三風@京都

「八楽」の若鶏甘ず六三風@京都

 7月最初の日曜日、京都南座の桂米朝一門会に、昨年に引き続き今年も出かけた。昨夏3年ぶりに復活した祇園祭の山鉾巡行が今年も近づいており、7月2日の日曜日には巡行の順位を決める「くじ取り式」が行われた。京都の街にコンチキチンの音色とともにはなやかな祭りの気分が満ち始めている。
 祭りの準備とともに圧倒的な勢いで増えているのが外国人観光客で、コロナ以前のレベルに戻りつつある。この時点で、中国メインラン

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「ぎをん森幸」の鷄の甘酢@京都

「ぎをん森幸」の鷄の甘酢@京都

 京都の南座で、桂米朝一門会をきいた。コロナウィルスの流行以来ひさしぶりのお楽しみだ。桂米朝さんの落語が子供のころから好きで、ちょいちょい出かけるホール落語(寄席や演芸場ではなく劇場やホールで開催される落語会)のなかでももっとも回数多くきいているのがこの一門会だ。約3年ぶりの今回も、一門若手、中堅の「ちりとてちん」や「遊山船」などで大笑いし、とりの米團治さんの「子は鎹」には泣かされて、たっぷりと楽

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「権兵衛」のきつね@京都

「権兵衛」のきつね@京都

 井上章一さんの名著『京都ぎらい』(朝日新書)によれば、嵯峨で育った井上さんは、京都市の中心部いわゆる「洛中」の人々から田舎者扱いをされてきたとのことである。嵯峨は「洛外」だろうと。私は嵯峨からさらに山陰線で山中に分け入った丹波地方の出身だ。大学入学とともに東京に出てきたが、地方出身者同士の「出身はどちらですか?」というありきたりの会話にいつも苦労してきた。
「京都府です」というと、「ああ、いいで

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「篠田屋」の中華そば@京都

「篠田屋」の中華そば@京都

 三条京阪駅駅前、三条大橋からすぐの「篠田屋」は、ある意味では京都の外食文化を体現する一軒といえるかもしれない。
 京都の「外食」と聞けば、祇園花見小路の敷居の高い和食店や、市内各地に点在する、新進気鋭の料理人が腕を競う人気店を思い浮かべる人も多いだろう。たしかに京都には、国内の同規模の都市と比べたときに、圧倒的にレベルの高い飲食店が多いことは誰も否定できないだろう。ではなぜそのようなレベルの高さ

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